令和6年度 卒業証書・学位記授与式 学長式辞(2025年3月15日)
令和6年度卒業証書・学位記授与式学長式辞
卒業生、修了生ならびにご家族の皆様、本日はおめでとうございます。
2025年3月15日、新見公立大学 健康科学部 健康保育学科53人、看護学科79人、地域福祉学科57人、助産学専攻科6人、そして大学院健康科学研究科看護学専攻博士前期課程4人、同地域福祉学専攻修士課程2人の皆さんに、卒業証書、学位記および本学独自の称号、ならびに修了証書を授与できることを大変うれしく思います。
学部卒業生の皆さんは、本学が2019年度に新・健康科学部1学部3学科となり、「課題先進地域の現場で人と地域を創る新見公立大学」として新たにスタートした4年制大学の第3期生として2021年4月に入学されました。入学式の頃は、大都市圏を中心に新型コロナウイルス感染症第4波の感染拡大時期にありましたが、幸い中山間地域にある本学ではご家族の皆様のご列席のもとに入学式を開催することができました。また、7月23日から8月8日に、1年延期になった東京オリンピックが原則無観客で開催されたことは記憶に新しいところであります。4年が経ち、この間にコロナウイルス感染症は5類感染症となり、昨年はコロナから解放された高揚感に溢れるパリオリンピックが開催されました。
改めてこの4年間に、新・健康科学部として時代を先取りして設計した学修プログラムや新見市全域を学びのキャンパスとする各学科独自の学びや3学科共同の新しい取り組みについては、コロナ禍の影響を多少受けましたが、概ね計画通りに進行しました。特に、3期生の皆さんは1期生、2期生の先輩とともに学ぶ機会があったことに加えて、1期生、2期生での経験を積んだ教職員の支援もあり、各学科での専門職を目指す学びはもとより、地域交流・地域貢献活動についても質的、量的に高めて大いに発展させてくれました。お陰様で、日本の中山間地域にある唯一の保健福祉系の公立大学として、進むべき方向性を再確認することが出来ました。
暖冬だった昨年とは異なり、今年の冬は厳寒の日々が長く続き、積雪の日も多く、新見に春の訪れを告げるアテツマンサクの花の便りも例年の2月末から3月初旬にずれ込みました。少し遅れたとはいえ、まもなく木々の芽吹きや桜の開花が始まり、四方の山々が新緑の濃淡によるモザイクアートへとダイナミックに変化する新見ならではの輝きを放つ季節となります。その季節を待たずに、多くの皆さんは新見を離れることになりますが、四季折々の変化に富む豊かな自然のなかで悠久の時を刻む新見市での4年間を忘れることは無いと思います。4年前、皆さんはこの大学で巡り合うことを想像もしていなかった多くの仲間と初めて出会い、友情と絆を深めつつ、共に切磋琢磨して入学時の夢を叶え、そして今、それぞれの専門職の道に旅立とうとしています。皆さんにとっての4年間は、専門職としての知識、技能の修得とともに、「地域に学び、地域と歩む」本学での学びをとおして、人の優しさやぬくもり、孤独や悲しみに触れ、「人の痛みが分かる優しい人間として生きる力」を身に付けるために必要十分な時間であったと思っています。改めて、「誠実・夢・人間愛」の建学の精神のもとに、本学で培った人間力を生かして、それぞれの現場で共に生きる社会の構築を念頭に活躍してください。
助産学専攻科ならびに大学院を修了された皆さんは、学部卒業生とは少し異なる思いで本日の式典に臨まれていることと思います。多分、助産学専攻科の修了生の皆さんは、1年前のそれぞれの大学での卒業式の感激を思い起こしながら決意を新たにしていることでしょう。一方、大学院の修了生の皆さんは、本学大学院が健康科学研究科に改称・改組してから初めてとなる記念すべき修了生であります。6人の修了生の皆さんには、本学の新しい歴史を拓く、素晴らしい内容の研究をそれぞれに完遂されましたこと、そのことに心よりのお祝いとお礼を申し上げます。改めて、修了生の皆さんには、進学時の初心を貫き目標を達成したことを誇りに、更なる高みを目指してこれからの専門職人生を歩んでください。
ところで、本学の健康科学の目標は、「病気や障害があっても、社会に適応してその人らしく生活している状態が健康であり、それを支える人と仕組みを科学する」ことであります。本日、皆さんのお陰で、「健康を支える人の育成を科学する」新・健康科学部第3期生の卒業、そして「健康を支える仕組みを科学する」大学院健康科学研究科第1期生の修了を迎えることができ、本学の目標に向けての第一ステージを完遂することができました。次年度より、「人と地域を創る」本学の第2ステージとして、中山間の住み慣れた地域で、安心してこころ豊かに共に生きる社会の実現に向けて、社会実装としての「新見モデル」の構築についても新見市とともに始めることになります。皆さんには、この大学に学んだこと、かけがえのない青春の時間を過ごした新見市での人との出会いや街の思い出を胸に、新見市と大学の発展を応援してください。
終わりに、大学の真の価値を決めるのは、本学で学んだ皆さんが、専門職として社会に貢献してくれること、そして「それぞれの夢を紡ぎながら」幸せな人生を送ってくれることであります。輝ける未来に向けて、逞しく、しなやかに飛び立つ皆さんに心からの声援を送ります。
令和和7年3月15日
新見公立大学学長 公文 裕巳
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