令和8年度 公立大学法人 新見公立大学入学式 学長式辞(2026年4月4日)
令和8年度入学式学長式辞
あいにくの空模様となりましたが、花の雨に濡れた満開の桜と周囲の山々が新しい出会いを祝福しています。新入生の皆さん、ならびにご列席のご家族の皆様、本日はおめでとうございます。
先ずは、本日、コロナ禍以前の普通の形で入学式が開催できるあたりまえの日常に感謝したいと思います。ご多用中にもかかわりませず、ご臨席を賜りました石田 實 新見市長をはじめご来賓の皆様に心より御礼を申し上げます。
本日、新しく健康科学部の8期生として健康保育学科56人、看護学科84人、地域福祉学科54人、助産学専攻科6人、ならびに大学院健康科学研究科看護学専攻博士前期課程5人、同博士後期課程3人、地域福祉学専攻修士課程4人、計212人の新入生を迎え学生総数は801人となりました。この学生数は、少子・高齢化と人口減少が進む新見市の人口2万5千人、高齢化率44%から考えると際立って多い人数であり、新見市はもとより日本の中山間地域の活力につながることを期待しています。
本学は日本の中山間地域にある唯一の保健福祉系の公立大学であり、その使命として、中山間地域の持続可能な未来像としての地域共生社会の構築とその基盤となる全世代型地域包括ケアの体系化を目指して教育・研究を進めています。加えて、新見市は石田市長のもと、昨年度に「地域共生社会推進本部」を新設し、本部会議、実務者会議等での協議を経て、本年度より本学を核とする産学官民協働での「健康福祉のまちづくり」が本格的にスタートすることになっています。したがって、本学は、保育・看護・福祉の領域における高度専門職人材、実践的指導者、ならびに創造的研究者を育成しつつ、教育・研究の成果を社会実装して「新見モデルのまちづくり」を検証していくという魅力的かつ壮大な実践的プログラムを開始することになります。このプログラムをとおして、「課題先進地域の現場で人と地域を創る新見公立大学」は、中山間地域の知の拠点として、更なる特色化と学びの質向上を目指していく計画であります。新入生の皆さん、大いなる期待をもって一緒に頑張っていきましょう。
改めて、学部入学生の皆さんは、長く辛かった受験勉強を経て、今日の日を迎えられたことと思います。他者との競争は、今回の入試でひとまず終止符を打つこととなり、これからの競争相手は他者ではなく、内なる自分となります。人間の総合力は、知識、技能など数値化できる能力と、必ずしも数値化ができない「人間力」との総和であり、これからは如何にして自分自身の人間力を高めていくかということが重要課題となります。本学では、先ほど触れた本年度からのまちづくり事業の開始以前から、各学科ならびに3学科が共同して地域をフィールドとして学修するとともに、地域交流・地域貢献活動にも全学で取り組んでいます。皆さんには、「誠実・夢・人間愛」の建学精神のもと、新見市全域を学びのキャンパスとして人の優しさやぬくもり、人の孤独や生きづらさに直接触れながら、共に生きる社会と共に生きる人のことを考える「利他の心」と共感力を養い、「人の痛みが分かる優しい人間として生きる力」を身につけて下さい。
ところで、今、2020年から4年間続いた新型コロナウイルスパンデミックは終息しましたが、その影響は未だ少なくなく、少子・高齢化と人口減少に伴う諸々の課題の顕在化や社会に拡散した分断と格差の拡大につながっています。また、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・ハマス戦争に次いで、アメリア・イスラエルによるイラン攻撃など世界的な「人権の無視」と「人間性の喪失」という現実とともに、ネット社会の負の側面などにより、多くの人が孤独・孤立の時代での生きづらさを感じるようになっています。加えて、子どもの幸福度が著しく低下していることも大きな問題となっています。このような時代背景のなか、「健やかな子どもの発達、心の豊かさの向上、高齢者の健康寿命の延伸」を指標として、大学と共に健康福祉のまちづくりを目指す新見市の取り組みの意義は極めて大きいと言えます。また、小規模大学とはいえ学生総数約800人の本学の可能性と影響力は、人口2万5千人のまちだからこそ最大化できると考えられます。助産学専攻科、大学院への入学生の皆さんにも、改めて本学の健康科学の目標と目的意識を共有し、それぞれの学修と研究の成果を中山間地域の持続可能な未来の構築につなげてくれることを期待しています。
一方、まちの活性化と関連することとして、本年度より改めて、学生の皆さんに住民票の新見市への異動を大学として積極的に推奨することとしました。これまでも、総務省より大学進学による住所変更にともなう住民票の異動についての指導を受けてきましたが、自主性にまかせてきました。しかし、現実に、本学学生の約8割の皆さんは新見市で下宿生活を送っており、市民に対する行政サービスとして実施されているごみ処理、上下水道、道路整備などの恩恵は新見市民として受けるのが当りまえであると言えます。また、選挙人名簿の登録変更により、成人の義務である選挙権の行使も容易になります。該当する新入生の皆さんには、これからは、市長・市議会議員選挙に新見市民として直接参加するとともに、本年度からの「健康福祉のまちづくり」事業にも新見市民として、市外からの通学生を巻き込む形で参加してくれることを期待しています。
以上、入学生の皆さんにはいくつかのお願いをしましたが、本日より明るい笑顔に思いやりと感謝の言葉を添えた挨拶を交わしながら、友情の絆を深めつつ、健康に留意して充実した学生生活を送って下さい。ご列席のご家族の皆様には、本学に対する温かいご支援をお願い致しまして、私の式辞とさせていただきます。
令和8年4月4日
新見公立大学学長 公文 裕巳
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