新見公立大学教職員が、学生に向けてお勧めの本を紹介する企画です。


 専門分野の良書や、人生について考える書、面白い小説など、様々なジャンルの本が紹介されています。推薦図書を通じて、普段はなかなか接する機会のない他学科の教員や、よく知っている教員の意外な一面を発見することができるかもしれません。

 紹介されている本は図書館で借りることができます。

 

看護学科
健康保育学科
地域福祉学科

 

公文裕巳学長の読書ノート

NEXUS 情報の人類史 下・AI革命 (河出書房新社 2025)  ユヴァル・ノア・ハラリ 著  柴田 裕之 訳

   ハラリ氏はイスラエルの歴史学者、哲学、思想家。NEXUS(情報のつながり、ネットワーク)について、上巻(歴史編)で「秩序を構築する道具」として使用されてきた情報が、AI革命により「自律的なエージェント(代理人)」として変化していることに警鐘をならしている。下巻でAIは「非人間的な知能」と定義され、アルゴリズムが社会を分断する「シリコンのカーテン」となる脅威に対し、いかに人間が自己修正可能な制度を維持できるかを問う情報の人類史の完結編。

 

 

 

 

 

 

ゲーテはすべてを言った(朝日新聞出版 2025) 鈴木 結生 著

    第172回芥川賞受賞作品。高名なゲーテ学者・博把統一が自身の結婚記念日に娘に招待してもらった食事会で、ティーバッグに書かれたゲーテのある言葉に偶然出会う。その言葉の出典を探し求めて奔走する姿をとおして、一人の学者の過去記憶と現在のエピソードをとおして人間・統一が巧みに描かれている。

 

 

 

 

 

 

ババヤガの夜  (河出文庫 2023)   王谷 晶 著

   世界最高峰のミステリー文学賞英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳小説部門を日本人で初めて受賞した作品。暴力を唯一の趣味とする最強の女、新道依子が、関東最大級の暴力団組長の一人娘・尚子の護衛兼運転手を任されることから始まる物語。熾烈なバイオレンス描写の中に、孤独な魂が共鳴し合うシスターフッドと疾走感溢れるアクション・ノワール作品。なお、ダガー賞の対象は「Crime Fiction(犯罪小説)」でジャンルが広いのが特徴とのこと。

 

 

 

 

 

 

久保俊英学部長の読書ノート河鉄道

あんまり役に立たない日本史 (PHP研究所 2025)  しろっぷ じゅんぺい 著

 ポッドキャストの番組としてブレークした後に出版された本です。推薦書という範疇には入らないかもしれませんが、受験勉強で習った歴史では学べなかった、歴史上の人物の人間味あふれるエピソードや意外な事実を知ることが出来て、歴史に関心を持つきっかけとなる本であること請け合いです。私は、この本の登場人物に興味をもって、更に伝記物を読んでいくスタイルとなっています。

 

 

 

 

 

 

銀河鉄道の父(講談社 2017) 門井 慶喜 著

 宮沢賢治の父・宮沢政次郎の目を通して、息子をはじめとする家族を描く作品です。忠実な史実に基づいて、賢治そのものの生い立ちを再度知るきっかけにもなりますが、父親の愛情について深く考えさせられる作品です。ちょっと冗長で中だるみする部分もありますが、今までの伝記物にはない味わいがあります。

 

 

 

 

 

 

経済学で読み解く大相撲300年史 (日本評論社 2025)   山村 英司 著

 相撲の歴史を経済学の視点(労働市場、興行収入、グローバル化など)で分析し、江戸時代から現代までの相撲界の変遷を解き明かすユニークな1冊です。相撲のビジネス面や労働環境がよくわかるし、経済史として興味深いと思います。もっとも、私のような相撲マニアでないとなかなか読む意欲がわかないかもしれませんが……。

 

 

 

 

 

 

おかやま、城さんぽ。(山陽新聞社 2024) 乗岡 実 監修  山陽新聞社 編

 岡山城、備中松山城、津山城、備中高松城という岡山の主要4城を、絵図や古写真を交え、歴史秘話と共に紹介する本です。歴史に興味のある人であれば、折角岡山に来たのだから岡山を散策するガイドブックとして活用すると楽しいと思います。ここから、城下町としての新見になぜ城跡がないかなどに興味をもってくれると嬉しいですが。

 

 

看護学科

 塩見和子先生の読書ノート

ケアの実践とは何か 現象学からの質的研究アプローチ(ナカニシヤ出版 2017) 西村 ユミ、榊原 哲也 編著

 看護の現場で行われる「ケア」を単なる技術ではなく、人と人との関係性に根ざした営みとして捉え直す本です。現場での具体的な事例を通して、ケアが必要な理由、ケアを支える思考とは何かについて、ケアの意味を深く理解するための1冊です。

 

 

 

 

 

 

 

ケアってなんだろう(医学書院 2006) 小澤 勲 著

 ケアの意味や価値を解説し、実際の事例を交えながらケアを通じて何が生まれるのかなど、ケアの本質を理解できる1冊です。ケアを単なる技術ではなく、人と人との関係性に根ざした営みであることを教えてくれます。

 

 

 

 

 

 

 

語りかける身体 看護ケアの現象学(ゆみる出版 2001) 西村 ユミ 著

 患者と看護者の間における非言語的なやり取りの意味を学ぶことができます。身体を通じた語りかけが、ケアの本質として大切であることなど、患者と看護者の関係性を深く考えるきっかけとなるでしょう。

 

 

矢庭さゆり先生の読書ノート

感情労働の未来 脳はなぜ他者の“見えない心”を推しはかるのか?(河出書房新社 2025) 恩蔵 絢子 著

 本書は、脳科学者である著者が、「感情労働」について、従来の社会学的な説明を超えて、脳の働きや人間の認知・感情システムをもとに再定義しています。特に、IQとは異なる新たな知性として、他者の見えない心を推しはかる力である、社会的感受性や感情的知性(EQ)について触れている。興味深い本です。

 

 

 

 

 

 

ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる(岩波書店 2025) 小川 公代 著  

 『フランケンシュタイン』の物語からスタートしますが、物語を知らなくても、論破と対話、親ガチャ、マンスプレイニング等章立ての内容を通じて読み進めやすい本です。ケアとは単なる「お世話」や「優しさ」ではなく、他者に耳を傾け関係性を育む行為として再定義されており、ケアの概念が広がると思います。一度読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

自分にやさしくする生き方(ちくまプリマー新書 2025) 伊藤 絵美 著

  日常的なストレスや自分を責める心とどう向き合うかを具体的に学ぶためのスキルとしてのセルフケアをテーマにしています。安心・安全な環境をつくる方法や、自分の中核的感情欲求(例:愛されたい・自由でいたいなど)に目を向けて満たす方法、そしてセルフ・コンパッション(自分への優しさ)の実践など、心理学理論に裏付けられた技術が紹介されています。

 

 

 

 

 

 

 

金山時恵先生の読書ノート

離島で研修医やってきました。お医者さん修行中コミックエッセイ (KADOKAWA 2015)  水谷 緑 著

 研修医2年目の「ポチ」が地方の大学病院から離島に1か月の地域医療研修にやってきました。島の生活の情景や、地域医療の実際や温かい人間関係の様子がコミカルな絵柄で描かれています。地域医療や在宅医療の実態が伝わる1冊です。地域医療に関心のある方は必見です。コミック形式なので読みやすいと思います。

 

 

 

 

 

 

病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。現役看護師イラストエッセイ(いろは出版 2018) 仲本 りさ 著

 この本の著者は現役の看護師であり、イラストレーターです。臨床1~2年目の実体験として、先輩看護師や医師、患者との関わりや心境の変化などがイラストとストーリーで描かれています。先輩や患者さんとの心の交流、さまざまな葛藤や多くの大切な言葉に支えられながら奮闘する姿や成長する過程がリアルに共感できると思います。絵本のように読みやすく、初心に戻れる1冊です。

 

 

 

 

 

 

たんぽぽ先生の在宅医療エッセイ 在宅医療で大切なこと(愛媛新聞サービスセンター 2021) 永井 康徳 著

 この本は愛媛新聞の連載コラム「四季録」をもとに、在宅医療における患者・家族、医療者の関係や死生観が綴られたものです。「本人の最善」を尊重し患者と家族共に最期までどのようにより良く生きるかを考えることなど、在宅医療という「死に寄り添う現場」の実際から、在宅医療や看取りに関する深い理解と実行力の重要性を学ぶことができると思います。続編も出ていますので、併せて読んでみてください。

 

木下香織先生の読書ノート

私的高齢者ケア論 リアルな老いから考える、新しいケアのかたち(医学書院 2025) 川嶋 みどり 著

 94歳を迎えた著者が、既存の老年看護書に描かれる高齢者像と、当時70歳であった自身の心身の実感とのギャップを起点に執筆された1冊です。サブタイトルのとおり、日常生活の中で感じる加齢変化―老い―が丁寧に言語化されています。認知症ケアへの提言、実母の介護を通した葛藤、超ベテランナースの実践など、多様な視点から高齢者ケアが語られ、12年の歳月をかけて紡がれた老年看護のバイブルといえる1冊です。

 

 

 

 

 

 

看護倫理 見ているものが違うから起こること 第2版(医学書院 2024) 吉田 みつ子 著

 看護の場で生じる迷いや葛藤が、患者本人や家族の立場からどのように経験されているのかを、「立場や見ている世界の違い」という視点から描いた1冊です。日常の看護実践に引き寄せながら倫理について丁寧に考えられる構成となっており、「相手の立場になって考える」姿勢を自然に育ててくれます。何気ない場面にも気づける感性を養う1冊です。

 

 

 

 

 

 

あなたにもできるスピリチュアルケア(医学書院 2025) 小澤 竹俊 著  豊原 亮子 イラスト

  臨地実習で多くの学生が不安を感じやすいコミュニケーションの本質をやさしく教えてくれる1冊です。相手の言葉を遮らずに聴くこと、沈黙を共有することの意味を具体的な場面とともに示し、“どう話すか”以前に“どう在るか”が支援になると伝えています。答えを出せない場面でも、そばにいるという選択を肯定し、行動する勇気を与えてくれる本です。

 

 

 

 

 

 

栗本一美先生の読書ノート

勿忘草の咲く町で 安雲野診療記 (KADOKAWA/角川文庫 2022) 夏川 草介 著

 本書は、安曇野の美しい自然を背景に高齢者医療の現場で働く研修医や看護師の葛藤と成長を描いた作品です。命の尊さや死の現実、そして「生きる意味」を問いかけながら進みます。患者一人ひとりの人生に寄り添う姿勢や、医療者としての責任感、時に感じる無力感が丁寧に表現されています。勿忘草という花言葉「私を忘れないで」が象徴するように、記憶や絆の大切さが物語全体に流れているように感じます。医療現場の厳しさだけでなく、人と人との温かなつながりが描かれており、読んだ後に、静かな感動と命に向き合う勇気を与えてくれます。

 

 

 

 

 

超人ナイチンゲール シリーズケアをひらく(医学書院  2023)栗原 康 著

    本書は、従来の“清く正しい”イメージを覆す、ロックでアナーキーな伝記です。そのため、ナイチンゲールを従来の角度ではない角度から見つめることができる作品です。
  ナイチンゲールの強烈な行動力や資金力、統計に基づく改革、そして「黒衣」をまとった魂の革命家としての姿が鮮烈に描かれています。著者の軽快な語り口と深い洞察が、近代看護の母を“超人”へと昇華させています。その壮烈さと熱量に、読む者は圧倒され、改めて「ケア」の本質を問い直されます。

 

 

 

 

 

 

ちょっぴりながもちするそうです(白泉社 2024)ヨシタケ シンスケ 著

   本書は、つかれているのか、よくわからない人に届けたい効果があるかもしれない、ヨシタケ流おまじないの“心を軽くする”絵本です。思わず微笑む不思議なフレーズが並び、「夜中に小おどりするとヌーがごちそうにありつける」「ハンカチを本に挟むと心配事がすいとられる」など、どれも日常にちょっとした安心をくれそうな内容が書かれています。絵本なので、心が疲れていそうなときには読みやすく、大人にも子どもにも、そっと寄り添うユーモアと優しさが心地良いです。そして、読み終える頃には、穏やかな余韻が残ります。心のお守りになってくれそうな本です。

 

 

 

 

礒本暁子先生の読書ノート

暁星(あけぼし)(双葉社 2025) 湊 かなえ 著  

 宗教2世が政治家を刺殺する事件から始まる物語です。犯人の手記と事件を目撃した小説家が書いたフィクションの2部構成となっています。逃れようのない子どもに自分の価値観を無自覚に押し付ける怖さ、日常生活を壊すほど宗教へ傾倒する怖さ、自分の大切にしたいものをどう守るか、異なる価値観との折り合いをどうつければよいのか様々なことを考えさせられる1冊です。

 

 

 

 

 

 

出口のない海(講談社 2006) 横山 秀夫 著

 第2次世界大戦の終戦間際に、海戦の特別攻撃のために開発された人間魚雷「回天」への搭乗を決意した若者の物語です。先人がいのちをかけて守ってくれた事実を忘れず、戦争や特攻にいのちをかけることなど二度とない日本の継続を心から願いたくなる物語です。

 

 

 

 

 

 

 

水を縫う(集英社文庫 2023) 寺地 はるな 著

 水を縫うという題をみて、え?と感じ、固定観念に縛られている自分に気づきました。男だから、女だから、普通、あたりまえ、見えない期待や評価から抜け出して、人として、自分らしく生きていくきっかけを与えてくれるかもしれない物語です。

 

 

 

 

 

 

 

井上真一郎先生の読書ノート

仮面山荘殺人事件(講談社文庫 1995) 東野 圭吾 著

 8人の男女が集まった別荘に、逃亡中の銀行強盗が乱入。逃げ場もなく、外部に助けを求めることもできない緊迫した状況のなか、まさかの殺人事件が起こる。ところが、現場の状況から、銀行強盗が犯人とは考えられない。疑心暗鬼に陥った一同は、互いを疑いながら犯人探しを始めるが……その先には、想像をはるかに超える衝撃の結末が!!
 無人島や山荘など外界から遮断された閉鎖空間ミステリ、そして「そう来たか!」と思わず唸る鮮やかな大どんでん返しが好きな方には、間違いなく刺さる1冊です。ぜひ東野圭吾ワールドを堪能して下さい!

 

 

 

 

 

本日は、お日柄もよく(徳間文庫 2013)原田 マハ 著  

 タイトルから想像するような結婚式の物語ではなく、「言葉の力」を真正面から描いた小説である。伝説のスピーチライターに弟子入りした主人公は、言葉の技術ではなく、相手に真摯に向き合い、想いを込めて伝えることの本質を学んでいく。作中に登場する祝辞や弔辞、政治の場でのスピーチはいずれも胸を打ち、読者自身の心も大きく揺さぶる。言葉が人を動かすだけでなく、語る側の人生をも変えていくことを丁寧に描いている点が印象的である。
 AIが言葉を生み出す時代だからこそ、人が考え抜いて紡ぐ言葉の価値はいっそう際立ちます。将来、人と関わる仕事を志す学生さんに、ぜひ手に取ってほしい1冊です!

 

 

 

 

 

すばらしい人体  あなたの体をめぐる知的冒険 (ダイヤモンド社 2021) 山本 健人 著  

 人体のしくみを探求する学問――それが医学である。私たちの生活とこれほど密接に関わっているにもかかわらず、医学や人体について体系的に学ぶ機会は、意外なほど少ない。学校教育で扱われるのはごく一部で、人体の「いちばん面白いところ」に触れないまま大人になる人がほとんどだろう。
 たとえば、少々下世話な話だが、私たちが何の不安もなく(?)「おなら」をできるのは、肛門に達した内容物が固体・液体・気体のどれなのかを瞬時に判別し、気体だけを選び取って排出するという驚くべき仕組みが備わっているからだ。こんな話を知るだけでも、「人体ってすごい」「医学って面白い」と思わずにはいられない。
 「へえー!」「なるほど!!」が次々と飛び出す、知的好奇心をくすぐる1冊。少しでも興味をもった方は、ぜひ同じ著者による「すばらしい医学 -あなたの体の謎に迫る知的冒険-」もあわせてお読みください!

 

矢嶋裕樹先生の読書ノート

入社1年目の教科書(ダイヤモンド社 2011) 岩瀬 大輔 著

 入社1年目という時期を、単なる「慣れの期間」ではなく、その後の職業人生を規定する重要な基礎形成期と捉える。そして、この段階で身につけるべきは業界知識ではなく、時間の使い方、自ら考えて動く姿勢、相手の期待を意識する力、経験を学びとして蓄積していくという普遍的な仕事の考え方と行動の型であると説く。これらの姿勢や行動の原則は大学生にも当てはまり、実りある大学生活を送るために不可欠なものである。

 

論理的思考とは何か(岩波書店 2024) 渡邉 雅子 著

 本書は、論理的思考を世界共通で不変のものとみなす見方を問い直し、論理には文化と価値観に根ざした多様な型があることを示す。アメリカ、フランス、日本などの作文様式の比較を通じ、経済・政治・法・技術・社会という五領域それぞれに異なる論理が存在すると論じる。目的や場面に応じて論理を使い分ける「多元的思考」こそ、現代社会に求められる実践的な知的態度である。

 

 

 

 

 

 

貧困と闘う知 教育、医療、金融、ガバナンス (みすず書房 2017) エステル・デュフロ 著  峯 陽一、コザ・アリーン 訳 

 著者は、貧困対策を理念や善意ではなく、ランダム化比較試験(RCT)による検証結果に基づいて科学的に考える。貧困は教育、健康、制度、心理的制約などが複雑に絡み合って生じるため、万能な処方箋は存在しない。教育支援や保健医療、貧困層向け金融の事例から、直感的に「良い」政策が必ずしも効果を持たず、制度設計のごく小さな工夫が人々の行動を大きく変える。貧困対策を検証可能な仮説として捉え、評価と修正を重ねる姿勢の重要性を教えてくれる。

 

 

 

 

 

 

上山和子先生の読書ノート

八雲の妻 小泉セツの生涯(潮文庫 2025) 長谷川 洋二 著

 小泉八雲の妻、小泉セツの生涯について綴られた書である。本書は、セツの幼少期からハーンとの人生の伴侶であった13年間だけでなく、ハーンがわが子と妻セツに対する生活を気遣っていたのかを知る書である。また、セツは、ハーンのわが子に対する教育方針を熟知し、期待に応える対応を取ろうとした。セツの晩年と子どもとの関係で、特に長男の一雄とのやりとりから、ハーンの子どもの生末を案じていることが良く分かる書である。

 

 

 

 

 

 

岡山県新見の伝説 玄賓僧都・後醍醐天皇・金売吉次・人柱(法藏館 2024) 原田 信之 著  

 本学がある新見市の歴史を振り返り、地名の由来や新見庄に関する多数の資料に触れている。その中で、後醍醐天皇が隠岐への道中に通ったといわれる地域には、後醍醐の名がついた神社などが紹介されている。本書は、新見での歴史的伝承について、本学、原田信之教授による解説書である。大学4年間を過ごす新見の歴史に触れる機会として推薦したい。

 

 

 

 

 

 

國分 功一郎 著 暇と退屈の倫理学(新潮文庫刊 2022)

 退屈と気晴らしが入り混じること、楽しみもそれなりにあることは、人としての生活をしていく上で必要なことである。楽しむことを学び、思考を体験することで、人はそれを受け取れることができるようになる。また、このことは他人と関わる事柄を思考することができる段階に発展する。豊かな社会において思考を持てる時間の工夫が必要である。そのために好きなもの、夢中になるものを提案している書である。

 

 

 

 

 

 

原田信之先生の読書ノート

地方消滅2 加速する少子化と新たな人口ビジョン(中公新書 2024)人口戦略会議 編著

 このままでは全国896の自治体が消滅すると記して衝撃を与えた『地方消滅』(2014年)は、当時ベストセラーとなった。10年後に出版された本書には、消滅可能性自治体が744自治体で若干改善しているが、少子化の基調は変わっていないと記されている。現在の状態が続くと、1億2400万人(2023年時点)の人口は、2100年には6300万人に半減すると推計されているという。本書では持続可能な社会へ向かうための戦略を示している。巻末に全国1729自治体の若年女性減少率予想が掲載されており参考になる。

 

 

 

 

 

 

 

関係人口 都市と地方を同時並行で生きる(光文社新書 2025)高橋 博之 著 

 「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す新しい言葉である(総務省「二地域居住・関係人口」ポータルサイト)。 著者は、「関係人口」という言葉と概念を生み出した人で、東日本大震災や能登半島地震の被災地での実践など、衰退する地方の課題を解決するために多彩な活動を行っている。二地域居住を含む関係人口が社会実装された人口流動化社会こそがこれからの日本には必要だと主張している。

 

子どもの体験 学びと格差 負の連鎖を断ち切るために(文春新書 2025)おおた としまさ 著

 現在の子育て世代において、子どもにさまざまな体験をさせる必要があるという体験ブームが蔓延しており、「体験格差」という言葉まで登場しているという。水泳、サッカー、武道、ピアノ、絵画・造形、英語、プログラミング等々、体験の詰め込み教育が行われている現状に対し、筆者は、体験ブームは「社会の歪み」で「呪い」だと述べ、社会全体でこの歪みを解消する必要があると主張している。

 

 

 

 

 

 

 

土井英子先生の読書ノート

自由論(岩波書店 2000) J.S.ミル 著  関口 正司 訳

 功利主義の代表的な思想学者が書いた不朽の古典書です。自由とは何かを考え、論じるには是非読んでおくとよいと思います。随分前に購入し、読んでいたのですが、改めて読み直しました。「最大多数の最大幸福」、「個人の自由は、この程度までは制限されなくてはならない。個人は他人の迷惑になってはならない」の記述は有名です。

 

 

 

 

 

 

自殺の看護(すぴか書房 2010) 田中 美恵子 編

  自殺者は年々増加傾向にあり、自殺の原因は健康問題が多いことは周知の事実です。病院内での患者の自殺により、多くの看護師が後悔や挫折、悲嘆を経験している現状が書かれています。
 自殺は医療事故であるという認識、自殺の防止のために環境を整えることの大切さが書かれています。

 

 

 

 

 

 

「聴く」ことの力(筑摩書房 2015) 鷲田 清一 著

 臨床の知とは、臨床哲学とは、聴くこと、身体論、ケア論などについても書かれている。
「いいんだよ。おまえはそのままで。」という態度や姿勢を大切にしたいと改めて読んで思いました。

 

 

四宮美佐恵先生の読書ノート

大丈夫やで ばあちゃん助産師のお産と育児のはなし(産業編集センター 2011)坂本 フジヱ 著

 長年助産師として活躍してきた坂本フジヱさんの言葉には、命の誕生に寄り添ってきた深い経験と温かさと力強さに心を打たれました。「大丈夫やで」という一言に込められた安心感は、母親だけでなく、すべての育児に関わる人々の心を支えてくれます。助産師としての誇りと使命感、そして人と人とのつながりの大切さが、優しい語り口の中にしっかりと息づいていて、命の始まりに関わる仕事の尊さを改めて感じることができる本です。

 

 

 

 

 

 

船上の助産師(ほんの木 2024)小島 毬奈 著 

 地中海の難民救助船で活動する日本人助産師の記録で、命の誕生がいかに過酷な状況下でも希望となり得ることを教えてくれます。戦争や迫害から逃れてきた女性たちの出産に立ち会う中で、助産師としての技術だけでなく、人間としての尊厳と共感が試される場面が多く描かれています。医療資源が限られた船上で、命を守るために奮闘する姿は、助産師の役割の本質を浮き彫りにしています。そして、助産師という職業が持つ力と、命の尊さを強く感じさせてくれる本です。

 

 

 

 

 

 

運命に寄り添う、そして生きる(幻冬舎メディアコンサルティング 2022)輪月 舟 著

 助産師としての使命感と、個人としての苦悩が交錯するリアルな人生記録です。著者が「寄り添う」という言葉に救われ、他者に寄り添う力を見出す姿は、深い共感と勇気を与えてくれます。特に、子育てや人生に行き詰まった人へのメッセージは温かく、現場で支援する専門職にも示唆を与える内容です。困難を乗り越える力は特別なものではなく、誰もが持つ「寄り添う心」から生まれることを教えてくれる本です。

 

山本智恵子先生の読書ノート

きもちのこえ 19歳・ことば・私 (毎日新聞出版 2008)大越 桂 著

 重度脳性まひと強い弱視がある19歳の筆者の思いが書かれています。中学生の時に気管切開をしたことで声を失い、言葉でうまく伝えられない葛藤やサインが伝わった時の気持ちなどがストレートに表現されています。声で表現できない方の思いや感情が、確かに存在していることに気づかされ、「伝えられない」のではなく「受け取れていないのかもしれない」という視点を与えてくれる1冊です。

 

 

 

 

 

 

海の石(光文社 2012)大越 桂 著

 23歳の重度の障がいとつき合いながら生きておられる筆者が書いた詩集です。テーマは『いのち、言葉、自我・自立』で、生きるよろこびを伝えてくれます。筆談で自分の意思を伝えられるようになって書かれた『初めてのことば』から始まり、筆者が感じてきた日常の思いが表現されています。生きることや言葉の意味を、あらためて考えさせてくれます。

 

花の冠(朝日新聞出版 2012)大越 桂 著

 重度障がいをもつ人の暮らしと人生を通して、人の尊厳やその人らしさが伝わってくる詩集です。テーマは『日々の生活、その中の小さな積み重ね、震災の追悼・復興』で、テーマが違う『海の石』と同時に刊行されました。筆者が書いた『花の冠』が東日本大震災応援歌になり、2011年当時の総理大臣の所信表明演説に引用されたりと注目を集めました。自分の意思が伝えられない時間があった筆者だからこそ、言葉で人とつながる喜びが表現されている気がします。

 

 

 

 

 

 

 

真壁五月先生の読書ノート

看護のアジェンダ(医学書院 2016)井部 俊子 著

 2005年から11年間にわたって「週刊医学界新聞」看護号で連載された、看護の課題をまとめたエッセイ集です。医療の現場における患者の視点、看護教育や看護管理の課題など、多岐にわたるメッセージが平易な言葉で記されています。臨床での日常的な場面から、1枚の絵を描くように看護の本質や看護管理のありかたなどを浮かび上がらせて“見える化”してくれる1冊です。

 

 

 

 

 

 

これからの倫理と看護 第2版(日本看護協会出版会 2025) 手島 恵 著

 医療機関で看護管理者として勤務した著者が、日常の看護、組織管理、今後の看護実践で問われる倫理的課題について解説し、看護の専門性と責任について述べています。これからの看護者が持つべき倫理観とは何かについて、深い意味が語られています。将来看護職として活躍する学生の皆さんに是非読んでいただきたい1冊です。 

 

 

 

 

 

 

君がいるから(大和書房 2023)まなつ&まふゆ 著

 日常生活ではいろいろな困難に出会います。そのような時、頑張る人を認め、こっそり癒しを届けてくれる絵本です。言葉も優しいのですが、イラストがとても暖かく、ほっこりします。疲れたな、と思う時におすすめします。

 

 

 

 

赤澤真旗子先生の読書ノート

加害者の指導と支援でいじめを減らす いじめを限りなくゼロにする教師のかかわり・学校のかかわり・親のかかわり
(遠見書房 2025)藤井 和郎 著

 中学校教諭、校長、大学教員を経験し、岡山県総社市で「だれもが行きたくなる学校づくり」を推進した著者がまとめた本です。通常、いじめが発生すると加害者の子どもたちには反省を促して終わらせることが少なくありません。再びいじめに走らないような支援とはどのようなものなのか、教育的視点で具体的な「いじめ加害者支援システム」を提案されています。教職を目指す方だけでなく、多くの方に読んでいただきたい1冊です。

 

 

 

 

 

 

梨木 香歩 著 裏庭(新潮文庫刊 2001)

 13歳の少女が荒れた洋館の「裏庭」と呼ばれる異世界で、魂の冒険を通して自身の心の傷と向き合い成長するファンタジー小説です。「心の傷」にきちんと向き合うことが本当の癒し、成長や自立につながるのだというメッセージが伝わってきます。誰もが心に「裏庭」を持っており、成長することは困難な旅路ですがその中で得たものは、これからを照らす灯ともなることを教えてくれます。思春期の心理を理解するためにもご一読ください。

 

 

 

 

 

 

自殺って言えなかった。(‎サンマーク出版 2002)自死遺児編集委員会、あしなが育英会 編 

 自死遺族による文章を主体に構成されており、当時二十歳前後だった若者の手記です。社会の偏見に対する恐怖、わかったような同情に対するいらだち、自分を遺していった親への思い、自殺を止められなかったという後悔や自責の念、遺された家族も死ぬのではという不安。遺された人に、同じ経験をもたない者ができることは、まずは他人事とせず知ろうとすること、自分事に置き換えて考えてみることなのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

安田陽子先生の読書ノート

看護実践の語り 言葉にならない営みを言葉にする(新曜社 2016)西村 ユミ 著

 看護師の語りを通して、患者さんとの関係、その場の雰囲気、迷いや不安といった気持ちが、どのように判断や行動につながっていったのかが伝わってきます。実習では「なぜあのときそうしたのか」をうまく言葉にできず悩むことがあるかもしれません。そうした経験を振り返り、看護について自分なりに考える手がかりを得られる1冊だと思います。

 

 

 

 

 

 

ラベリングをしないまなざし 困難を抱える妊産婦とつながる助産師たち(日本看護協会出版会 2025)生駒 妙香 著

 助産師の語りや具体的な場面をもとに妊産婦(患者さん)を特定のイメージで捉えるのではなくその人自身として理解しようとする姿勢の大切さが伝わってきます。母性領域に限らず、実習で患者さんとの関わりに戸惑った経験がある学生のみなさんにとって自分のまなざしを振り返り、よりよい関係性を築くためのヒントを得られる1冊だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本(日経BP日本経済新聞出版 2023)フィリッパ・ペリー 著   高山 真由美 訳

 子どもの行動を問題として決めつけるのではなく、そこにある思いを受け止め「分かろうとする」姿勢や相手の声を聞くことの大切さに気づかされます。将来、親になるときだけでなく、対人援助を学ぶ学生のみなさんが自分の感情や関わり方を振り返るヒントが得られる1冊だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

川下菜穂子先生の読書ノート

朱野 帰子 著 わたし、定時で帰ります。3 仁義なき賃上げ闘争編(新潮文庫刊 2023)  

 「残業しない」「定時で帰る」を信条とする東山結衣が、賃上げ交渉に向き合うシリーズ第3巻です。テレビドラマ化をきっかけに本作に触れ、「働くとは何か」を考えるようになり、その後も原作を読み続けています。賃金をめぐる会社と労働者の交渉を通して、対話と根拠を大切にしながら問題を解決していく姿が描かれており、人を支えたいという思いをもつ看護学生にとって、自分らしい働き方や専門職としての価値を考えるヒントを与えてくれる1冊です。

 

 

 

 

 

 

会社を綴る人(双葉文庫 2022)朱野 帰子 著

 キャリア支援を担当する中で、「学生一人ひとりに適した仕事とは何か」を考えるきっかけとなった1冊です。会社で起こる出来事や人々の思いを文章にして伝える仕事を通して、「働くこと」や「組織の中で人と向き合うこと」の意味が描かれています。立場や価値観の異なる人の声に耳を傾け、言葉として紡ぐ主人公の姿から、相手を理解し、つなぐ力の大切さが伝わります。多職種と協働する看護職を目指す学生にとって、対話力や伝える力を考えるきっかけとなる1冊です。

 

 

 

 

 

 

はじめにきいてね、こちょこちょモンキー! 同意と境界、はじめの1歩(子どもの未来社 2021) ジュリエット・クレア・ベル 作  アビゲイル・トンプキンズ 絵  上田 勢子、堀切 リエ 訳

  この絵本は、幼児期の性教育の場で実際に活用している絵本です。「からだは大切なもの」「自分の気持ちを伝えてよい」というメッセージを、やさしい言葉と温かなイラストで伝えてくれます。子どもが安心して理解できる表現は、支援する大人の関わり方そのものを学ぶ手がかりにもなります。
 子どもの権利や尊厳を守る視点は、看護職・保育職に共通して求められる基盤です。幼児期の性教育にどう向き合うかを考えるうえで、ぜひ知っておいてほしい1冊です。

 

 

浅原佳紀先生の読書ノート

酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話(太田出版 2024) 松本 俊彦、横道 誠 著

 長いタイトルですね。横道さんは文学研究者であると同時に、アルコール依存症と発達障害と宗教二世の当事者でもあります。松本さんは依存症治療を専門としている精神科医であると同時に、ニコチン依存症でもあります。そのお2人が依存症について「往復書簡」形式で語り合っています。依存症は「甘えている」「だらけている」といったイメージを持たれがちですが、それだけではないということがこの本を読めばよく分かると思います。

 

 

 

 

 

 

ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン(翔泳社 2022)仲野 佑希 著  
宮田 宏美、ダークパターンJP編集部 監修

 皆さんは「ダークパターン」という言葉をご存知でしょうか。ネットで何かを注文したらデフォルトでいろんなメルマガへの登録にチェックがついていたり、会員の退会をしようとしても退会の方法が分からなかったり、そういった企業側の利益になるようにユーザーを誘導する「仕掛け」のことです。ネットにはいろんなダークパターンが存在しているので、この本を読んでそれを知ることでITリテラシーも向上するのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

メタバースで僕たちのコミュニケーションはこんなふうに変わる(日本実業出版社 2023)佐藤 浩之 著

 コロナ禍以降、オンラインによるコミュニケーションの機会が増えました。そのことによるメリットとデメリットがあると思いますが、この本では仮想空間での交流環境「メタバース」によっていろんなメリットがある、ということが述べられています。著者がメタバース推進派だからでしょうが、デメリットへの言及が乏しい印象でした。メリットとデメリットを把握したうえで上手に活用できれば、役立つテクノロジーなのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

丸山純子先生の読書ノート

わが子のケアの達人になる『医療的ケア児』のママたちの奮闘(日本看護協会出版会 2023)草野 淳子 著

 在宅療養児に関する研究はまだ歴史が浅く、「子供を在宅へと連れ帰った医療的ケア児の母親がどのようにして子どもの症状を判断できるようになり、医療的ケアに熟達することができるようになるのか」といった看護の問いをもとにインタビューした研究結果が丁寧に記述されています。看護職だけではなく、人とかかわるすべての方に読んでいただきたい1冊です。

 

 

 

 

 

 

医学・看護論文を読み解いて臨床に活かす方法(新興医学出版社 2024)森田 光治良 著

 Evidence-Based Medicine(科学的根拠に基づく医療)やEvidence-Based Nursing(科学的根拠に基づく看護)という言葉の意味が、「エビデンスに従わなくてはいけない」「エビデンスがなければやってはいけない」といった間違った認識として誤解されることがあります。本書では、実際に目の前にいる患者にどのようにエビデンスを適用するのかという本質について分かりやすく解説されています。論文作成時の情報収集においても役立つので、ぜひ手に取ってみてください。

 

 

 

 

 

 

ブランケット・キャッツ(朝日新聞出版 2011)重松 清 著

 ブランケット・キャットと呼ばれる2泊3日のレンタル猫を借りにきた人々から繰り広げられる短編集です。それぞれの人間性あふれる描写やきれい事だけでは語れない思い、背徳感、感情の揺らぎなど、短編集でありながら読んだ後でも心を揺さぶられました。犬ではなく、猫だからこそ伝わる存在感、毛並みやブランケットの柔らかさも感じられる1冊です。

 

 

 

 

 

 

 

宮武一江先生の読書ノート

すぐやる脳(サンマーク出版 2024) 菅原 道仁 著

 脳神経外科医の著者が医学的知識を基に、脳の仕組みを分かりやすい言葉で解説されています。脳は省エネのために「仕事を拒むことが仕事」であり、「やりたくない脳」を「やりたがる脳」に変えるには、ドーパミン・コントロールが有効だそうです。具体的な方法が気になる人は、ぜひこの本を読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

独断と偏見(集英社新書 2025)二宮 和也 著

 俳優やアーティストとして活躍されている二宮和也さんが、初めて執筆した新書で、自分の考えや生き方を、100の質問に答える形で語りつくす1冊です。写真を使わず、言葉だけで勝負するスタイルが特徴で、これまでに抱えてきた思考や哲学がまっすぐに込められています。仕事や人間関係に悩んでいる人にも刺さる“人生のヒント”が満載の1冊です。

 

 

 

 

 

 

 

大ピンチずかん(小学館 2022)鈴木 のりたけ 著

 世の中にあふれる“大ピンチ”を、ピンチレベルの大きさと5段階のなりやすさでユニークに分類した人気シリーズです。子どもはもちろん、大人でも「あるある!」と共感してしまう場面が盛りだくさん。2025年にはシリーズ3まで刊行され、それぞれのピンチに対する面白おかしい攻略法も紹介されており、読んでいるだけで思わず笑ってしまいます。

 

 

 

 

 

井上弘子先生の読書ノート

ジェーン・スー 著 介護未満の父に起きたこと(新潮新書刊 2025)

 著者の要介護認定以前の「介護未満」の段階にある父の変化と、それに向き合う娘の奔走を描いたエッセイです。ビジネスライクな関わりを取り入れつつも、娘としての葛藤や感情の揺れが分かりやすく描かれており、訪問看護や介護サービスを導入しながら認知症の父と主介護者である母を見守る自身の経験と重なりました。介護に向き合う中で「こういう考え方もあるのだ」と気づかされ、超高齢社会の知識本として為になる1冊です。

 

 

 

 

 

 

 

はじまりとおわりとはじまりとーまだ見ぬままになった弟子へー(KADOKAWA 2025)川西 賢志郎 著

 私は漫才師を、一からネタを生み出し、自分たちの型を築き上げ、何度もネタを研ぎ澄ましていく、笑いを突き詰める職人だと尊敬しています。漫才コンビ「和牛」が解散した時は、二人の漫才が見られなくなることにショックを受けましたが、本書の中で、見せたい漫才とメディアでの見られ方との葛藤や、好きなことを続ける難しさが率直に語られていると感じました。自分のやりたいことを進化させていく決断に、さらに応援したくなりました。

 

 

 

 

 

発酵はおいしい!イラストで読む世界の発酵食品(パイインターナショナル 2019)ferment books、おの みさ 編著

 発酵とは、微生物が何かを分解し、新たな価値を生み出す働きです。本書では発酵微生物の御三家である「カビ・酵母・細菌」が働き、味噌やチーズ、ヨーグルト、パン、ビールなど、私たちが毎日のように口にしている食品が誕生します。発酵食品は身近でおいしい存在ですが、微生物は時に食中毒などの原因になることもあります。食品が発酵される様子を知ることで、安心で「おいしい」につながると感じさせてくれる1冊です。

 

 

 

 

 

 

矢野英樹先生の読書ノート

自分の仕事をつくる(ちくま文庫 2009)西村 佳哲 著

 仕事とはなにか。“いい仕事” はどこから生まれるのか。仕事を「自分の仕事」にするためにはなにが必要か。さまざまな“いい仕事”の現場を訪ねた貴重な記録。この本に登場する人物は、モノづくりに関わっているひとが多いですが、働くひとに共通することが多くあるように思います。“仕事を自分の仕事にする”と言う言葉が印象的でした。

 

 

 

 

 

 

ケアの社会学(勁草書房 2004)三井 さよ 著

 キュア(治療)からケアへと医療を転換する考え方がある。わが国において、多職種連携による患者支援の重要性が強調されており、本書では、医療専門職の職務が重なる局面を、それぞれの医療専門職に自覚させることの重要性を説いている。医療専門職が患者にケアを行うためには何が必要かを考える上で、本書は重要であると考えられる。

 

 

 

 

 

 

本当にわかる社会学(日本実業出版社 2010)堀内 進之助、大河原 麻衣、 山本 祥弘、塚越 健司 著

 社会学の10のテーマから100のキーワードが見開き1ページにまとめられています。参考文献も多く紹介されていて、興味をもった概念やテーマがあれば、掘り下げて専門的に学ぶこともできると思います。これから社会学を学ぶ者にとって、本書は分かりやすく書かれていると思います。

 

 

 

 

 

 

髙尾緑先生の読書ノート

教師のための「非認知能力」の育て方(明治図書出版 2023)中山 芳一 著

 テストでは測れない、感情のコントロール、自己肯定感、協調性、粘り強さなど数値化できない「非認知能力」。その中から学校で活用できる「自分と向き合う力、自分を高める力、他者とつながる力」に着目し、非認知能力を認知能力と合わせて育成する方法を、5つのステップにわけ実践例とともに紹介しており、個人の成長や社会的成功に重要な役割を果たします。

 

 

 

 

 

 

大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと(自由国民社 2020) 井手 敏郎 著

 家族、パートナー、友人、ペット…旅立ちを見送る人に押し寄せる心の痛み。やがて再生へ向かう日のため、傷ついた人はどのように向き合えばいいのか、著者はその答えを探し、日本、アメリカ、ドイツで悲嘆支援の専門家や当事者の方々の話に耳を傾けてきた。この本では、大切な人を亡くした方の拠り所として、存在する。

 

 

 

 

 

 

 

呼吸がすべてを整える(リベラル社 2022)齋藤 孝 著

 《集中力アップ》《ストレスに強くなる》《人間関係が整う》
斎藤孝先生が40年の研究を重ねた「呼吸法」について、心も身体も、脳も人間関係も激変する「斎藤式呼吸法」の数々を紹介。本書では、理想の呼吸を身につけるアプローチとともに、呼吸を意識し、呼吸を感じて生きるためのヒントも解説されています。

 

中川彩見先生の読書ノート

人が替わっても必ず結果を出す 決定版!青学流 「絶対王者の鉄則」(祥伝社 2025)原 晋 著

 チームや組織で成果を出し続ける秘訣を学べる1冊。チームや組織の成果を維持する秘訣を知りたい方におススメです。
 お正月に箱根駅伝を観た方も多いのでは?箱根駅伝で史上初、二度目の3連覇を達成した青山学院大学駅伝チームを率いる原晋監督が語る「人が替わっても結果を出す」ための鉄則が詰まっています。42項の見出しから気になった部分を選んで読むのも良いと思います。気になる部分から読んでみてください。

 

 

君たちはどう生きるか(マガジンハウス 2017)吉野 源三郎 原作  羽賀 翔一 漫画

 1937年に出版され、今も読み継がれる名作を漫画で楽しめます。活字が苦手な方におススメです。
 小説もありますが漫画であれば手に取りやすいのではないでしょうか?自分が主人公のコペル君だったら?と考えながら読み進めて欲しい1冊です。時代を超えて問いかけられる「生き方」。普遍的なテーマを通して、「自分ならどう生きるか」を考えてみてください。時代が変わっても読み継がれる理由を感じられる1冊だと思います。

 

 

 

 

 

 

役所のしくみ(日経プレミアシリーズ 2025)久保田 章市 著

 社会の仕組みを理解し、行政職を目指す人におススメです。
 日本全国、どこにでもある、身近な存在の「役所」。でも実は、その実際についてイマイチ分からない、というのが本音ではないでしょうか?その実際の仕組みを分かりやすく解説した本です。行政職に興味がある方や内定が決まっている方に特におススメです。学生時代に読んでおくと社会の仕組みについて理解できる一助になると思います。

 

 

 

 

 

 

大島由美先生の読書ノート

ココ・シャネルの言葉 CHANEL(大和書房 2017)山口 路子 著  

 ココ・シャネルの言葉は、弱点を隠すのではなく生かすこと、退屈よりも失敗を選ぶこと、自分で選んだ道に責任を持つことなど、シャネル自身の生き方から生まれた言葉がまとめられた本です。人と比べるのではなく、自分のペースで道を選んでよいのだと気づかせてくれる点も印象的です。短い言葉の中に、生き方や働き方のヒントが込められており、少し立ち止まって人生を考えてみたい人にお勧めです。

 

 

 

 

 

 

棺桶まで歩こう(幻冬舎新書 2025)萬田 緑平 著 

 この著者は、在宅緩和ケア医として2000人以上を看取ってきた医師で、歩くことは生きる力そのもので、筋力やその人の活動が寿命や生活の質を左右すると語っています。「棺桶にまたいで入ろう!」という衝撃的な言葉には、「死ぬまで歩く」という目標を持つことで脳が元気になるという医師からのメッセージが込められています。印象的なタイトルですが、死を恐れるのではなく、今をどう生きるかを考えさせられる深い1冊です。

 

ゆるして!糖尿病 イラスト日記(主婦の友社 2024) 塚本 やすし 著  白澤 卓二 医学監修

 この本は、著者自身の糖尿病体験をイラストと短い文で描かれており、あっという間に読むことができます。暴飲暴食を続け自覚症状のないまま進行していく様子や、検査数値に一喜一憂する日常、医師とのやり取りがリアルに描かれています。自分で向き合い行動を変える必要がある病気であり、その難しさと大切さが伝わってきます。支援する立場として、行動変容につながる指導の工夫が重要であることを改めて考えさせられる1冊です。

 

 

 

 

 

 

井上竹美先生の読書ノート

お探し物は図書室まで(ポプラ文庫 2023)青山 美智子 著

 仕事についての悩みを持つ登場人物が、コミュニティハウス併設の図書館で司書の小町さんと会話し、目的の本とそれ以外に1冊、と付録を紹介されるところから始まります。小町さんとの会話や本から、自身の勝手な思い込みが悩みを生み出していたことに気付きます。物事の本質を見ることの大切さを再認識できる1冊です。 

 

 

 

 

 

 

いちからはじめる(小学館文庫 2021)松浦 弥太郎 著

 仕事への向き合い方について考えることができる1冊です。その中で、『とりあえずこなす習慣は、成長につながらない。』『日々の営みにいちから向き合い、楽しむ工夫をしよう。』この言葉を見つけたとき、ここ数年、感じていたことが腑に落ちました。

 

 

 

 

 

 

おじいちゃんがおばけになったわけ(あすなろ書房 2005)キム・フォップス・オーカソン 文  エヴァ・エリクソン 絵   菱木 晃子 訳

 おばけになって現れた大好きなおじいちゃんの『忘れ物』を探すため、孫のエリックはおじいちゃんと思い出をめぐります。大切な人との思い出を心に留め、心のつながりを再認識することが大切な人の死を受け入れる過程に大切であることを教えてくれる1冊です。

 

 

 

 

 

 

川村友紀先生の読書ノート

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力(朝日新聞出版 2017)帚木 蓬生 著

 筆者の言葉でいうと「共感が成熟する過程で伴走し、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティである」 答えを探す、答えのないことや不確実な状況に不安を感じてしまうといったポジティブ・ケイパビリティが重視されてしまう現状の中で、この耐える能力をどう自分が身につけるかにより人生の豊かさが変わるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

父のコートと母の杖(主婦と生活社 2024)一田 憲子 著

 80~90代になった両親と向き合う日々を綴ったエッセイ。かつて元気で頼っていた両親が老いによって変わっていく姿に戸惑いながらも、その弱さを受け入れ直すことで「もう一度、親と出会い直す」過程が丁寧に描かれていて、親子の距離感や老いの意味が静かに心に迫る1冊です。自分自身の家族との関係をそっと見つめ直したくなる温かな作品でした。

 

 

 

 

 

 

ひめは今日も旅に出る(日本機関紙出版センター 2019)そね ともこ 著  長久 啓太 編著

 難病ALSを抱えながらも「私らしく生きること」をあきらめない著者の姿を描いた実話です。告知の衝撃、一生分の涙を経験しつつも、ベルリンや沖縄などへの旅を重ね、人生を自分の言葉で紡ぎ続けようとする強さが胸を打ちます。患者としての視点から語られる医療・支援のあり方も深く、看護職として考えさせられる内容も多いです。読む者に「生きること」の意味を静かに問いかけ、前向きなエネルギーがあふれ、優しい励ましをもらえる本です。

 

 

 

 

 

浅井美穂先生の読書ノート

急に具合が悪くなる(晶文社 2019)宮野 真生子、磯野 真穂 著

 がんの転移を宣告された哲学者:宮野真生子さんと臨床でのフィールド調査を積み重ねた人類学者:磯野真穂さん。私が大学院生活の中でお会いした先生の中でも強く影響を受けたお2人による往復書簡です。なんと、2026年『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督により映画化されることが決定。これは絶対に話題になる本です。有名になる前に、今、読んでおくべき。

 

 

 

 

 

 

彼女は頭が悪いから(文藝春秋 2018)姫野 カオルコ 著

 2016年に起こった東大生5人による強制わいせつ事件から着想を得て書かれた小説です。ルッキズム・階層意識・ミソジニーなど今の時代を非常によく表しており、読み応えがあります。ただ、正直内容はしんどいし不快な描写も多く、嫌な気持にもなります。興味のある方は読んでみてください。この小説は、今、生きづらさを抱えている女子大生にこそ読んでほしいし、男子学生にも読んでほしいと思っています。 

 

 

 

 

 

 

いのちの車窓から(KADOKAWA/角川文庫 2022)星野 源 著

 音楽家・俳優として活躍されている星野源さんの雑誌連載をまとめた人気エッセイ集です。この本に収録されている「ひとりではないということ」という作品は、2026年4月から高校国語教科書「現代の国語」に掲載されることが決定しています。短編集のように読みやすく、何か好きな作品がきっと見つかると思います。ちなみに私の好きな章は「怒り」「友人」「YELLOW DANCER」「新垣結衣という人」、そして「あとがき」です。

 

 

 

 

 

 

山本昌子先生の読書ノート

自分も傷つきたくないけど、他人も傷つけたくないあなたへ(KADOKAWA 2022)アルテイシア 著

 ジェンダーギャップ指数118位の日本(2025年)で、自分に優しく他人を尊重して生きるために必要な考え方について、とてもわかりやすく書かれています。「ジェンダーを学ぶと生きやすくなるよ」という著者の言葉通り、息苦しさから少し楽になりたい人にお勧めの1冊です。「知っていたらいいのになぁ」で終わらせず、是非手に取ってみてください。そしてみんなで膝パーカッションしましょう! 

 

 

 

 

 

 

これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン(大月書店 2020)太田 啓子 著 

 弁護士でもある著者が、自分の子育てを通じて感じるジェンダーバイアス(性別に基づく固定観念や偏見が無意識に存在し、社会的な役割や評価に影響を与えること)について考え、悩みながら執筆した子育て論です。もちろん、子育て世代以外の人々にとっても大変興味深い内容です。「男らしさ」という言葉に違和感がある男性や、パートナーの「男らしさ」に疑問を抱いている女性にも読んでいただきたいです。

 

 

 

 

 

 

香山哲のプロジェクト発酵記(イースト・プレス 2022)香山 哲 著

 「ベルリンうわの空」の著者である香山哲さんが考える、自分らしくあるための思考法です。限りある気力や寿命を、どんなプロジェクトにどのようにささげるのか、プロジェクトをより良いものにするためにはどのような段階を踏むのかなどを具体的に記述しています。何よりも、香山さんの頭の中をここまで描いてくれたことに驚きます。この本を読んだみなさんのプロジェクトが、いい感じに進みますように。

 

 

 

 

 

 

 

豊田育恵先生の読書ノート

WE ARE WHAT WE EAT スローフード宣言 食べることは生きること(海士の風 2022)アリス・ウォータース、ボブ・キャロウ、クリスティーナ・ミューラー 著   小野寺 愛 訳

 忙しい毎日の食事を少し立ち止まって見つめ直させてくれる1冊です。コンビニや外食が当たり前の生活の中で、食が自分の体や心、社会や環境とどうつながっているのかをやさしく問いかけてくれます。料理が得意でなくても、知識がなくても大丈夫。これからの生き方や価値観を考え始めたみなさんに食から未来を考える新しい視点を与えてくれる本です。

 

ハチドリのひとしずく いま、私にできること(光文社 2005)辻 信一 監修

 古くから南アフリカ・中南米アンデス地方に伝わる民話です。森が燃える中で、たった一滴の水を運び続ける小さなハチドリの物語です。「それをして、何になるの?」と問われても、「私は私にできることをしているだけ」と答える姿は、迷いや悩んでいる時に心に静かに響きます。大きなことができなくても、行動する勇気と、自分の選択を信じる力を与えてくれる1冊です。

 

割に合わないことをやりなさいコスパ・タイパ時代の「次の価値」を見つける思考法
(KADOKAWA 2025)小玉 歩 著

 「得か損か」で選択しがちな私達に、あえて立ち止まる視点を与えてくれます。時間も手間もかかり、評価されないかもしれない行動にこそ、人として大切な意味があると語りかけられます。無駄に思える選択や寄り道にこそ人間的な豊かさがあります。割に合わないことを選んでよかったと思えるような1冊です。

 

 

 

 

 

 

健康保育学科

芝﨑美和先生の読書ノート

最後はなぜかうまくいくイタリア人(日本経済新聞出版 2018)宮嶋 勲 著

 日本人は、計画を立て、効率的に、間違いなく動くのが好きだ。対して、イタリア人は段取りを立てるのが苦手だが、問題対処能力が抜群に長けていて、ここぞというときに高い集中力を発揮する。勤勉だがひどく疲れているように見える日本人と、時間と精神的余裕のあるイタリア人は、いったい何が違うのか。本書からイタリア人の法則の一端を知ると、自分の生き方を見直してみようと思うかもしれない。 

 

 

 

 

 

 

子どもの本を読む(岩波書店 2013)河合 隼雄 著

 9つの児童文学作品を、心理療法家である著者が「たましい」というキーワードを基に読み解く本書。作品の登場人物と現代の子どもたちが抱える心の問題をリンクさせた解説は、自然と心に響く。おとなが目を背け、あるいは見落としている「たましい」の現象を子どもの目は確かに捉えており、そこに子どもの本の存在意義がある。「なぜ子どもの本なのか」という問いへの答えは、我々大人が生きることの本質を考えることにもつながる。

 

 

 

 

 

斎藤健司先生の読書ノート

記憶はウソをつく(祥伝社 2009)榎本 博明 著

 私たちが「確かに覚えていて絶対間違いない」と信じている記憶が、実は驚くほど不正確に作られてその後も簡単に書き換わっていることを科学的に解き明かしています。読み進めるほど、人間の脳ってこんなにあてにならないのかと世界の見え方が変わる1冊です。

 

大学の起源(八坂書房 2009)チャールズ・ホーマー・ハスキンズ 著  青木  靖三、 三浦 常司 訳

中世ヨーロッパで大学はどのように誕生し、なぜ学問ギルドのような組織が必要とされたのか。本書は、その成立過程を丁寧にたどりつつ、中世の学生生活を生き生きと描き出しており、歴史的な偶然と必然の積み重ねの中で大学がどのように形づくられたのか理解することができます。また、講義やゼミ形式、学士・修士・博士の学位制度、学部組織、学友会、学生寮といった当時生まれた大学の基本構造が、約千年を経た現在も「大学の当たり前」として受け継がれていることにも気づくことができます。

 

 

 

 

 

 

脳は世界をどう見ているのか(早川書房 2025)ジェフ・ホーキンス 著  大田 直子 訳

 脳は、目に入った情報をそのまま映像として受け取っているのではなく、入力情報と過去の経験をもとに「予測した映像」を作って世界を見ている。これは視覚だけでなく五感全体に当てはまります。本書の視点は、みんなの世界観を根底から揺さぶるでしょう。やや専門的ではありますが、AIや認知科学に興味のある学生にとって、思考の枠を広げてくれる1冊です。

 

 

 

 

 

 

岡本邦広先生の読書ノート

毎日が天国 自閉症だったわたしへ(明石書店 2015)ドナ・ウィリアムズ 著  河野 万里子 訳

 自閉症当事者の作品です。本書の前の出版された “Nobody Nowhere”(邦題『自閉症だったわたしへ』)は、十数か所に翻訳され世界的ベストセラーになっています。自閉症、発達障害や特別支援教育に関心のある方はぜひお読みください。

 

孤高の人 上・下(新潮文庫刊 2009)新田 次郎 著

 登山家である加藤文太郎の生涯を題材とした小説作品である。主人公は、タイトルのとおり孤高の人にぴったりな生き方で、私の憧れる人物です。長編ですが、とても読みやすくのめりこんでしまいます。登山好きな方はぜひ一読ください。

 

 

 

 

 

 

 

ブルーバックス 宇宙が見える数学 結び目と高次元 トポロジー入門(講談社 2024)小笠 英志 著 

 こんなクイズがあります。「今地球にいます。そして、地球で宇宙船に乗ります。その宇宙船で地球から宇宙に出発します。方向をひとつ決めて、宇宙をどんどんまっすぐ進みます。さて、どこへ行くでしょう?」という問題です。このような問題をトポロジーという考え方を用いて、答にどのような可能性があるかを考えていくストーリーです。

 

 

 

 

 

 

 

渡部昌史先生の読書ノート

刑事のまなざし(講談社 2011)薬丸 岳 著

 ヒト(他者)をどのように見るのか、これはそのヒトによって違います。相手がどのような世界を見ているのか、そしてそこから何を感じ考えているか、ヒトの数だけその答えはあります。自分のヒトを見る視点を作った土台は何かを見つめながら読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

CAN’T HURT ME 削られない心、前進する精神(サンマーク出版 2024)デイビッド・ゴギンズ 著  櫻井 祐子 訳

 「全力を出し切れ!」そう言われたことはありませんか?でも、「全力」って一体何でしょうか?全力については、機械のように客観的なバロメーターがあるわけではありません。だから、自分では精一杯やっているつもりでも、実はまだバロメーターが振り切れていない可能性があるかもしれません。
 ヒトが本当に全力を出し切るとはどういうことなのか?この本は、全力を出し切るとはについて考えさせてくれます。あなたもこの本を読んで、何か一つ、全力で取り組んでみましょう!

 

 

 

 

 

言葉の魂の哲学(講談社 2018)古田 徹也 著

 私たちは日々、数えきれない言葉を使いながら、いつの間にか常套句や決まり文句に頼ってしまうことがあります。しかし、言葉を使うとは、本来、自分の思考を選び取り、他者に責任をもって伝える行為です。この本は、そんな“言葉の重み”を改めて問い直す1冊です。文学作品、哲学者の思想を手がかりに、「魂ある言葉」とは何か、「言葉を選び取る責任」とは何かを深く掘り下げます。ありふれた言葉に流されず、自分の言葉で思考し、発信する。この本は、その姿勢を磨き、言葉を通じて思考力と表現力を高めたい人にとって、確かな示唆を与えてくれると思います。

 

 

 

 

 

 

加藤由美先生の読書ノート

誤解だらけの子育て(扶桑社 2024)成田 奈緒子 著

 小児科医、公認心理師である著者は、臨床医、研究者としての活動を続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。本書では、子どもの発達や生活習慣、コミュニケーション等への様々な誤解について「正しい子育て=脳育て」の観点から解説し、「真の自立とは、周囲に頼れること」だと述べている。

 

 

 

 

 

 

 

「女子の人間関係」から身を守る本(PHP文庫 2017)石原 加受子 監修  

 本書は、女同士の人間関係の“あるある”とその対処法が書かれている。「苦手な相手といい距離を保つために」「悩んだときは、自分の視点を変えるチャンス」等の章に分かれており、人間関係に難しさを感じた時や必要以上に人に気を遣いすぎている時に、何らかのヒントが得られるかも…。

 

 

 

 

 

 

叱られる力 聞く力2(文藝春秋 2014)阿川 佐和子 著

 昨今、保育現場の先生方から、学生や若手のメンタルの弱さを指摘されることが少なくない。打たれ弱い若者、部下を叱れない上司、子どもを怒れない親が増えている中、親や上司に怒鳴られ続けて60年という著者が、叱られても凹まない心得を説いていて、勇気づけられる。

 

 

 

 

 

 

 

入江慶太先生の読書ノート

 八つ墓村 金田一耕助ファイル1(KADOKAWA/角川文庫 1996)横溝 正史 著

 舞台は岡山県北部、田治見家の後継ぎとして八つ墓村に迎えられた辰弥の周囲で毒殺と怪死が続発します。相続争いと八つ墓明神の伝説が絡み、やがて金田一耕助の推理により真犯人が明かされます。「津山三十人殺し」に着想を得た冒頭場面、クライマックスで辰弥が鍾乳洞に追い込まれていく場面は鳥肌ものです。それ以上に、この作品は「なぜ犯人は殺人を犯すのか」という動機の部分が興味深く、人間の愚かさを考えさせられます。

 

 

 

 

 

 

 

早見 和真 著 ザ・ロイヤルファミリー (新潮文庫刊 2022)

 大学2年生の時、私は馬券を買わない健全な競馬ファンになりました。1997年の秋の天皇賞、確勝と言われていた男馬のバブルガムフェローを女馬のエアグルーヴが蹴散らしたレースを見たからです。足の速さにおいて、人間界は男が優位です。「馬の世界は違うんだ…」と衝撃を受けたものでした。本作にもロイヤルイザーニャ、ロイヤルハピネスという女馬が出てきます。主役ではありませんが、ついつい感情移入しながら読みました。

 

 

 

 

 

 

夜更けより静かな場所(幻冬舎 2024)岩井 圭也 著

 主人公は女子大学生。親戚の経営する古本屋に足を運ぶところから物語が始まります。性別も職業も違う6名(主人公を含む)が古本屋に集まり、1冊の本の感想を述べあう「深夜の読書会」。本の読み方はまさに六人六色。それぞれの感想に反発したり共鳴したりする姿がとてもリアルでした。読書って本当にいいものですね。誰にも邪魔をされない静かな場所と時間帯に読みたい本でした。

 

竹下可奈子先生の読書ノート

時をかけるゆとり(文藝春秋 2014)朝井 リョウ 著

 『何者』で直木賞を受賞した朝井リョウさんによるエッセイ本です。朝井さんの大学時代の出来事がつづられています。最初に掲載されている年表から非常にユーモアたっぷりで、肩の力を抜いて読める1冊です。

 

 

 

 

 

 

三幕の殺人(早川書房 2003)アガサ・クリスティー 著  長野 きよみ 訳 

 アガサ・クリスティーによる、名探偵ポワロシリーズの1作です。引退した俳優の自宅で開かれたパーティーの最中、牧師が急死します。自然死と思われました、数ヶ月後、また別のパーティーにおいて参加者が同様の死に方をし、両方に居合わせた俳優らとポワロは事件の謎に挑みます。最後のポワロのセリフが実に彼らしく、印象的です。

 

 

 

 

 

 

ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム(春秋社 2012)古屋 晋一 著

 ピアニストの超絶技巧を実現する指の動きや読譜能力、記憶力などについて、脳のメカニズムという視点から明らかにしています。ピアノの練習をすると脳はどう変化するのか、ピアニストは楽譜をどのようにとらえているのかなど、ピアニストをめぐる様々な疑問について、世界の研究結果をもとに非常にわかりやすく説明されています。

 

 

牛島光太郎先先の読書ノート

犬婿入り(講談社 1998)多和田 葉子 著   

 ドイツを拠点に活動する多和田葉子の初期作品です。大学生の頃に一度読んだ作品ですが、先日あらためて読み返す機会がありました。本作には、読点を多用しながら一文が約一ページに及ぶ箇所もあり、その特徴的な文体によって、奇妙な物語世界が描かれています。読み始めは少し戸惑うかもしれませんが、読み進めるうちに、その独特なリズムが次第に心地よく感じられてきます。普段とは少し異なる読書体験を求めている方に、おすすめしたい1冊です。

 

 

 

 

 

 

アートはいつ〈アート〉になるのか 〈アート化〉とは何か(水曜社 2025)小松田 儀貞 編 木村 直弘野村 幸弘、阿部 宏慈、笹島 秀晃、戸舘 正史 共著

 アートは、教育や福祉、医療、社会活動など、さまざまな分野と結びつきを深め、私たちの身近な存在になっています。しかし、「これはアートです」と言われても、どこか釈然としない感覚を覚えることはないでしょうか。本書は、これまで「アートとされなかったもの」が社会の中で「アート」となっていく過程に着目し、言葉の定義や歴史的背景、文化芸術活動の現場における事例などを、複数の視点から整理しています。

 

 

 

 

 

 

ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ(美術出版社書籍編集部 2024)ルイーズ・ブルジョワ 作  森美術館 編著

 2024年に森美術館で開催された同名の展覧会に合わせて刊行された図録ですが、展覧会の資料としてだけでなく、読み物としても十分に読み応えがあります。ルイーズ・ブルジョワの生い立ちや幼少期の体験、作家としての活動や主題などについて知ることができます。複雑な家庭環境における個人的体験を根底に、母性や保護と恐れなどを中心的な主題として、彫刻やインスタレーションによって展開されてきたブルジョワの思考と制作の軌跡が丁寧に示されています。

 

 

 

 

 

 

立浪朋子先先の読書ノート

試着室で思い出したら、本気の恋だと思う(幻冬舎 2014)形 真理子 著     

 <クローゼット>という名前のセレクトショップと、そこを訪れる女性たちを主人公にした連作短編集です。彼女たちは<クローゼット>で服を選び、恋の悩みに決着をつけていきます。最近の本は恋愛小説でもミステリーでも、社会問題など何かしら勉強させてくるから疲れるなあ、なーんにも考えずに、お風呂の中なんかで、ぼーっと読める恋愛小説が読みたいなあ、とずっと思っていた私が「ついに見つけた!」と叫んだ1冊です。それぞれの客に寄り添う<クローゼット>の店員さんの言葉も素敵です。

 

 宮島 未奈 著  成瀬は天下を取りにいく(新潮社刊 2023) 

宮島 未奈 著 成瀬は信じた道をいく (新潮社刊 2024)

 今年読んだ本の中でベスト!と思う2冊です。とにかく主人公の成瀬が最高です!そして成瀬の親友で自称「凡人」の島崎も最高です!島崎あっての成瀬だと思います。地元、滋賀県大津市をこよなく愛する成瀬の大活躍。地元ネタがこんなに出てくる小説が本屋大賞まで取ってしまった大津市民の感想が聞きたい。私も是非とも大津市を聖地巡礼して、ミシガンクルーズをしてから近江牛コロッケ定食を食べたいです!

 

 

 

 

 

 

有吉 佐和子著華岡青洲の妻(新潮社刊 1967)

 江戸時代の終わりに麻酔を発明した医師、華岡青洲。ただし本書の主人公は彼ではなく、彼の妻と母です。華岡青洲の麻酔の発明にあたり、この二人の女性が人体実験を申し出たという逸話が物語のもとになっています。いわゆる「嫁姑」ものですが、大学生の皆さんにも共感できるのではないかと思い推薦しました。周囲に気づかれることなくひっそりと自分にだけわかるように行われる嫌がらせ。誰に相談しても「気にしすぎ」「被害者妄想」と言われ親身になってもらえない孤独感。人間関係あるあるですね。読んでいて鬱々する場面もありますが、読後、このあまりに面倒くさい「人間関係」こそヒトとして生きる醍醐味、私も今後もしっかりと人間関係に向き合っていこう、となんだか前向きになってしまいました。

 

 

 

 

 

久恒拓也先先の読書ノート

グリム童話集200歳 日本昔話との比較(小澤昔話研究所 2012)小澤 俊夫 著

 子どもに童話を語っていて不思議に思うことは、欧州の昔話と日本のそれとでは、語り口やストーリーの起伏、登場人物の役目などが異なっていることである。話の種類にもよるが、例えばグリムの動物はもともと人間で主人公に語り掛けてくることが多いが、日本では言葉は通じないリアルな動物が登場する。そういった点に興味があれば、本書は具体的に童話を取り上げて解説しており、薦めたい。

 

成長するティップス先生(玉川大学出版部 2001)池田 輝政、近田 政博、中井 俊樹 著  

 人工知能の成長が目覚ましい現代は、大学教育のあり方が大きく変わっていく時代といえる。とはいえ、教育や学習の方法が進化しても、それを行う(受ける)のが人間である限り、基本原理は残ると思われる。その根本は授業の内容構成をデザインし、学生を学習にいざなうことであろう。本書は一見して大学教員が読む対象であるが、学生が授業評価をする際の視点を学ぶのにも向いていると考えており、挙げておきたい。

 

 

 

 

 

 

松島英恵先生の読書ノート

おこだでませんように(小学館 2008)くすのき しげのり 作  石井 聖岳 絵

 いつも大人に叱られてばかりいる「ぼく」は、怒られないことを切実に願って七夕の短冊に「おこだでませんように」と書きました。その素直な言葉をきっかけに、周囲の大人たちが一方的に怒ってばかりであったことを省みます。この絵本を読む度に、子どもの気持ちをないがしろにしてこなかったか、子どもの小さな声に耳を傾けられていたのか考えこみます。そして、小さな声が聴こえた時にハッと我に返り「ごめんね」と素直に言えること、向き合い方を考え直すことができる自分でありたいと思うのです。

 

 

 

 

子どもの遊びを考える 「いいこと思いついた!」から見えてくること(北大路書房 2023)佐伯 胖 編著 

 佐伯胖ゼミ矢野勇樹氏の修士論文を中心とした本です。遊びを単なる「自発的」な行動と捉える従来の常識に疑問を投げかけ、「いいこと思いついた!」というひらめきが生まれる瞬間を「中動態」などの概念を用いて多角的に分析しています。私は、子どもと遊びを「うみだす」にはどうすればいいのかと考えていたのですが、矢野氏曰く、遊びは「うまれる」要素が大きいのではないかと。とすると、「遊ばせなくては」と熱くなるよりも、ひらめきがやってくるようなゆとりや環境を整えることが大事なのではないか、と目からうろこが落ちました。

 

 

 

 

 

 

北村 薫 著スキップ(新潮文庫刊 1999)

 北村氏の「時と人」三部作の第一作で、17歳の女子高生が目覚めると25年後の世界で42歳の高校教師になっていたという物語です。中身は女子高生の状態で、夫と17歳の娘との関係をつくりながら、周囲に気づかれないように高校の国語教師の仕事をこなす過程に、就職1年目でわけもわからず仕事をしていた状況を思い出します。何度か読み返しているのですが、その時々で、昭和文化への懐古、人間関係の再構築、何はともあれ今を生きようとするバイタリティ、教師としての仕事への情熱など、いろいろな視点で楽しめる物語です。

 

 

 

 

 

 

野口聡先生の読書ノート

AIは短歌をどう詠むか(講談社現代新書 2024) 浦川 通 著 

 生成AIで歌人に負けない短歌を詠むため、いかに学習したのか、生成AIの限界について書かれた書籍です。私には短歌の良し悪しは分からないので、AIによるものなのか、人間によるものなのかどれも違いがあるようには思えませんでした。生成AIについて、難しいことは書いていないので、比較的、読みやすい書籍になっていると思います。

 

 

 

 

 

 

 

教育現場は困ってる(平凡社 2020)榎本 博明 著

 楽しい授業、主体的な学習をするように言われている昨今、その捉え方を間違えていると指摘する書籍です。授業内に活動を入れるからと言って主体的で、楽しい授業になるというわけではないということを説いています。本書籍だけだと教育に対する考え方が曲がってしまう可能性もあるので、いくつかの教育方法に関する書籍の1つとして読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

福武幸世先生の読書ノート

ともだちや(偕成社 1998) 内田 麟太郎 作  降矢 なな 絵  

 友達が欲しいキツネは、ある日「ともだちや」を始めました。本当の友達とは?友達ってなんだろう?と、大人も子どもも一緒に考えることが出来る1冊です。言葉の楽しさ、表現の楽しさが感じられます。本書は、保育学科1年生の授業『保育内容「表現」(身体表現)の指導法』でも取り上げました。1つ1つのシーンが想像力と創造力を掻き立て、学生たちは自由な表現で劇を考えました。絵本を読んだり、想像力を形にしたりする経験をぜひ楽しんでみてください。

 

 

 

 

 

経験と教育(講談社学術文庫 2004)ジョン・デューイ 著  市村 尚久 訳

 デューイは、アメリカの哲学者であり、教育者です。デューイは「経験とは、環境との相互作用である」と様々な著書で語っていますが、本書は、子どもの日常の生活経験のもつ高次な教育的な意味が書かれています。デューイは、子ども自身の日常経験を動機として社会を生き抜くことを描いており、個人的価値と社会的価値とのバランスを考える契機となります。また、子ども自身の経験の反省的思考により、より高次な創造的知性が育つことも書かれています。

 

 

 

 

 

 

未来をひらく子ども学(福村出版 2023)坂越 正樹 監修  八島 美奈子、小笠 原文、伊藤 駿 編者     

 本書は、「子ども学」の研究書です。保育者を目指す方にぜひ読んでいただきたいです。子どもの発見におけるルソー(1712-1778)や近代以前の子ども観の関するアリエス(1914-1984)の研究から現代に至るまでの子ども学の概要が分かります。教育学、心理学、教科教育学、社会福祉学、対人援助学、保育内容「表現」領域、インクルーシブ教育等、様々な研究者の研究成果が紹介されている1冊です。

 

 

 

 

 

 

山根千絵先生の読書ノート

児童相談所で出会った子どもたち(ミネルヴァ書房 1998) 山縣 文治  監修  児童相談所を考える会 著  

  児童相談所を利用する子どもや家庭の姿と、それに対する児童相談所の取り組みについて、20の事例で紹介されています。事例を通して児童相談所を利用する子どもや家族の思いに触れながら、子どもの育ちや子育てについて考えることができる1冊です。

 

 

 

 

 

 

 

大学では教えてくれない大学生のための22の大切なコト(西日本新聞社 2010)佐藤 剛史 編著

 大学教員、助産師、新聞記者など社会で活躍する大人が、それぞれの出会いや実体験の中で感じた「若い人たちに伝えておきたいこと」について、「生」「食」「性」「生き方」の4つのテーマごとにまとめられた1冊です。この本を参考に、日々の生活について改めて考えてみませんか?

 

 

地域福祉学科

松本百合美先生の読書ノート

ルポ人が減る社会で起こること 秋田「少子高齢課題県」はいま(岩波書店 2025)工藤 哲 著

 大手新聞記者による世界最先端の高齢化地域である秋田県で起こっている事のルポタージュです。深刻な課題となっているクマ被害や若者の流出・高齢者人口の割合の増加によって「シルバー民主主義」など、様々な課題について考えさせられる内容です。なかでも、県民の税金で子供を育て、育った子供たちは都会に出て都会に税を払う、というのが印象的でした。

 

 

 

 

 

カフネ(講談社 2024)阿部 暁子 著

 2025年本屋大賞を受賞した作品なので、流行りのものになびきたくない私は多少敬遠していたのですが、こころもからだも整える基本は、やはり食や住だなと再認することができました。料理が中心になり、この小説に出てくる料理のレシピ集も作られているようですが、ほんの少し部屋の片づけというのも出てきます。家事代行は介護福祉の中では少し軽く扱われすぎだと日頃から疑問を持っている私ですので、こっちの意味でも大きく共感してしまいました。

 

 

 

 

 

 

壬生義士伝(文藝春秋 2002)浅田 次郎 著

 貧しさ故に南部藩から脱藩し、家族を養うために新撰組に入隊した下級武士が、守銭奴と蔑まれながらも家族に仕送りを続けます。鳥羽伏見の戦いで負傷し、逃げこんだ南部藩邸で切腹を申し付けられるというバリバリの時代小説です。若い人には受けないのだろうと思いつつも、幕藩体制における人の品格と家格、幕末の混迷など、一人ではどうしようもない社会の中にあって、『中心』を持つ人の強さが伝わってきます。その子供たちが、それぞれの道を歩んでいく姿にも嬉しい気持ちになれる物語です。

 

 

 

 

 

山内圭先生の読書ノート

長い盆地 収穫するジプシー スタインベック全集 5 (大阪教育図書 2000)ジョン・スタインベック(John Steinbeck) 著江草 久司、浅野 敏夫、杉山 隆彦 訳

 午(うま)年の今年は、12年前同様小馬が登場するスタインベックの短編「赤い小馬」が収められた短編集『長い盆地』を紹介します。「赤い小馬」は、少年時代、父から小馬を贈られたスタインベックの自伝的な話で、子どもと小馬との心の交流を描いています。諸版ありますが、現在は、この全集ものが最も入手しやすくなっています。同巻所収の「スタインベックの未収録短編小説について」(山内圭著)もお読みください。

 

無人駅で君を待っている(実業之日本社 2023) いぬじゅん 著  

 帰省した時に妹が読んでいた本です。僕の生まれ育った静岡県西部が舞台になっていて、浜名湖周辺の地名が出てきて親しみやすかったです。ストーリーも感動的でした。この書に限らず、ぜひ皆さんも自分の出身地やなじみのある地、またはこれから訪れる地が舞台になっている本を読むとよいと思います。この物語の鍵となる寸座駅、僕はまだ行ったことがないので、今度行ってみたくなりました。

 

 

 

 

 

 

平成の天皇皇后両陛下大いに語る(文藝春秋 2024)   保阪 正康 著 

 勝央美術文学館で保阪正康氏の講演を聴くにあたり読みました。とても貴重な歴史の記録だと思います。この本を読むまでは、僕は昭和生まれなので、自分は「昭和人」であると思っていました。しかしながら、これまで生きてきた中で平成時代が最も長いこと、昭和時代はその一部しか生きていないが、平成時代はそのすべてを生きてきたということを考えると自分は「平成人」であるかもしれないなと思いました。自分の時代を知りましょう。

 

 

 

 

 

 

「時間がない」から、なんでもできる! (サンマーク出版 2022) 吉田 穂波 著

 ゼミで指導する学生が受援力の卒業研究をするため、受援力の提唱者吉田穂波氏の同書を読みました。僕自身もいつも忙しい、時間がないと思ってきましたが、発想の転換を迫られる書でした。皆さんも学業やアルバイト、ボランティアやプライベートなどいろいろと忙しいと思っているのではないでしょうか。そんなあなた、ぜひこの書を手に取ってみてください。きっと共感できます。また他人から助けてもらう力も大切です。

 

 

 

 

 

 

愛の人 やなせたかし(講談社 2025) 小手鞠 るい 著

 ひょんなきっかけから著者小手鞠るいさんとのメールのやりとりをすることになっています。NHK朝ドラ『あんぱん』でやなせたかしさんが取り上げられるため読んでみました。小手鞠さんとやなせさんの結びつきや人生が交錯している様子が描かれ刺激になりました。TVドラマや映画を見るのが好きな皆さん、原作本やノベライズ本、関連本を読んでみるのは読書体験が立体的になります。ぜひ試してみてください。

 

 

 

 

 

 

空から森が降ってくる(平凡社 2019) 小手鞠 るい 著

 ということでもう一冊小手鞠るいさんの書を紹介します。これはエッセイ作品なのですが、新見市の米国の姉妹都市ニューヨーク州ニューパルツにほど近いウッドストック、ハドソン河、そしてニューヨークシティなどが出てくるエッセイです。9年ぶりにアメリカ研修を再開するにあたり、準備となる読書でした。そして、読後、小手鞠さんとお勧めの場所についての情報交換をすることができ、非常に贅沢な読書体験でした。

 

 

 

 

 

ニューパルツと私・新見/大佐と私 新見市・ニューパルツヴィレッジ姉妹都市締結25周年記念文集新見市・ニューパルツヴィレッジ姉妹都市締結25周年記念誌編集委員会 編

  これは書籍ではありませんが、本学図書館にも所蔵されている文集小冊子(100ページ)です。新見市(旧・大佐町)とニューパルツヴィレッジとの姉妹都市交流の思い出などが、日米双方から寄せられており、それぞれ英語または日本語の翻訳をつけています。僕が編集委員長を務めましたので、「まえがき」と「写真とともに振り返る25年の交流」を書いています。国際交流に興味がある方、ぜひお読みいただき、交流の輪に参加してください。

 

人種と民族を考える 英米文学・文化・教育の視点から(音羽書房鶴見書店 2025) 山内  圭[ほか11名] 著

 この書は論文集なのでとっつきにくい本だと思われるかもしれませんが、国際化が進み、日本にも多くの外国人がやってくる現代、人種や民族について考えてみることはとても大切なことです。各著者がいろんな視点からこのテーマについて論じていますが、僕は「ジョン・スタインベックの生育環境および作品を通じて考える人種・民族」という文を寄稿しています。朝ドラ『ばけばけ』で取り上げられる小泉八雲についての論考もあります。

 

 

 

 

 

 

DVから子どもの安全を守る 母親非難をやめ、父親の行動に目を向けるSafe & Togetherモデル入門(明石書店 2025)
デイビッド・マンデル(David Mandel) 著  増井 香名子、
岡本、正子、岩本華子、藥師寺 順子、小川 衛子 監修 

 この書は米国でDVから子どもの安全を守るSafe & Togetherモデルを提唱しているデイビッド・マンデル氏の書を、本学の地域福祉学科に以前在籍された増井香名子先生が監修を務め、翻訳をしたものです。僕はこの書の中の漫画部分の翻訳を担当しました。児童相談所等のワーカー向けに書かれている書ではありますが、福祉・保育・看護などを学ぶ学生の皆さんにとってもきっと役に立つ本だと思います。

 

ソール・ベロー傑作短篇集(小鳥遊書房 2025)ソール・ベロー(Saul Bellow) 著  

 ユダヤ系アメリカ人ノーベル賞作家ソール・ベローの傑作短篇を12名で翻訳した書です。僕は「足を口にくわえた彼」という作品を共訳しています。外国文学の翻訳書は多くの場合地名や人名などがカタカナ表記され、読み慣れないと思う人もいると思いますが、これには次第に慣れてきます(僕もそうでした)。特にベローの文は、衒学的であり、読む者に様々な知識を要求してくる「挑戦的な」文ですが、ぜひ挑戦してみてください。

 

 

 

 

 

 

小野口四方山話(大阪教育図書 2025)  山内 中 著  

 身内の書の紹介でやや気が引けますが、僕の父 山内中(ただし)が在野の地方史研究家として書き残した文章を遺志により僕が編集して出版した書です。ある地域、具体的には静岡県浜松市浜名区の「小野口地域」の歴史についての「よもやま話」となっていますが、この本を読むことによって、それぞれの出身地や今住んでいる地域の歴史に興味を持ってもらうきっかけになればと思います。ガイドブックも兼ねている薄い装丁です。             

 

 

 

 

 

 

山本浩史先生の読書ノート

機会の平等 境遇による格差から自由な社会に向けて(勁草書房 2025)ジョン・ローマー 著  後藤 玲子、吉原 直毅 訳

 勉強をさぼって進学できなくなる。これらは全くもって個人の責任だ。だが同時に、生まれ育った家庭や環境など、どうしようもできない境遇がそれぞれに深く影を落としている。政府は彼らにどのように資源を分配すべきなのか?努力の「水準」と「程度」を区別して、数理経済学の手法を駆使し、真に平等にするアルゴリズムを打ち出す(「BOOK」データベースより)。
 社会正義を考えるには、難しい内容ですが、いい書籍だと思います。

 

福祉国家見直し論と自民党政治 地域共生社会への起点(翔雲社 2025)永田 隆二 著

   福祉元年後に巻き起こった、「福祉見直し論」とは一体何だったのか。本書は700以上の文献から当時の政治過程を描写し、自民党内における福祉見直し論の系譜と、その出現要因を分析した学術論文である。佐藤内閣の「経済と福祉の調和」路線、田中内閣の「列島改造型」福祉、三木内閣の「安定成長型」福祉など、各政権の福祉政策の特徴をすべて明らかにする(JPROより)。
 社会福祉の原理を考えるには、難しい内容ですが、いい書籍だと思います。

 

 

高杉公人先生の読書ノート

過疎ビジネス(集英社新書 2025) 横山 勲 著

  「コンサル栄えて、国滅ぶ」。筆者が読者に伝えたいことが、この帯の一言に込められている。この本では、企業版ふるさと納税や国の補助金を使って官民連携の事業を仕掛けているコンサルタント会社が、裏では公金の流用に寄与している実態を筆者が暴いていく内容である。地方創生の名のもとに行われる安易な官民連携に、筆者は警鐘を鳴らしている。市町村による真のガバナンスとは何かを考えさせる良作である。

 

 

 

 

 

 

 

コミュニティデザインの時代 自分たちで「まち」を作る(中央公論新社 2012)山崎 亮 著

   山崎亮氏が、人のつながりを「デザインしないデザイナー」として人と共に描いてきた軌跡を綴った「コミュニティデザイン」の実践書である。本書は、彼自身が手掛けてきた「コミュニティデザイン」プロジェクトの紹介だけでなく、プロジェクトに関わり始めた動機や背景が描かれており、人間としての山崎亮を理解できる内容となっている。

 

 

 

 

 

 

 

大人のための社会科 未来を語るために(有斐閣 2017)井出 英策、宇野 重規、坂井 豊貴、松沢 裕作 

   現代の社会が陥っている閉塞感を打破し、大人が日本社会について希望を持って「いま」と「これから」を語り合うための教科書として書かれた本である。経済、政治、社会をめぐる様々な出来事をその専門家が分かり易い言葉で、多様な視点で解き明かし、最後にこれからの社会に対して希望を持って生きるための一つの道筋を示す内容となっている。

 

 

 

 

 

 

三上ゆみ先生の読書ノート

受援力(法研 2024)町 亞聖 著

    現在、日本テレビのアナウンサーの著者が、大学受験を目前にした高校3年生の時、母親(当時40歳)がくも膜下出血で倒れ、右半身麻痺と言語障害の後遺症が残りました。家事に非協力的な父親に「お前が母親だ」といわれ、中学生の弟と小学生の妹の面倒を見ながら炊事や洗濯などの家事をこなし、役所関係の手続きなど慣れない雑事もすべて行いながら残りの高校生活と浪人生活を送りました。30年以上前はヤングケアラーという言葉もなく選択肢もない状況でした。当事者の困りことに名前がついて、自分だけじゃないというモヤモヤから救われる人は大勢います。新しい〈選択肢〉を作っていくのもソーシャルワークですね。

 

 

 

 

 

 

国宝 上・下(朝日新聞出版 2018)吉田 修一 著

  「えー知らないの?」と話題映画の話から、この小説を手に取りました。今、歌舞伎に足を運んだことがない人がどっと押し寄せえる現象を巻き起こしている映画「国宝」の元となった長編小説です。昭和の芸能の厳しさを描いた作品で、ノスタルジーを感じながらするする読めました。その後映画館に足を運びましたが、これまた同じ物語?と見まごう映像美にうっとり。

 

 

 

 

 

 

 

井上信次先生の読書ノート

死生観を問う 万葉集から金子みすゞへ(朝日新聞出版 2023)島薗 進 著

   古典から現代の詩歌・物語を「魂のふるさと」「無常」「悲嘆」などで読み解き、多くの喪失に触れつつ「自分自身の死生観」を問い直す良書である。専門職として自身と相手の死生観を理解する姿勢は重要で、その入門として薦めたい。

 

 

 

 

 

 

 

あなたの見ている世界を、私も見てみたい 自閉スペクトラムな26人の物語(東洋館出版社 2025)ジョディ・ロジャーズ 著  木村 千里 訳

  自閉スペクトラムの26人を1人1章で描き、感覚や対人理解の「違い」を本人側の視点から追体験できる。支援者の試行錯誤も示され、発達障害に対して今までとは違った見方ができる1冊として、対人援助職を目指す学生に薦めたい。

 

 

 

 

 

 

 

子どもの語りからわかる 精神疾患のある親をもつ子どもの支援(中央法規出版 2025)田野中 恭子 著

   支援の場で示された「子どもの語り」から、親に精神疾患がある子どもの困難と支えを整理し、支援の視点や多職種連携の具体例まで示す。子どもの支援には、家庭状況によっては親の支援も欠かせないことが実感できる。ヤングケアラー支援や児童福祉を志す人はもちろん、学校で子どものサインを受け止める養護教諭志望者、メンタルヘルスに関心のある人にも薦めたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

鄭丞媛先生の読書ノート

観光コースでない沖縄 第5版(高文研 2023)新崎 盛暉、諸見里 道浩、 謝花 直美、松元 剛,、島袋 良太,、前泊 博盛,、亀山 統一,、仲宗根 將二,、大田 静男 著

   本書は、観光地として知られる沖縄とは異なる、戦争や基地、産業、自然、離島の暮らしなど「もう一つの沖縄」を伝えている。豊富な写真とともに、戦跡や基地のある風景、変わりゆく沖縄の姿がわかりやすく紹介されている。沖縄から見える日本の姿を考えるきっかけにもなり、観光では見えにくい沖縄の現実を知りたい人にとって、手に取りやすい本である。

 

 

 

 

 

 

グローバル格差を生きる人びと 「国際協力」のディストピア(岩波書店 2025)友松 夕香 著

   本書は、アフリカで暮らす人びとの日常や思いを通して、国際協力やグローバル格差の現実をわかりやすく描いている。善意で行われてきた支援が、必ずしも人びとの生活を良くしていない現実や、若者や女性、農村が直面する問題が示されている。支援する側ではなく、支援を受ける側の目線から世界を見ることで、国際協力とは何かを改めて考えさせてくれる。

 

 

 

 

 

 

加藤雅彦先生の読書ノート

あなたが政治について語る時 (岩波書店 2025)平野 啓一郎 著

   あの『マチネの終わりに』を書いた平野啓一郎がこういう本を著すとは思わなかった。といっても、書いていた新聞や雑誌の記事を集めたものである。しかし、政治について語るにはそれなりの覚悟がなければ良質な意見は出てこないことをこの本で改めて思った。なお、著者は、ソーシャル・メディアを使用して自分の意見を修正していることも記している。

 

 

 

 

 

 

運命の終い(小学館 2025)奥田 亜希子 著

   やっぱり恋愛小説はやめられない。人前では恋愛なんてもうとっくに卒業したような顔をしているが、疑似体験でもよいからもう一度、いや、何度もやってみたくなる。そういう意味で私はこの恋愛小説を選択したので、目下恋愛真っ最中の学生諸君にとって必要ないと思われるかもしれない。しかし、恋愛とはこういうもんだ、とこの本は教えてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

松田美樹先生の読書ノート

さよならの儀式(河出書房新社 2019)宮部 みゆき 著

  短編8つが収録された1冊で、時間があるときに徐々に読み進められます。作者の世界観に触れることが好きで、本に浸りたいと思う時に手にとった1冊です。タイトルにもなっている短編では、ICTが進んだ世界でロボットとのお別れを描く話なのですが、日常あたり前のようにロボットとのやりとりが生じ、長年の付き合いになると、こうも複雑な気持ちになるものか・・・と考えさせられました。作者の描くSFの世界へぜひ足を踏み入れてみてください。

 

 

 

 

 

 

エルマーとりゅう(福音館書店 1990) ルース・スタイルス・ガネット 作  ルース・クリスマン・ガネット 絵  わたなべ しげお 訳

   昨年紹介した「エルマーのぼうけん」の続編、エルマーが助けたりゅうとエルマーが自宅へ戻るまでのお話が綴られた本です。途中に寄った島では、昔飼っていたインコとの再会やある問題を解決するストーリーが描かれていますが、私はそれよりも本の最後に温かくエルマーの帰りを待っていた父親と母親の姿にほっこりしました。エルマーのぼうけんを読んだ方、是非その続きをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

合田衣里先生の読書ノート

星の教室(角川春樹事務所 2025)髙田 郁 著

    夜間中学を舞台にした物語です。夜間中学に通っている登場人物たちは、年齢も性別も国籍も生きてきた歴史もさまざま。主人公が自信を取り戻していく姿、同級生たちの1つ1つの物語が丁寧に描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

自分とか、ないから。教養としての東洋哲学(サンクチュアリ出版 2024)しんめいP 著  鎌田 東二 監修

   東洋哲学なんて難しそうだなと思うかもしれませんが、“禅 言葉はいらねえ 達磨の哲学”“他力 ダメなやつほど救われる 親鸞の哲学”など、ユーモア溢れる章立てがされており、楽しく読めると思います。

 

 

 

 

 

 

 

パンどろぼうとほっかほっカー(KADOKAWA 2023) 柴田 ケイコ 作

   子どもに大人気の絵本、パンどろぼうシリーズの1つ。私もわが子も大好きです!ほかほかのパンを遠くに届けたいパンどろぼうが、スペシャルカーを用意してみんなに笑顔を届けます。パンどろぼうって誰?どういう意味?と思った人は1作目に答えが!

 

 

 

 

 

 

高橋順一先生の読書ノート

児童養護施設で育つ子どものレジリエンス 社会的養護における自立支援に向けて(明石書店 2025)梅谷 聡子 著

   児童養護施設における自立支援について、現場の実践と研究者の視点の両方から論じている書籍です。入所している子どもの現状や自立支援に関する先行研究、退所者の抱える困難やその支援、さらにはライフストーリーにおけるレジリエンスなどについて、具体的かつ学びの多い内容となっています。

 

児童福祉司になろう!(青弓社 2025)川松 亮 著

  子ども虐待に関する相談・対応だけでなく、特別養子縁組の申し込み、非行問題など、児童相談所における様々な相談について、児童相談所で長年勤務されてきた著者が分かりやすく解説している書籍です。心理的ケアと親子関係再構築支援、里親や児童福祉施設との協働などについて学べます。

 

 

 

 

 

 

 

児童相談所における一時保護の実務と法的対応 こども中心のソーシャルワークと保護者支援・司法審査(日本加除出版 2025)岩佐 嘉彦 大畑 亮祐、進藤 千絵 編著

   児童相談所における一時保護時の司法審査に関する制度改正に対応した最新の書籍です。一時保護の実施・解除のアセスメント、実施時に発生する問題、法的性質、子どものアドボケイト、AHT 事案、一時保護施設の環境などについて学べます。

 

 

 

 

 

 

 

アタッチメントを学ぼう エピソードでつなぐ関係性の理解と支援(日本評論社 2025)北川 恵 著

 アタッチメントについて分かりやすくまとめられている書籍です。乳幼児期におけるその重要性をはじめ、人生や文化との関連性、理論に基づく親子関係支援などについて書かれています。愛着とアタッチメントの厳密な意味での違いなどにもふれられています。

 

 

 

 

 

 

 

井上祐介先生の読書ノート

〈図説〉韓国都市探究 24の街の歴史、文化から産業まで(原書房 2024)全国地理教師の会 著  水谷 幸惠、宗実 麻美、山口 裕美子 訳

   本書は韓国の地理を専門とする教師たちが執筆した1冊である。日本から韓国に旅行をする場合、ソウル中心の内容になりがちだが、本書は全国24の都市を取り上げ、それぞれの歴史や自然、文化、産業をわかりやすく紹介している。観光案内にとどまらず、各地域が抱える課題や未来への取り組みにも触れており、韓国を多様な「まち」の集まりとして理解できる。初めて韓国を知る人にもおすすめできる。

 

 

 

 

 

 

動都 移動し続ける首都(平凡社 2024)坂 茂 編著  光多 長温、三宅 理一 著

   色々な国々を旅していると、なぜこの場所に首都があるのだろうと感じることがある。本書は、米国やカナダなど世界の首都の歴史やそれぞれが抱える問題を紹介しながら、著者による「動都」という新しい首都の考え方を提示している。東京一極集中や災害への弱さといった身近な課題を、少し違う視点から考えさせてくれる内容で、都市や地域の未来に関心をもつ人にも読みやすい1冊である。

 

 

 

 

 

 

雑賀正彦先生の読書ノート

「自分らしく生きて死ぬ」ことがなぜ、難しいのか行き詰まる「地域包括ケアシステム」の未来(光文社新書 2020)野村 晋 著  

   本書は、現役の厚生労働省の役人が執筆した書籍である。地域包括ケアシステムに関して、市町村への出向時に感じたシステム構築に求められるポイントについて、わかりやすく解説している書籍である。地域包括ケアシステムについての学びを深めたい学生にはお勧めの1冊である。

 

絆の構造 依存と自立の心理学(講談社現代新書 2013)高橋 惠子 著

   本書は、絆(つながり)について心理学の視点からわかりやすく解説した書籍である。また、絆(つながり)の構造に関し、依存と自立の視点から具体的事例を用いてわかりやすく説明している。地域におけるつながりがなぜ必要か、どのようにつながりを構築していけばよいかを考えるヒントになる1冊である。

 

 

 

 

 

 

 

 

金子宏明先生の読書ノート

生きること学ぶこと(集英社文庫 2011)広中 平祐 著 

   著者は、数学界のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した数学者であり、同賞の受賞につながった「特異点解消」の定理を証明するまでの歩みを綴りながら、学ぶことの意義について問いかける本である。

 

 

 

 

 

 

 

大人のための文章教室(講談社現代新書 2004)清水 義範 著

  書き手の趣意が読み手に伝わる書き方について、具体的な文例を交えながら分かりやすく解説した本である。文章作成の目的を意識して書くことの重要性と、目的に応じたポイントと留意点が示されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

支援者が成長するための50の原則(中央法規出版 2006)川村 隆彦 著

  著者は私の恩師であり、最も敬愛するソーシャルワーカーである。著者は、自身の体験や身近なエピソードを引用しながら「50の原則」を説明しており、著者が目指した「ソーシャルワーカーが深く学ぶ本」として作られている。

 

 

 

 

 

 

 

泉宗孝先生の読書ノート

障害のある人の暮らす権利 ともに歩む支援者たちへ(クリエイツかもがわ 2025)田中 智子、三木裕和、障害者の暮らしを支えるゼミナール 編著 

 「自由」とは響きはいいですが、安心・安全がある中でないとそれを有意義には感じないものではないでしょうか。障害者の地域移行などが叫ばれていますが、本当に安心して質の高い生活を求めることができる環境が整っているでしょうか。皆さんが暮らす市町村ではどうでしょうか。声をあげにくい方々であるからこそ、医療・福祉分野に進む方には「一般論」として知っておいてほしいお話がたくさんあります。

 

 

 

 

 

 

うりずんの風に吹かれて(クリエイツかもがわ 2025)高橋 昭彦 著

 近年、「医療的ケア児」という言葉をニュースなどで目にすることも多くなったと思います。「地域の方々」という表現を会話などで使用する場合、「医療的ケア児」やその家族もイメージすることはありますか?「することないかも…」と思われた方は、一度、本から理解を深めてみませんか?「医療的ケア」「在宅医療」とは何なのかということを考える機会にしてみてください。

 

 

 

 

 

 

過疎地域の福祉革命(幻冬舎 2024)安田 由加理 著

 新見市のような過疎化地域の在宅医療は、今後の日本の大きな課題であるとも言えます。兵庫県のたつの市、上郡町など、地域福祉学科の実習先となっている地域のお話も出てきます。医療と福祉の融合は、新たな可能性について考えるためには必須と言えます。「包括的な医療と福祉」という言葉を具体的にイメージするには、読みやすい本だと思います。

 

 

柳廹三寛先生の読書ノート

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え(ダイヤモンド社 2013)岸見 一郎、古賀 史健 著 

 『嫌われる勇気』は、他人の評価に振り回されず“自分の軸で生きる力”を与えてくれる1冊です。大学生活は進路・人間関係・将来への不安など迷う場面が多くあります。本書はアドラー心理学をわかりやすく解説し、自分の選択に責任を持ち、前向きに行動する勇気を育ててくれます。今の悩みを整理し、これからの人生を主体的に歩むきっかけになる本です。

 

自分の中に毒を持て(青春出版社 2002)岡本 太郎 著

 『自分の中に毒を持て』は、他人の期待に合わせて生きがちな私たちに、「自分の人生を貫く勇気」を強く問いかける1冊です。岡本太郎の言葉は激しくも真っ直ぐで、進路選択や人生に迷いがある学生に大きな刺激を与えてくれます。周囲と比べるのではなく、自分の中の情熱や“本当にやりたいこと”と向き合うきっかけになる本です。大学時代にこそ読んでほしい自己発見の書です。

 

ナラティブ・ベイスト・メディスン 臨床における物語りと対話(金剛出版 2001)トリシャ・グリーンハル、ブライアン・ハーウィッツ 編  斎藤 清二、 山本 和利、 岸本 寛史 監訳

 『ナラティブ・ベイスト・メディスン』は、患者の「物語」を理解することで医療の質を高めるという新しい視点を示す1冊です。症状やデータだけでなく、その人がどんな背景や価値観を持ち、どんな思いで病と向き合っているのかを丁寧に理解する姿勢を学べます。医療・福祉の専門職を目指す学生にとって、コミュニケーションや支援の本質を考える貴重な入門書です。

 

長宗武司先生の読書ノート

大学時代しなければならない50のこと(PHP文庫 2000) 中谷 彰宏 著

 私が大学生時代に読んで影響を受けた書籍です。「大学時代にコイツはすごいという人に出会えば第2の自分が眼を覚ます」「自分の中に自分だけの辞書を作る」今の自分が大学教員として生活しているのはこの本に出会ったことが少なからず影響しています。50のアドバイスの中から皆さんの人生に影響を与える言葉が見つかるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

スケール 上 生命、都市、経済をめぐる普遍的法則(‎早川書房 2020)ジョフリー・ウェスト 著  山形 浩生、森本 正史 訳

 「経済学はお金のことを学ぶ学問ですか?」とよく聞かれますが、「数学を使って世の中の普遍的な法則を導き出す学問です」と回答します。この本では、人間や動物、(人間が作る)都市や経済まで、この社会の多くの要素が普遍的な法則に従っていることを解き明かしています。

 

 

 

 

 

 

大学職員の読書ノート

杉森くんを殺すには(くもん出版 2023) 長谷川まりる 作   おさつ 絵  

 「杉森くんを殺すことにしたの」という高校1年生のヒロの告白から始まる物語。衝撃的なタイトルから物語の最後まで、読む人間の想像を裏切り続けます。モノの見方や考え方は1つではなく、思い込みから自由になれる1冊です。若者の自殺、依存、トラウマ、家庭内暴力、ジェンダーなど重たいテーマが次々と描かれますが、驚きの連続で一気に読めてしまいます。第62回野間児童文芸賞受賞作。

 

 

 

 

 

 

センス入門(筑摩書房 2013)松浦 弥太郎 著  

 「センスが良い大人になりたい」と思ったことはありませんか?そんな方に、今日からできることが何かを示してくれる本です。「センスのいい人、たくさんいいところがある人というのはたいていバランスがとれていて、みんな、どんな人に対してもどんな出来事に対してもすなおです。」と著者は言います。ぜひ、若くて行動力があるうちに、たくさんの出来事を「すなお」な心で受け止め、バランス良く、センスのいい大人になっていってください。

 

 

 

 

 

 

多様性の科学(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2021)マシュー・サイド 著  トランネット 翻訳協力  

 アメリカCIAはなぜ9.11テロを防げなかったのか?それは「多様性に欠けていたから」である、と著者は指摘します。個人の能力が優秀であっても、画一的な集団は盲点に気づかず、自分たちの考えを正しい考えであると自信をもって認識しがちであり、実はこれが失敗の原因となることが多いのです。「多様性」「ダイバーシティ」「ジェンダー平等」などの言葉をよく聞きますが、そうした言葉の大切さを科学的・理論的に著した本です。