平成29年度卒業証書・学位記授与式学長式辞 (2018年3月18日)
 
 卒業生、修了生の皆さん、本日はおめでとうございます。
 
 平成30年3月18日、新見公立大学 健康科学部看護学科62名、助産学専攻科5名、大学院看護学研究科4名、ならびに新見公立短期大学 幼児教育学科56名、地域福祉学科40名の皆さんに、卒業証書、学位記を授与できますことは、私共にとりまして大いなる喜びであります。大学を代表いたしまして、卒業生、修了生の皆さん、ならびにご列席のご家族の皆様に、心からのお祝いを申し上げます。また、ご多用中にもかかわりませず、ご臨席を賜りました、ご来賓の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 
 豊かな自然に恵まれています新見では、時間の流れを四季おりおりの変化とともに肌で感じ取ることができます。今年の冬は、雪の日は少なったものの、想定外の厳しい寒さが長く続きました。しかし、2月末には、本学の学報のタイトルでもあります阿哲マンサクが例年通りに小さいリボン状の鮮やかな黄色い花を咲かせて新見に春の訪れを告げてくれました。まもなく、皆さんが、夢と希望を膨らませて本学の門をくぐった桜の季節となります。青葉、若葉の季節から、蛍が飛び交いヒグラシの鳴く夏を経て、紅葉の秋となり、そして、雪景色の冬から、再び穏やかな春へと季節は巡っていきます。私たち教職員は、この悠久の時を刻む新見の地で、皆さんの人生の最も大切な時期に、時間を共有できたことを大変嬉しく思っています。少子高齢化と人口減少に係る諸々の課題に直面する人口3万人の中山間地域にあります新見市を学びのキャンパスとして、入学時とは見違えるほど立派に成長し、学業を修めてくれました卒業生・修了生一人ひとりを「誇り」に思い、心から祝福したいと思っています。
 
 いよいよ本学で身に付けた知識、技能、そして磨かれた人間力を社会の現場で生かす時が来ました。看護、保育、介護の専門職として巣立っていく皆さんの卒業アルバムに、『さあ~羽ばたこう 自分を信じて!』というエールを表題として贈り、「新見学として修めたサイエンス、アート、ヒューマニティを誇りに」という言葉を添えさせていただきました。 「誠実」「夢」「人間愛」を建学の精神とする本学の学長に就任して以来、この2年間、地域とのかかわりを大切にする様々なイベントや学内行事に参加し、皆さんの真摯に学ぶ姿勢、学びを支えている教職員の情熱、ならびに地域の方々の温かい応対に、改めて新見公立大学・短期大学のブランド力、伝統の力を確信することが出来ました。本日ここに、38年間の歴史と伝統で磨きあげられた教育システム、教員と学生との距離が近い血の通った指導、ならびに大学の基盤となっている地域力により、皆さんが社会から期待される専門職としての知識、技能と人間力を修得したことを保証します。新見公立大学・短期大学に学んだことを誇りに思い、自分を信じて、夢に向かって大きく羽ばたいてください。
 
 皆さんもご承知のように、本学は、来年4月より、課題先進地域にある地の利と教育研究資源を活かし、「地域を拓く健康科学部」として、1学部3学科体制に改組します。日本の典型的中山間地域にあるほぼ唯一の保健福祉系の公立大学として、人の生活基盤を支える看護学科、健康保育学科、地域福祉学科の3学科が協働して、人に優しい地域共生社会の在り方を検証しつつ、「健やかなこどもの発達、心の豊かさの向上、高齢者の健康寿命の延伸」を実現する多職種連携を実践的に研究、教育していく計画です。大学の「真価」は、本学を巣立っていく皆さんが本学での学びを生かして光り輝いて活躍し続けることにあります。新しい健康科学部には、皆さんの卒後・生涯教育を支援していく体制を整備していきますので、皆さんからの要望と積極的な活用をお願いします。また、あとに続く後輩への温かい声援とともに、かけがえのない青春の時間を過ごした新見市での人との出会いや街の思い出を胸に、新見市と大学の発展を祈ってください。
 
 去る2月23日夕刻、「学生による地域貢献活動」をテーマに西方ふれあいセンターで第24回地方創生にいみカレッジ「鳴滝塾」が開催されました。幼児教育学科の卒業生5人から、活動報告とともに、お別れのメッセージが伝えられましたので、その一部を抜粋して紹介致します。「とても残念ですが、私たちは間もなく新見を離れ、この4月からさまざまな場所で新しい生活を送ります。これまで私たちを大切にしてくださって有難うございました。新見の人たちが私たちを笑顔にしてくださったように、これからは私たちが笑顔でそれぞれの場所で出会っていく人たちを笑顔にしていけるように頑張っていきます。」 その時の報告とメッセージの全文が紹介できないのが残念ですが、その夜は、本学の学生と新見が改めて大好きになり、学長であることを誇りに思いました。
 
 看護師、保育士、介護福祉士になるという入学時の夢が叶えられた皆さんの新しい目標となる夢への挑戦に向けて、私の信条であります「夢を持ち続けること。夢は諦めない限り、夢であり続ける」を最後のメッセージとして贈ります。貴方にとっても最も大切な夢が夢で無くなるのは、貴方が諦めたときだけです。夢に向かうことが苦しいと思ったとき、立ちはだかる壁に遭遇したとき、雨の日、雪の日、真夏の炎天下の日に息が切れて、キツかった大学の坂道の急勾配を思い出して下さい。坂の上にあった青春の時間、友との交友、今日少し潤んだ眼差しでいる教職員との笑顔の思い出が、もう一度挑戦する勇気をきっと与えてくれると思います。
 
 皆さんのこれからの輝かしい人生を祈りつつ、卒業、修了に際しての心からの祝辞とさせていただきます。おめでとうございます。
 
平成30年3月18日
新見公立大学・新見公立短期大学学長 公文 裕巳