令和7年度 卒業証書・学位記授与式 学長式辞(2026年3月21日)
令和7年度卒業証書・学位記授与式学長式辞
卒業生、修了生ならびにご家族の皆様、本日はおめでとうございます。
2026年3月21日、新見公立大学 健康科学部 健康保育学科52人、看護学科87人、地域福祉学科51人、助産学専攻科6人、そして大学院健康科学研究科看護学専攻博士前期課程4人、同地域福祉学専攻修士課程3人の皆さんに、卒業証書、学位記および本学独自の称号、ならびに修了証書を授与できることを大変うれしく思っています。
ご多用中にもかかわりませず、ご臨席を賜りました石田 實 新見市長をはじめご来賓の皆様に御礼を申し上げます。
本学は、1980年に設立された新見女子短期大学に始まりますが、本日の卒業生、修了生についてみると、卒業生は2019年に改組した新・健康科学部の4期生であり、修了生は2015年に開設した助産学専攻科の11期生とともに、2年前の2023年に改称・改組した大学院健康科学研究科の修了生であります。このことは、本学が45年の歴史と伝統を基盤に、常に教育改革と新しい体制の整備とともに進化を続け、時代の要請に応える創造的な人財を輩出し続けていることを示しています。
また、本学の目標である中山間地域の持続可能な未来像としての地域共生社会の構築とその基盤となる全世代型地域包括ケアの体系化についても、本日の卒業生や修了生の真摯な学びとともに着実に進展しています。加えて、一昨年末の石田 實 新見市長の誕生とともに、2025年度に「新見市地域共生社会推進本部」が新設され、本学を核として「健康福祉のまちづくり」が産学官民協働でスタートしています。日本の中山間地域にある唯一の保健福祉系の公立大学の使命として、中山間の住み慣れた地域で、安心してこころ豊かに共に生きる社会の実現に向けて、その社会実装としての「新見モデル」の構築は、これから全国的にも注目を集めることになると思います。卒業生・修了生の皆さんにも引き続きサポートをお願い致します。
ところで、今年の冬は、寒暖差が大きく積雪の日も多かったとはいえ、厳寒の日々が長く続いた2025年と比較してやや暖かく、新見に春の訪れを告げるアテツマンサクの花の便りも例年どおり2月末に届きました。まもなく木々の芽吹きや桜の開花が始まり、四方の山々が若葉と新緑との濃淡によるモザイクアートへとダイナミックに変化する新見ならではの輝きを放つ季節となります。そして、季節は巡り四季折々の変化に富む豊かな自然のなかで悠久の時が刻まれていきます。学部卒業生の皆さんは、4年前、巡り合うことを想像もしていなかった多くの仲間と本学で初めて出会い、友情と絆を深めつつ、共に切磋琢磨して入学時の夢を叶え、そして今、それぞれの専門職の道に旅立とうとしています。皆さんにとっての4年間は、専門職としての知識、技能の修得とともに、「地域に学び、地域と歩む」本学での学びをとおして、人の笑顔と優しさやぬくもり、悲しみや孤独に触れ、「人の痛みが分かる優しい人間として生きる力」を身に付けるために必要十分な時間であったと思っています。改めて、「誠実・夢・人間愛」の建学の精神のもとに本学で培った人間力を生かして、それぞれの社会の現場で共に生きる社会の構築を念頭に活躍してください。
助産学専攻科ならびに大学院を修了された皆さんは、学部卒業生とは少し異なる思いで本日の式典に臨まれていることと思います。助産学専攻科の修了生の皆さんは、多分、1年前のそれぞれの大学での卒業式の感激を思い起こしながら決意を新たにしていることでしょう。また、大学院を修了された7人の2期生の皆さんは、新卒と社会人とそれぞれに異なる背景の方々が、高い学修意欲で共に支えあい、2期生として本学の歴史を拓く、素晴らしい内容の研究を完遂されたことにお祝いとお礼を申し上げます。改めて、修了生の皆さんには、目標を達成されたことを誇りに、更なる高みを目指してこれからの専門職人生を歩んでください。
さて、21世紀は予測不能な変化の時代になると言われてきましたが、学部卒業生の皆さんが入学した2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が2月に始まり、次いでイスラエル・ハマス戦争に加えて、先月末からはアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃により戦火と混乱が拡大しています。皆さんの大学4年間は、皮肉にも世界の平和と人権を守る秩序が崩れていく過程と重なってしまいました。その結果、皆さんは、大国の論理による「分断」と「人間性喪失」という不条理なニュースを背にしながら、その対極にある一人ひとりの生命に直接寄り添う保育・看護・福祉の専門職への道を歩むことになりました。しかし、人間の脳の最高中枢である前頭前野の成熟期に平穏で豊かな時が流れる新見で、共に生きる社会のことを考え、自分の存在に意味があること、利他的な行為が快い感情と共感性を導くことを学んだ皆さんは、間違いなく「人間力としての利他の心」を持って、変化の時代を志高く、しなやかに歩む力を身に着けています。皆さんが明日から立つ保育、看護、福祉の現場には、目の前にあなた支援を必要とする人が必ずいます。世界を変えることは不可能かも知れませんが、あなたの暖かい手のぬくもりが目の前の人の心を癒し、「共に生きる社会」を確実に拡げていくはずです。
終わりに、卒業生、修了生の皆さんには、新見公立大学に学んだことを誇りに、あとに続く後輩たちへの温かい思いやりとともに、かけがえのない青春の時間を過ごした新見市での人との出会いや街の思い出を胸に、新見市と大学の発展を応援してください。 変化の時代を志高く、しなやかに歩む皆さんに心からの声援を送ります。
令和8年3月21日
新見公立大学学長 公文 裕巳
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