卒業生、修了生の皆さん、本日はおめでとうございます。
 

 2022年3月19日、新見公立大学 健康科学部看護学科64人、助産学専攻科6人、大学院看護学研究科5人の皆さんに、卒業証書、学位記および修了証書を授与できることを大変うれしく思います。

 オミクロン株による新型コロナウイルス感染症第6波の収束が未だ見通せない状況にありますが、感染予防対策を講じながら、今、こうして保護者の皆様を交えての式典が開催できていることを素直に喜びたいと思います。

 コロナ禍での3回目の春を迎え、学部卒業生の皆さんには、4年間の学びの凡そ半分の時間が新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響を受けることになりました。幸い、本学が中山間地域にあること、ならびに独自の感染症対策と皆さんの努力により、学内での学びの質は保つことが出来ました。しかし、臨地実習など医療現場での学びの制約に加えて、アクリル板、マスク、消毒、ディスタンスのある学内生活と行動制限をともなう日常生活により、長くストレスの多い日々を過ごすことになったと思います。それにも拘わらず、今、壇上から、マスク姿ではありますが、充実感と自信に満ち溢れた晴れやかな皆さんの眼差しを拝見し、この4年間で見違えるほど立派に成長してくれたことに安堵するとともに、皆さんを誇らしく思います。

 この4年間のなかで、今年の冬は寒さが最も厳しく、雪の日も多かったと思いますが、今月初めには、新見に春の訪れを告げるマンサクの花の便りが届きました。そしてまもなく始まる桜の開花や木々の芽吹きは、冬が寒かっただけに、いつも以上に感動的なものになると思います。

 また、この4年間のなかで、1年目には西日本豪雨、2年目には新見集中豪雨、そして3年目、4年目はコロナウイルス感染症に見舞われることにはなりました。しかし、防災意識の向上や災害医療における看護の役割、ならびに感染対策やワクチン接種の意義について、身を持って学ぶ機会になったと考えられます。そしてなによりも、人の優しさやぬくもり、人と人との繋がりやコミュニケーションの大切さを深く心に刻み込むことが出来たのではないでしょうか。

 一方、この4年間のなかで、大学としての最大のイベントは、新棟・地域共生推進センター棟が完成し、2020年10月に開学40周年の記念式典と記念講演会を開催することが出来たことであります。記念講演は、共に生きる社会を目指して、がんとコロナをテーマにした2演題でありましたが、国立がんセンター名誉総長垣添忠生先生の自らの体験を交えた講演は、皆さんのがん看護の視点に変化をもたらす印象深いものになったと思っています。
 また、新棟の完成は、皆さんの学修環境を飛躍的に改善することになったと思いますが、それとともに玄関に向かう通路外壁を飾る浪崎文彰氏のライムアート3点と玄関ホールの大桐國光氏のブロンズ像に、皆さんへのメッセージとして「遥かなる夢への憬れを抱きつつ、学びの厳しさを知り、人間力を鍛え、情熱と忍耐力をもって挑戦し続けること」という思いを込めることが出来ました。皆さんの日々の学びを映した本学の学歌とともに思い出して欲しいと思っています。

 あらためて、学部卒業生ならびに修了生の皆さんには、初心を胸に、新見公立大学で学んだことを誇りに、「病める人間のQOLを考え、厳しくも、温かく支える」看護の心とともに、日々進化する科学、医療の現場において学び続ける姿勢を持ち、自分らしくこれからの専門職人生を歩み続けて下さい。大学の真の価値を決めるのは、皆さんが、専門職として社会に貢献してくれることと同時に、ワーク・ライフ・バランスを考えた幸せな人生を送ってくれることです。 WithコロナからPostコロナの時代に向けて新見公立大学を旅立つ皆さんの活躍を期待しています。

令和4年3月19日
新見公立大学学長 公文 裕巳

令和3年度卒業証書・学位記授与式学長式辞.pdf [ 83 KB pdfファイル]