の読書ノート(教職員推薦図書案内)

新見公立大学教職員が、学生に向けてお勧めの本を紹介する企画です。

専門分野の良書や、人生について考える書、面白い小説など、様々なジャンルの本が紹介されています。

推薦図書を通じて普段はなかなか接する機会のない他学科の教員や、よく知っている教員の意外な一面を

発見することができるかもしれません。

紹介されている本は図書館で借りることができます。読書の後はぜひ感想を聞かせてください。

 

看護学科
健康保育学科
教育支援センター
地域福祉学科

 

 

公文裕巳学長 の読書ノート

宝島 (講談社 2018) 真藤 順丈 著

宝島 第160回直木賞受賞作品。戦後沖縄で基地から物資を盗む「戦果アギヤー」、

その英雄の疾走のミステリーを中心に仲間の若者3人の成長をスリリングに描いた

青春小説。同時に、戦後から今日まで続く苦悩に満ちた沖縄の現代史が

描かれている。

 

注文をまちがえる料理店 (あさ出版 2017) 小国 士朗 著

 “認知症を抱える人”が接客し、まちがえることを受け入れて、一緒に楽しむ不思議な料理店。

その構想を思いついた著者の準備段階での仲間集めのこだわりから、実際のレストランでの

エピソードが暖かく描かれている。この本が起点となり、人に優しい同種のレストランが

各地で拡がっている。

 

亡き妻と歩いた四国巡礼日記 七十六歳の結願 (中央公論新社 2019) 垣添 忠生 著

亡き妻と歩いた四国巡礼日記 2020年10月11日の開学40周年記念式典で記念講演をお願いしている

国立がんセンター名誉総長、日本対がん協会会長の垣添先生の手記。

がんに侵された最愛の妻を自宅で看取り、喪失と再生までの道のりを

「妻を看取る日」(新潮社 2009)で描いた垣添先生が7年後から始めた

慰霊と感謝の四国巡礼の旅物語。

 

里山資本主義 (角川書店 2013) 藻谷浩介、NHK広島取材班 著

里山資本主義 本学の客員教授である藻谷先生の提唱された「里山資本主義」に関する

ベストセラー、新書大賞2014。お金の循環がすべてを決するという前提で

構築された経済システム「マネー資本主義」の欺瞞性と脆弱性を説き、

生きていくのに必須である水と食料と燃料をお金に依存しないで手に入れる

サブシステム「里山資本主義」の重要性を指摘。障害者・高齢者を含めた全員が

社会参加して、必ずしも金銭換算できない価値の循環によるコミュニティーを復活させることで

明るい未来が拓かれることを提唱する本学学生の必読書。

 

 

 

 

看護学科

上山和子先生 の読書ノート

「のび太」という生きかた (アスコム 2004) 横山 泰行 著

 本書は、勉強も運動も苦手でぐうたらしてばかりののび太が、人生を上手に歩んでいく過程を

つづられています。人生の節目において、「着実に夢を叶え」「負け犬のび太」から

「勝ち組のび太」に変身していきます。失敗があるからこそ心の持ち方を変えることで

生きやすくなり、夢に近づいていくことができる、立ち直る強さと決して無理をしない自分のペースで

ものごとに取り組む生き方が共感を呼んでいます。人生書として活用していただければと思います。

 

小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て (マガジンハウス 2018) 高橋 孝雄 著

小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て 本書は、子どもの個性、能力は親から受け継ぎ、教育は親から受け継いだ

遺伝子の特徴を上手に生かせるようにすることを説いています。親が心掛けたい

子育ては、誰かの気持ちに寄り添える「共感力」、自分のことを自分で決める

「意思決定力」、自分は自分でいいと感じる「自己肯定感」です。この三つを

身に付けることでどんな苦境も、様々な困難も立ち向かっていけると説いています。

共感力や意思決定力が育児環境や教育環境によって育まれていくのに比べ、自己肯定感は親として

どのように汲み、高めていくか、ささやかな成功体験を積み重ねていく関わり方を説いています。

子どもに関わる職種だけでなく、将来の親業について学ぶ書として推薦します。

 

こどもホスピス (新泉社 2019) 田川 尚登 著

こどもホスピス 本書は、子どもに関わる看護専門職として、小児緩和ケアについてどのように

関わっていくのか導いてくれる書です。生命が脅かされる病気や医療的ケアを

必要とする子どもは約2万人です。小児の緩和医療は成人に比べると

焦点をあてられることは少ない。ここでは、横浜にある

「子どもホスピスの設立に向けた活動」についてつづられた書です。

イギリスはこどもホスピス発祥の地であり、レスパイトケアを重視しているオランダなど、

諸外国の動向についてもつづられています。限りある子どもの命と向き合うことについて、

子どもや家族の気持ちに寄り添う小児緩和ケアが広まっていくことを願う書です。

 今後、子どもに関わる看護職を目指す者への一助となる書です。

 

 

四宮美佐恵先生 の読書ノート

比べず、とらわれず、生きる (PHP研究所 2018) 枡野 俊明 著

 「禅語」は、私には馴染みがない言葉ですが、1つの言葉というものは、私たちの人生にとって

とても大切なもので、その1つの言葉が、人生の道しるべとなったり、その言葉との出会いによって

救われることもあります。「眼横鼻直 がんのうびちょく」「ありのままのあなたでいい」意味が

わかりませんでした。この本の中には、いつでも自分の人生に寄り添ってくれる言葉「禅語」が

たくさんあり、分かりやすく解説をしてくれています。

 

ムダなことなどひとつもない (PHP研究所 2011) 酒井 雄哉 著

 ムダなことなどひとつもない1日1日を大切に生きていくことで、人生に無駄なことはないと気づき、

生きることが楽しくなることに改めて気づかされました。また、仏教で「いい欲」

のことを「忘己利他」と言うそうです。この意味は、良いものや楽しみを他人に

分け与え、残ったものを自分がいただくという意味だそうです。

良いものを求める欲も必要ですが欲深くならないように「忘己利他」を心がけたい

と思いました。

 

毒になる親 (講談社 2001) スーザン・フォワード 著

毒になる親 「毒になる親」は、子どもに対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、

子どもの人生を支配するようになってしまう親と表現し、こういう親によって

子どもの心に加えられる傷はしだいにその子どもの全存在にわたって広がり、

心を蝕んでいく。そのような親を持った人が自己を回復し、自分の人生を

自分のものとして生きていくにはどのようにしたら良いかという方法について

示されています。

 

 

原田信之先生 の読書ノート

47都道府県・民話百科 (丸善出版 2019)

47都道府県民話百科 本書は日本全体の民話の概要を、北海道から沖縄県まで47都道府県ごとに

網羅的に紹介したものである。「民話」という用語が示す内容について、本書は

「昔話」「伝説」「世間話」を含むものと説明している。各県ごとに、

「地域の特徴」「伝承と特徴」「おもな民話(昔話)」「おもな民話(伝説)」

「おもな民話(世間話)」の順で説明されているので、それぞれの県の民話の

概況が簡単に把握できる。巻末に民話を学びたい人のための諸団体一覧や民話の本が充実した

図書館、参考文献などが収載されていて便利である。岡山県の項は原田が執筆した。

 

未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること (講談社 2019) 河合 雅司 著

未来の地図帳 人口減少が続いた後、日本の未来がどうなるかという問題について説明した

『未来の年表』『未来の年表2』に続く第3弾となる書である。

2045年の未来予測では、最も人口が少ない自治体は東京都青ヶ島村で104人、

最も人口が少ない市は北海道歌志内市で813人、出産期の女性が最も少ない自治体は

奈良県上北山村で1人と衝撃的な数字が並ぶ。100年以内に日本の人口は半減する

というが、著者は生き残りのために既存自治体とは異なる拠点を各地に作り「戦略的に縮む」ことを

提言している。

 

令しく平和に生きるために (潮出版社 2019) 中西 進 著

 「令和」の考案者とされ、『万葉集』研究者として知られる著者によるエッセイ集である。

大学生の53パーセントが1日の読書時間が「ゼロ」という現象についての著者の考えを述べた

「「本を読まない」とは」というエッセイでは、古く中国から書物が輸入された時、

古代の日本人は「読書」は人の心やよい未来を教えてくれると考えて「よむ」という

日本語を与えたとし、「読書離れ」とはとびきり上等なすべての習性を捨てることを意味する

と述べている。やさしい文章のなかに深い教養と鋭い洞察力が光る良書である。

 

 

金山時恵先生 の読書ノート

がんになった親が子どもにしてあげられること (ポプラ社 2018) 大沢 かおり 著

 現在は、国民の2人に1人ががんになる時代と言われています。親ががんになった時、

子どもにその事実をどのように伝えるか、何をしてあげられるかについて、子どもの年齢に応じた

具体的な告知方法などが書かれています。大切なのは、家族として乗り越えることだと思います。

 

なぜ人と人は支え合うのか (筑摩書房 2018) 渡辺 一史 著

なぜ人と人は支え合うのか 著者は福祉や介護の専門家ではないが、取材を通して多くの障害者と交流する

ことにより、感じたこと、考えたことが書かれています。障害者や福祉の意味、

人と人が支えあう意味を問い直しており、障害や病気に対するこれまでの概念を

払拭してくれます。

 

 

子どもの貧困と食格差 (大月書店 2018)

子どもの貧困と食格差 貧困家庭の子どもの健康状態には肥満など多くの問題があることは分かって

います。中でも食生活は子どもの健全な育ちに重要な土台となります。

「食」に関する格差の現状をデータで解説されたり、その具体的な対策の一つに

学校給食を取り上げて書かれています。

 

 

土井英子先生 の読書ノート

看護の自立 (勁草書房 1994) 川島 みどり 著

 川島先生が1977年に執筆された書物です。他にも川島先生が執筆された書物は多いですが、

私自身が「看護」について深く考えさせられた書物です。看護の基本を書かれていると思います。

是非お読みください。

 

胃ろうという選択、しない選択 (セブン&アイ 2012) 長尾 和宏 著

胃ろうという選択しない選択 認知症の高齢者が増える中で社会的問題になっている胃ろう造設について、

そのメリット、デメリットをわかりやすく解説しています。

『石飛幸三著「平穏死」のすすめ』の後に出版された書物です。

そのため先に「平穏死」のすすめを読むことをお勧めします。

 

看護実践にいかすエンド・オブ・ライフケア (日本看護協会出版会 2018)  長江 弘子 編

 我が国は高齢化の進展により、疾病構造の変化に加え、複数の慢性疾患を抱えながら地域で

暮らす人が増加しています。そのため、地域で「その人の生き方を支えるケア」として

エンド・オブ・ライフケアが欠かせません。「本人の意向」を中心に据えた理論と実践、

ケアを実践する基本的考え方が書かれています。

 

 

木下香織先生 の読書ノート

ユマニチュードと看護 (医学書院 2019) 本田 美和子、伊東 美緒 編

 ユマニチュードについては、実習や授業、「私の読書ノート」でご紹介を続けていますが、

今回は『看護』を冠した注目の一冊です!なぜなら、日本へ導入された当初から、看護界での

ユマニチュードへの評価は賛否両論だったから。読み進めていくと、看護を専門としない二人が

ユマニチュードを創り出す過程には、看護師の素晴らしい実践があったことも明らかに

なっています。ユマニチュードと看護とを結び、理解が深まる一冊です。

 

100のチャートで見る人生100年時代、「幸せな老後」を自分でデザインするためのデータブック (ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019) 大石 佳能子 著

 タイトルのとおりデータブックで、1つのテーマを見開き2ページで読めます。

わが国の急速な高齢化の現状から始まり、心身の健康や医療・介護制度まで幅広く、

『自分の老後をデザインする』ために知っておきたいテーマが100項目!統計的なデータと

その解説のほか、海外の先進的な取り組みの紹介もあり、興味深い内容が盛りだくさん。

ちょっと開いてみませんか。

 

パンツは一生の友だち 排泄ケアナース実践録 (現代書館 2010) 西村 かおる 著

 『全ての人が気持ちの良い排泄ができる社会創り』を使命とする、NPO法人日本コンチネンス協会

代表の著者による一冊。排泄の基礎から始まり、スルスルと読み進めるうちに、排泄について理解が

深まっていきます。情景が浮かぶようにわかりやすく記された、経験豊かな著者の多彩な

エピソードに引き込まれます。著者の実体験が描かれた『エピローグ 父の最期』もお見逃しなく!

 

 

矢庭さゆり先生 の読書ノート

死を前にした人に あなたは何ができますか? (医学書院 2017) 小澤 竹俊 著

 できるのは、その人の生きてきた人生を知り、今の声を聴き、その人にとっての支えを

みつけること、発せられた言葉を反復し、次の言葉を待つこと…。一人の人の人生の前で謙虚な姿勢で

向き合うことの大切さに気づくことができる。

 

マインドフルネス入門 (清流出版 2014) 大田 健次郎 著

マインドフルネス入門 こころのエクササイズといわれる「マインドフルネス」。

ケアリングルーム縁側代表の著者が、誰にでも起きる心の揺れや感情の動き、

ストレスについて述べている。対人援助職の感情労働によるストレスフルな毎日の

過ごし方について、こころを鍛える自己洞察の方法や呼吸法、実践できる

ストレス解消法について示している。人のこころについて深く知ることが

できる一冊だと思う。

 

8050問題の深層 (NHK出版 2019) 川北 稔 著

 80歳代の親世代と50歳代の未婚等の子どもとの同居世帯での“孤立”“介護”“経済的困窮”“虐待”等が

地域の課題となり取り上げられることが増えてきている。親に護られ水面下に存在していた課題が、

親の加齢に伴う様々な変化により表面化してくる。地域包括ケアといわれているが、今の地域で

何ができるのか、どのように支援していけばよいのか、考えさせられる。

 

 

栗本一美先生 の読書ノート

折れない心を育てる いのちの授業 (KADOKAWA 2019) 小澤 竹俊 著

折れない心を育てるいのちの授業 在宅で3000人以上の在宅看取りの経験を持つ医師が現場で体験されたことが

まとめられています。

 本書は、ユキとはるかの2人の中学生が人間関係、不登校など…生きづらさを

抱えながらも自分、そして他人の苦しみ・悩みと向き合い「自分はこれで良い」と

思える自己肯定感を育んでいく様子が描かれています。また、自分らしく

生きていくために必要な「支え」の大切さや、苦しんでいる人へのかかわり方がわかる本です。

 

「ひと」として大切なこと (PHP研究所 2005) 渡辺 和子 著

「ひと」として大切なこと 著者はシスターであり、ノートルダム清心女子大学(岡山県)で「人格論」として

30年以上講義を続けてこられてた方です。この本は、その講義の内容が

まとめられた本です。

 技術や科学が発展し、人間にとって替わるものが発明されてゆく現代社会の中で、

人としてのかけがえのなさや、当たり前のことを意識して行っていく大切さなど、

人として成長するうえで大切なことに気づかせてくれます。著書の語りが、私たちを優しく諭して

下さっているのを感じます。

 

マザー・テレサ 愛と祈りのことば (PHP研究所 2000) ホセ・ルイス・ゴンザレス-バラド 編 , 渡辺 和子 訳

 マザー・テレサは、「私があなたを愛したように、あなた方も相愛しなさい」

のキリストの言葉を守り続け、無償の愛を一生ささげた人として有名だと思います。

 信じるものがある強さと、マザー・テレサの温かさや心の清らかさ、そして人々のために尽くし、

求めない心が伝わってきます。人として何が一番大切か…考えさせられます。人として自分の

身近なところから愛や慈しみを持って行動していきたいと思います。

 

 

郷木義子先生 の読書ノート

ルポ保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル (朝日新聞出版 2016) 秋山 千佳 著

ルポ保健室 この本はフリーのフィクションライター秋山さんが実際に中学校の保健室で

出会った子どもたちの様子を詳細に描いていたものである。様々な問題を

かかえた子どもたちが最後の砦として集まってくる学校の保健室、彼らが発する

こころの悲鳴を聞き取る養護教諭。現代の子どもたちが抱える生きづらさの

本質をさぐるルポルタージュです。学校の中でなかなかみえにくい養護教諭の役割が見えてくる

一冊です。

 

さらば、悲しみの性 (高文研 1985) 河野 美代子 著

 この本は1985年に産婦人科医である著者が診察室で出会った高校生の姿を通して、生命の大切さ、

自己受容の大切さを語り、若者に性に対して多くのことを問いかけ,警鐘を鳴らしています。

30数年前に出版された本ですが、現代の若者も変わらない性の実態があります。

性、生命、生きることなど改めて考えさせてくれる著書です。ぜひ読んでみてください。

 

 

磯本暁子先生 の読書ノート

夜廻り猫 (講談社 2017~) 深谷 かほる 著

夜廻り猫 猫の遠藤平蔵が心で泣いている人の涙のにおいを察知して来てくれるお話です。

皆それぞれに事情があり、抱えている辛さや悩みに平蔵がそっと

寄り添ってくれます。平蔵来てくれないかな・・そんな風に思う時に

お勧めの漫画です。

 

ママ、死にたいなら死んでもいいよ 娘のひと言から私の新しい人生が始まった (致知出版社 2017) 岸田 ひろ実 著

 知的障害のある長男の出産、心筋梗塞による夫の突然死、自身の解離性大動脈瘤術後の下半身麻痺。

試練が連続して死にたいと思っていた著者に、当時高校2年生だった娘さんが伝えた

死んでもいいよという言葉。生きることが死ぬより辛いと感じていた著者の辛さを受け止め、

生きようと思うきっかけになったこの言葉が題名になっています。思いに寄り添う、伴走する、

起こったことを前向きに意味づけることが生きる力になるということを感じられた書籍です。

 

小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て (マガジンハウス 2018) 高橋 孝雄 著

小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て 36年の小児科医経験を持つ著者の育児書です。子育てに何よりも大事なのは、

「共感力」「意思決定力」「自己肯定感」で、それを身につけられるように

することが親の努めだと述べられています。目に見えないけれど大切な力。

親子に限らず、人と人が関わる場面で活用できる内容になっていると感じます。

 

 

 

矢嶋裕樹先生 の読書ノート

ディープラーニング活用の教科書 (日経BP 2018) 日本ディープラーニング協会 監修 , 日経クロストレンド 編

ディープラーニング活用の教科書 AIブームの牽引役であるディープラーニング(DL)があらゆる産業の

あらゆる業務を変革しつつある。本書は、先進企業35社のAI(DL)活用事例を

体系的にまとめたものである。本書を読めば、AI(DL)が私たちの「眼」や

「口」、「手足」となって、私たちをつらく、退屈な単純作業から解放して

くれる頼もしい存在であるとわかるだろう。未来のスマート社会の一端を

垣間見せてくれる興味深い本である。

 

天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる ミエリン増強で脅威の成長率 (パンローリング 2019) ダニエル・コイル 著 

 スキル習得の過程で、あるシナプスに頻繁に信号が伝達されると、そのシナプスの

ミエリン(軸索を覆う絶縁性の髄鞘)が厚くなり、そのシナプスの信号伝達効率が上昇する。

それによって、そのシナプスを用いるスキルの正確さやスピードが向上する。あらゆる

スキル習得に、このミエリン形成が関与している。本書は、最近の神経科学、行動科学の

知見を踏まえ、ミエリン形成を促進するための、効果的な練習法などを紹介したものである。

 

AI vs.教科書が読めない子どもたち (東洋経済新報社 2018) 新井 紀子 著 

AI vs 教科書が読めない子どもたち 人工知能(AI)は、読解が苦手である。特に、体験や常識等に基づき文章の意味を

理解すること、文章と一致した内容のイメージを挙げること、定義と一致する

具体例を選ぶこと等が苦手である。では、私たち人間はどうか。

最近の読解力テスト(RST)の結果、日本の中高生の多くも読解が苦手で、

「教科書が読めない」状態にあるという。大人たちの多くも同様の

状態にあるかもしれない。読解力が気になる方は、本書掲載のRST問題を解いてみるとよい。

 

 

塩見和子先生の読書ノート

ケアと尊厳の倫理 (法律文化社 2011) 葛生 栄二郎 著

ケアと尊厳の倫理 「人間の尊厳」という言葉がどのように理解されてきたか、また、どのように

理解すべきかについて検討されています。これに基づいて、ケア倫理そのもの

について論じてあります。「ケア」と「正義」との関係についても論じてあります。

 

 

言葉の持つ力 「看護者に期待されるもの」シリーズ① (ふくろう出版 2019) 山下 文子 監修 , 橋本 和子[ほか]編著

 私たちが何気なく使っている「言葉」は、人の人生に影響を及ぼしています。よい影響もあれば、

そうでないこともあるでしょう。看護の教育に携わっている複数の教員が、「言葉の持つ力」

をテーマに、それぞれの立場から書いています。これからの長い人生に役立つメッセージが

綴られていると思います。

 

対人関係の心理学 (大学教育 2017) ダイアナ・ドゥワイアー 著 , 小野 隆信、社田 径子 訳

対人関係の心理学人間の幸福や絶望は、人との関わり合いの中に見られます。喜びも悲しみも、

誰とどのような関係を紡ぐかに影響されます。本書は、その関係の始まりから

発展、継続、またその先に生じることについて、分かりやすく書かれています。

 

 

 

 

山本智恵子先生の読書ノート

選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子 (文藝春秋 2018) 河合 香織 著

選べなかった命 出生前診断を受けて「異常なし」と医師から結果を伝えられたが、

生まれてきた子はダウン症であり、三か月半という短い命となった。すべては

医師の検査結果の見落としから始まった。誤診が裁判で争われたが、裁判内容や

母親の気持ちが詳細に綴られています。出生前診断、障害のある子を産み育てる

親の気持ちなど、正解などない答えを探す感覚であっという間に本を

読んでしまいます。人の命の選別、どのように考えますか…?

 

ねじ子のぐっとくる体のみかた (医学書院 2013) 森皆 ねじ子 著

ねじ子のぐっとくる体のみかた ねじ子の本は、かわいいイラスト、わかりやすい解説でシリーズ化

しています。この本はフィジカルアセスメントを楽しく誰でも理解できるように

書かれているものです。看護学科の皆さんは2年生前期にフィジカルアセスメント

を学修しますが、とっつきにくいと思ったら、この本を手にしてみてください。

実習前、国試前に読むのもいいと思います。医療機器がなくても、五感を使って

様々な身体情報を得ることができる気がしてきます。

 

星の王子さま (岩波書店 2000) サン=テグジュペリ 作

星の王子さま 長年読み続けられている本です。ずいぶん前に読んだことがありましたが、

娘が読みたいというので、私も久しぶりに読んでみました。皆さんもこの本の

絵本もあるのでどこかで目にしていると思います。時間をあけて再度読むと

自分の文章の解釈が違っていて、新鮮に感じました。

「いちばんたいせつなことは、目には見えない」

この言葉、今のあなたはどのように感じるでしょうか…。

 

 

真壁五月先生の読書ノート

看護管理に活かすコンピテンシー 成果につながる「看護管理力」の開発 (メヂカルフレンド社 2014) 武村雪絵 著

看護に活かすコンピテンシー コンピテンシーとは、ある職務や役割において優秀な成績を発揮する

行動特性と捉えられることが多いですが、行動はその人の考え方、

自己概念・自己イメージ、知識、スキルなどの能力が合わさって

表現されたものであり、行動の奥にあるそれらの能力の獲得こそが

大事であると本書は教えてくれます。「看護管理力」とは何か、

考えさせられる一冊です。

 

見る・聴く・触るを極める! 山内先生のフィジカルアセスメント 技術編 (エス・エム・エス 2014) 山内 豊明 著

山内先生のフィジカルアセスメント 「難しい」と感じ、ちょっと及び腰になるフィジカルアセスメント。

その方法、考え方の基本を医師であり看護師でもある著者が、わかりやすい言葉と

楽しいイラストを駆使して解説してくれます。「なるほど!」「へ~~~!」と

うなずくこと間違いなし。特にフィジカルアセスメント初心者の方にお薦めします。

 

和菓子のアン (光文社 2012) 坂木 司 著

和菓子のアン デパ地下の和菓子屋でアルバイトを始めた、ピュアなぽっちゃり系18才女子の

主人公アンちゃん。超個性的な同僚に囲まれたあたたかい日常の中で、

登場人物たちの一言から謎解きに挑戦することとなり、和菓子にまつわる歴史や

和菓子命名の由来などを明かしていきます。なんと言っても読後のほのぼの感。

そして日本人でありながら知らなかった和菓子の奥深さと美しさに驚きます。

私も読後、和菓子屋さんで豆大福を買いました。

 

 

安田陽子先生の読書ノート

なかなか気持ちが休まらない人へ (三笠書房 2020) 内藤 誼人 著

なかなか気持ちが休まらない人へ 「せかせか気分をほぐす1分間テスト」や感情を「点数化」してみる方法など、

気を休めて「穏やかな気持ち」を取り戻す方法が紹介されています。試験勉強の

合間や1日のうちのどこかで試してみませんか。

 

 

胎児のはなし (ミシマ社 2019)

胎児のはなし 産婦人科の増崎先生とノンフィクションライターの最相氏の対談で

紹介されていく「胎児のはなし」。発達した超音波検査の技術の進歩から、

お腹の中で何をしているのか見えることの楽しさと出生前診断という現実、

周産期医療の最前線など技術のもたらす恩恵と課題について知ることができます。

胎児が泣いて、笑って、鼻から水を出している可愛いエコー画像に癒されます。

 

産声のない天使たち (朝日新聞出版 2018) 深澤 友紀 著

 「天使のブティック」を知っていますか。死産や流産などで赤ちゃんを亡くした女性たちが、

送り出す赤ちゃんに着せる小さいサイズのベビー服や帽子などを手縫いで作ることを

「グリーフワーク」として活動しています。たくさんの妊娠、出産のかたちがあり、死産や流産も

かけがえのない「我が子の死」であり、その時にどう寄り添うか。命の誕生のあり方など

考えさせられる1冊です。

 

 

百田由希子先生の読書ノート

さよならの儀式(「母の法律」) (河出書房新社 2019) 宮部 みゆき 著

 虐待から親子を分離し、里親制度を受けている一家。子どもには、虐待の記憶を消し去る

のではなく、記憶の奥深くに沈殿させ、二度と蘇らないようにする記憶沈殿化療法が施される。

現実社会でも、そのような処置が出来たら、どんなに楽なんだろうかと。年齢を重ねていくうちに、

短期記憶はすぐに忘れてしまうけど、心の奥深くに負った傷は、なかなか癒えないのだと思う。

 

このあとどうしちゃおう (ブロンズ新社 2016) ヨシタケ シンスケ 作

このあとどうしちゃおう 死んだおじいちゃんが、生前想像していた天国や地獄、生まれ変わったら

こんな物になるだろうといったことを書いてあるノートを僕が発見する。

おじいちゃんは死ぬのが怖かったのか楽しみだったのか、誰にも分らない。

同じように僕もノートを購入して、死んだ後のことを想像しようとするが、

生きている今の楽しいことを想像する方が良いことに気づくという、今を一生懸命生きるために、

読んでもらいたい一冊。

 

 AIの時代と法 (岩波書店 2019) 小塚 荘一郎 著

AI時代と法 法が技術の進化によって引き起こされる社会問題についていけていない、これは、

AIに限ったことではないのではないかと。医療現場でも、技術革新による法の整備

が必要だと考えさせられる一冊でした。ドラえもんのひみつ道具や、パーマンの

コピーロボットも近い将来、可能になるのではないかと思った。その時、人間として

出来ること、人間にしか出来ないことが、必ず、あると思いたい。

 

 

西川由貴子先生の読書ノート

強く、しなやかに 回想・渡辺和子 (山陽新聞社 2016) 山陽新聞社、渡辺 和子 編著

 渡辺和子先生と戦後70年の人生について、63回に渡り山陽新聞に連載されたものをまとめた

書籍であり、教育者として現役を生涯貫き、人生を追った内容となっています。

 神に仕えるシスターの身として、自らの苦しみに耐え、克服し、今日も『強く、しなやかに』

生きることを模索した意味が感じられます。経験を糧に、苦しみを抱えた人の心に寄り添いながら、

決して自分を見失うことがなかった先生の教えは、今も私の心に刻まれています。

 

きちんと逃げる。 災害心理学に学ぶ危機との闘い方 (アスペクト 2011) 広瀬 弘忠 著

きちんと逃げる 近年の災害は、自然の異常現象だけでなく人為的行為により、大きな複合的な

被害を拡大していることを改めて考えさせられる書籍です。リスクに無防備な

日本人は、危機に対して極めて鈍感であることを自覚し、「自分で自分を

守らなければ、誰も本気で守ってはくれない」ことへ意識改革していくことが

大切である。災害からきちんと逃げるためには、何が必要かを考え実践していく

ために、是非読んでおきたい本です。

 

こころに寄り添う災害支援 (金剛出版 2017) 奥村 茉莉子 編

こころに寄り添う災害支援 本書には、さまざまな観点から、災害・トラウマというものへのアプローチに

関する知見が、臨床心理士会のメンバーとして、アセスメントの視点を含めて

述べられています。読み進めていくと「こころのケア」とは何かを

考えさせられます。子どものメンタルヘルス支援を考える際には、

“保護者の笑顔を取り戻せないと子どもの笑顔を取り戻せない”

をいつも念頭におき、大人の支援も視野に入れることを気付くことのできる本です。

 

 

丸山純子先生の読書ノート

いい覚悟で生きる がん哲学外来から広がる言葉の処方箋 (小学館 2014) 樋野 興夫 著

いい覚悟で生きる 島根県出身で順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授である著者が開設した

「がん哲学外来」から広がる言葉の処方箋です。様々な思いを抱える多くの

人たち、がんと告知されてからの人間関係の悩みや不安に対して対話した著者の

言葉が詰まっています。「to doよりto be(何をするかより、どうあるか)」。

医療者だけではなく、学生さんやすべての方に読んでいただきたい一冊です。

 

「他人」の壁 (SBクリエイティブ 2017) 養老 孟司、名越 康文 著

他人の壁 意識や心など人のあらゆる営みは脳という器官の構造に対応しているという

「唯脳論」の養老先生と仏教心理学や思春期精神医学が専門の精神科医名越先生

との対談集。「他人」をわかりたがる現代人の悩みに、分かり合うことの「壁」や

「わかる」の前に立ちはだかる他人の壁についてなど、養老先生の独特の節回しで

語られています。まるでその場に自分もいるような感覚で、

「全部をわかろうとするから悩んでしまうのであって、大半は分からなくても当然と思えば楽になる」

ことを体感してください。

 

その日のまえに (文藝春秋 2005) 重松 清 著

その日のまえに「その日」の前から「その日」のあとに続くまで、「その日」を取りまく家族や

関わりあう登場人物達の7編をまとめた短編集。こんなにも、「その日」を幅広く

見つめて、それぞれの日常や心情を書き綴った本はないのではないでしょうか。

「その日」の意味を「考えることが答えなんだと」教えてくれる1冊です。

「その日」を見送った今、読み返すとまた違った思いが溢れてきました。

 

 

吉田美穂先生の読書ノート

看護場面の再構成 (日本看護協会出版会 2019) 宮本 眞巳 著

 看護場面の再構成法とは、患者との間に何を感じ、何を考えたかをプロセスレコードに記録する

方法です。看護教育では昔から行われています。実例を織り交ぜながら説明されており、

読みやすい1冊です。

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮社 2019) ブレイディ みかこ 著

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 思春期の息子を持つ母として読んでみたいと手に取りました。

イギリスに住む作者と中学生の一人息子さんとの日常生活をテーマにした

ノンフィクションです。人種差別、LGBTQ、貧困など様々な問題について

考えさせられます。

 

勉強 (南々社 2017) 秋山 夕日 著

 どのような環境で何をどのように「勉強」するかについて書かれています。この中で

「物事を覚える」ということは、「与えられた情報の中で繰り返し出てきたことが知識になる」

ということだと説明されています。覚えることは丸暗記することという考えをやめる

必要があることを痛感しました。

 

 

山本裕子先生の読書ノート

引き出しの法則 (ワニブックス 2016) クスド フトシ 著

 本のタイトルから、記憶を引き出す方法が書かれているのだろうと思い手に取った本でしたが、

どちらかというと過去の失敗や嫌な記憶と「良き(Good)お別れ(Bye)」して、私たちが

リラックスした状態で「あれがしてみたい」という無意識に思った気持ちを大切にしていくための

方法がたくさん書かれていました。子どもの時、遊びに夢中になっていた時を思い出し、解放感を

味わえた一冊でした。

 

医者が泣くということ 小児がん専門医のいのちをめぐる日記 (角川書店 2011) 細谷 亮太 著

医者が泣くということ 細谷先生に実際にお会いしたことから先生の考え方や気持ちに触れたいと思い

手に取った一冊です。小児科医である細谷先生が書かれた日記の記録である

この本には、先生が出会われた患者さんとの思い出や医師として大切にされている

ことが沢山書かれており、とても心温まる一冊でした。笑いあり、涙ありの

一冊です。是非手に取ってみてください。

 

勉強がしたくてたまらなくなる本 (講談社 2014) 廣政 愁一 著

勉強がしたくてたまらなくなる本 「勉強」という言葉を聞くだけでやる気をなくしてしまいそうですが、

勉強嫌いな私が少しでもしたくなってくれればという気持ちで手に取ってみました。

私たちにとって、「勉強」はいつもとは違い別でする面倒なものという

意識がないですか?朝起きたら顔を洗うという習慣のように「勉強」も習慣づけて

日常の一部にしてしまう、その工夫が書かれています。私もその一つを実践中ですが

「勉強」捗ってます!

 

 

中川彩見先生の読書ノート

1分で大切なことを伝える技術 (PHP研究所 2009) 齋藤 孝 著

1分で大切なことを伝える技術 タイトルのように、短時間で簡潔明瞭に大切なことを伝えられるようになりたい!

と思い手に取りました。本書にはプレゼンテーション能力を高めるスキル

だけでなく、「教える」「質問する」「指示する」など様々な立場、関係の方に

使える技術が詰まっています。学生時代からスキルを高めておくと、社会人に

なっても活用できると思いますので気になる方は手に取ってみてください。

 

なまけもののあなたがうまくいく57の法則 (大和書房 2014) 本田 直之 著

なまけもののあなたがうまくいく57の法則 57の法則が見開き1~2頁くらいにまとめてあり、怠け者の私もサクサクと

読み進めることができました。皆さんが「なまけもの」かどうかは分かりませんが、

心のどこかで「怠けたい」という感情を抱いたことはあると思います。怠け者

ではない方が良いと思いますが、いつも頑張り過ぎていてもしんどいと思います。

怠け者でも上手くいく法則を知って、気持ちを楽にやっていきましょう。

 

絶対に影響力のある言葉 パワーワードが人生を変える (PHP研究所 2010) 伊東 明 著

 この本を読み進めていると、無意識に使っていた言葉や表現が相手に与える影響を改めて感じることが

できると思います。また、どんな言葉や表現に変えたら良いのかが具体的に書かれており、なるほど!

と思うこともあると思います。コミュニケーションスキルとしてパワーワードや表現の引き出しが

多いに越したことはないと思います。絶対に!読んでくださいとは言いませんが、影響を受ける

1冊だと思います。

 

 

井上弘子先生の読書ノート

災害看護の本質 語り継ぐ黒田裕子の実践と思想 (日本看護協会出版会 2018) 柳田 邦男、酒井 明子 著

 看護の領域において災害看護がカリキュラムに導入された背景には、黒田裕子先生の

活動の実績が大きい。1995年阪神大震災発生時、被災地において黒田先生が常に被災者に

寄り添い、活動をつづけたことで、感染症の蔓延やPTSDの予防につながった。黒田先生の

「人のいのちと暮らしを守る」「最後の一人まで見捨てない」活動を、親交があった方々

によって、黒田先生の実践と根底にある思想が書かれている。悲惨な災害が続いている昨今、

災害について考える時間を持つことができる1冊です。

 

ナイチンゲールの『看護覚え書』 イラスト・図解でよくわかる! (西東社 2014) 金井 一薫 著

ナイチンゲールの看護覚え書 看護を学ぼうと熱い思いを抱いて大学に入学したものの、看護とは

いったい何かという課題が解けないまま日々が過ぎていませんか…。

看護の入門として「看護覚え書」を読んだが、十分に理解ができなかった

という方へ…、本書はナイチンゲールについて多くの著書を出版されている

金井先生が、ナイチンゲールの人物像や歴史的背景を含めて看護覚え書を

紹介しています。本書から看護とは何か、看護師の役割を掴むことができる一冊です。

 

ライオンのおやつ (ポプラ社 2019) 小川 糸 著

 本書は著者の母親ががんを宣告され、死ぬことに恐怖を感じていた母親へ

「死ぬことは怖くない」と伝えたいと思い書き始めたそうです。私は看護師として数多く

臨終の場に立ち会いましたが、死にゆく直前の当事者の思いをじっくりと考える時間を

持てていませんでした。本書から、現実と夢の世界が混在しながら、人生を見つめなおし

幸せをかみしめる主人公の姿から、死と向き合うことは怖くないかもしれないと思えた一冊でした。

 

 

平田知子先生の読書ノート

かたあしだちょうのエルフ (ポプラ社 1970) おのき がく 文・絵

 これは私のお気に入りの絵本の一つです。幼稚園に通い始めたころ、家族でよく食事をしていた

小さなカフェに置いてあって、訪れるたびに何度もこればかり読んでいたので、ついにはプレゼント

してもらった思い出の絵本です。今でも自宅にあります。出てくるのは動物ですが、読むたびに

人間について考えさせられます。

 

沈黙の春 (新潮社 2004) レイチェル・カーソン 著

沈黙の春 「春がきたが、沈黙の春だった。いつもだったら、コマドリ、

スグロマネシツグミ、ハト、カケス、ミソサザイの鳴き声で春の夜はあける。

そのほかいろんな鳥の鳴き声がひびきわたる。だが、いまはもの音一つしない。

野原、森、沼地――みな黙りこくっている」本書が単行本として出版されたのは

1962年、まだインターネットも普及しない時代に、当時の実例から環境問題を

提起し、多くの人に影響を与え、そして実際に世の中を変えた著作をぜひ読んでみてください。

古典ですが、今読むとまた新たな発見があると思います。

 

 

多田めぐみ先生の読書ノート

人生を変える記録の力 (実務教育出版 2019) メンタリストDaiGo 著

人生を変える記録の力 心理療法で使われる記録術をベースに、悩みを解決してくれる33の記録用紙と、

使い方が書かれている本です。考えていても、整理されずに余計なことを

考えたり、前に進めなかったり・・・思考を紙に書いてみると案外すっきり

することができます。自分が気になっている題材からするのも良し、

開いたページからするのも良しです。

 

超訳ダ・ヴィンチ・ノート (飛鳥新社 2019) 桜川 Daヴィんち 著

 ノート(手稿)自体が芸術であり、本物は少なく見積もっても3000億円の価値があると

いわれています。ダヴィンチの伝えようとした考え方・習慣、絵のデッサンもあり読みたいと

思いました。1300円に感謝です。

 “読者よ、もし私の事が好きなら、私のノートを読むといい。

  私のような人間は、めったに生まれてこないのだから。”マドリッド手稿より

 

自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術 (朝日新聞出版 2017) 下園 壮太 著

 自衛隊には、メンタル教官がいる。過酷な任務の中で、どのようにメンタルコントロールしている

のだろうかと思い、本を手に取りました。人は、「もともと人が怖い」という原始人由来の考えは、

現代にも「原始メカニズム」として私たちの中に残っている。スーツを着ていても、中身は原始人

だということに納得。職場は、「人間関係の戦場」。この本は、自分の感情をケアし、楽になる

ための実践的スキルがまとめられています。DNA呼吸法や感情に触れるツールは、納得出来る

感情のケアでした。

 

 

難波香先生の読書ノート

病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。 (いろは出版 2018) 仲本 りさ 著

 現役看護師が新人時代の実話をもとに描いたイラストエッセイです。理想と現実のギャップ、

人の生と死などが優しい言葉で表現されています。看護師なら誰もが経験する出来事が描かれており、

自分の物語として読んでもらえたらと語っています。「当たり前がある」幸せに改めて気づかされ、

今の自分に何ができるのか考えるきっかけになると思います。現実と戦っているとき、そんな自分に

疲れてしまったときに力を貰える一冊です。

 

言葉で治療する (朝日新聞出版 2009) 鎌田 實 著

言葉で治療する 筆者のもとに集められた手紙を紹介しながら、言葉の持つ力やその言葉を扱う

ための「聞く力」、「想像力」などについて具体的に述べられています。医療の現場

だけでなく、現代は教育現場も家庭も職場もあたたかな言葉をかける余裕が失われ、

そのことによって生じる問題も多くあるのではないでしょうか。そんな現実を

嘆いて終わるのではなく、もう一度言葉にこだわってみようと思わされる一冊です。

 

面倒だから、しよう (幻冬舎 2013) 渡辺 和子 著

面倒だから、しよう “置かれた場所で咲く”ために、実践できる心のあり方、考え方について

書かれています。読むたびに、その時の自分の心情や状況によって、胸に響く

言葉が違います。定期的に読み直して、自分自身を見つめ直すのにピッタリの

本だと思います。

 

 

 

 

健康保育学科

斎藤健司先生の読書ノート

フェルマーの最終定理 (新潮社 2006) サイモン・シン 著

フェルマーの最終定理 数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」は、300年以上にわたり多くの

数学者が格闘したにもかかわらず、証明することができませんでした。しかし、

ついに1995年に天才数学者アンドリュー・ワイルズが完全証明をしました。

この本は、完全証明までの苦闘の話を軸に、ギリシャ時代から20世紀までの

数学の発展と、その考え方や特徴が分かりやすく書かれています。

 

日本が誇る! ていねいな保育 (小学館 2019)

日本が誇るていねいな保育 この本は、看護学科および地域福祉学科学生にとって、初めての世界と

その考え方に出会える本になるかもしれません。近所に子どもがいない、

子どもの両親は働いている、祖父母は別の所に住んでいるなど、子育てを

取り巻く環境は人類が未だ経験したことの無い状況になっています。本書では、

新しい時代の保育について、学問的にわかりやすくまとめられています。

昔の保育の例と最新の保育の例を示しながら解説していますので、とても読みやすいです。

 

 

梶本佳照先生の読書ノート

哲学と宗教全史 (ダイヤモンド社 2019) 出口 治明 著

哲学と宗教全史 哲学と宗教は、わたしたちの日常の生活とは少し離れているもの

のように感じるかもしれません。しかし、世界や歴史を動かしてきた先達が

拠り所にしてきたものが、哲学と宗教なのです。世界や歴史を理解する

ためには、哲学と宗教の変遷と発展を知ることが欠かせません。この本を

読むことで哲学と宗教が、「なるほどそうだったのか」というように、

その時代の政治や人々の生活にどのように影響を与えてきたのかがよくわかります。

 

未来を変える目標SDGsアイデアブック (紀伊國屋書店 2018) Think the Earth 編著

 「SDGs(エス・ディー・ジーズ):Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標」

は、2030年までに、先進国も新興国も途上国も、国も企業もNPOも個人も、あらゆる垣根を

越えて協力し、より良い未来をつくっていこうという国連で決められた17個の目標のことで、

その考えは急速に世界に広がっています。この本は、その目標を達成するために取り組まれている

活動例がわかりやすく掲載されていて、SDGsという言葉はよく聞くけれど何なのか

よくわからない方はぜひ読んでみてください。

 

 

松本好生先生の読書ノート

人はなぜ生まれいかに生きるのか (ハート出版 2016) 江原 啓之 著

 霊能者の霊視が当たったか当たらなかったかなどということを問題にする前に、私たちにとって

大切なことは「それならばどう生きればいいのか」ということです。「それならば」ということを

ヌキにして、心霊現象に興味を持つことは無意味です。この書は江原さんの初めての著書ですが、

この中には皆さんの疑問に思っていることが十分に説明されていることばかりかと思いますので、

大学生のうちに、是非、一読ください。

 

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (ダイヤモンド社 2009) 岩崎 夏海 著

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら 公立高校野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッガーの

経営書「マネジメント」に出会います。はじめは難しさに戸惑うのですが、

野球部を強くすることにドラッカーが役立つことに気づきます。ドラッカーの

教えをもとに、みんなで力を合わせて甲子園を目指す青春物語で、

読みやすい本です。ぜひ、この書を手にしてみてください。

 

自分にイライラする!と思ったら読む本 (KADOKAWA 2011) 心屋 仁之助 著

自分にイライラする!と思ったら読む本 性格リフォーム心理カウンセラー心屋仁之助さんが、自分自身も

「自分の性格」に苦しんでいたとの書き出しから始まります。

どうして私だけ…そう思ったときに12の質問と7つのカウンセリングで

性格が変えられるという著書です。1回読んだだけでは、果たして

そうかなあと疑問符が付くのですが、2回、3回読み返すと、なるほど

というような満足感が得られるものと思い、自分の性格に悩んだときに読む本として推薦します。

 

 

髙月教惠先生の読書ノート

100万回生きたねこ (講談社 1977) 佐野 洋子 作・絵

100万回生きたねこ 100万回生きて、100万回目に本当に死んだねこのお話です。

生きること、死ぬことについて、ちょっと考えさせられる絵本です。

書評に、「たいていの読者は物語の終わりを知ったとき、

“あーよかった。めでたし、めでたし”という気分になっているはずで、

そこがすごいのだ」と記されています。そう思えるでしょうか。

一度ぜひ目を通してみてください。

 

一切なりゆき 樹木希林のことば (文藝春秋 2018) 樹木 希林 著

 この本は、2018年9月に亡くなった女優の樹木希林さんの生前のことば集です。

ベストセラーになっています。がんとともに、役者人生を全うした樹木希林さんの生き様に、

心打たれるものがあります。そして、生前のひと言ひと言が、心に響きます。読みやすい本です。

苦しい時に、あなたの支えになることばが見つかるかもしれません。

 

育ての心 (フレーベル館 1980) 倉橋 惣三 著

 倉橋惣三は、「自ら育つものを育たせようとする心。それが育ての心である」と。

そして、「お世話になる先生、お手数をかける先生。それは有り難い先生である。

しかし有り難い先生よりも、もっとほしいのはうれしい先生である。そのうれしい先生は

その時々の心もちに共感してくれる先生である」と言います。人との関わり方の

大きなヒントが秘められていると思います。

 

 

八尋茂樹先生の読書ノート

犬のための家庭の医学 (山と渓谷社 2020) 野澤 延行 著

 この本は家族としての犬との過ごし方について書かれています。家族ですから、

楽しいことだけでなく、健康や晩年の介護のことも気にかけなければなりません。

この本で特に注目すべきは、災害時に一緒に避難すること(同行避難)についてのページです。

災害の度にペットが放置されて問題になっています。あなたの「家族」を一緒に避難所に

連れて行く方法を知っておいてはいかがでしょうか。

 

こんなもんくえニャイ! (光村教育図書 2019) クリストファー・サイラス・ニール 作

 私は「子どもの貧困」の問題に取り組む活動をしていて、絵本を寄付することが時々あります。

この本はユニークな猫についての絵本で、とても気に入っています。キャットフードが苦手な猫が、

他の動物たちが何を食べているのか気になって、様々な動物たちに聞いてまわります。

でも、ミミズなんて食べたくないし……。どこか癒される絵のタッチが話の展開をさらに

面白くしてくれるのが絵本の魅力です。たまには絵本もいかがでしょうか。

 

泣いたあとは、新しい靴をはこう。 (ポプラ社 2019) 日本ペンクラブ 編

泣いたあとは新しい靴をはこう 若い人には若い人なりの悩みがあります。たとえば、悲観的な人生観を持ったり、

孤独感を感じたりします。それがとても苦しくて、外出しなくなってしまったり、

中には命を絶ってしまう若者もいます。年齢を重ねた人も「元若者」です。

大人はどうやって心の危機と向き合い、乗り越えようとしてきたのでしょうか。

若者の悩みに対し、元若者の著者が人生のヒントを提示してくれています。

 

 

芝﨑美和先生の読書ノート

探求の共同体 考えるための教室 (玉川大学出版部 2014) マシュー・リップマン 著

探求の共同体 教師の役割は、支配することではなく仲介することであり、教育とはすなわち、

思考のやりとり、会話である。会話によって、子どもは大人の解釈する経験と

自らの経験を結びつけることができる。こういった大人と子ども、あるいは

子どもと子どもの相互理解の場を、教育活動の中に組み込むことで、

探求の共同体ができあがる。本書では、思考について、その概念を整理する

とともに、探求を中心とした教育における役割について述べている。

 

百まいのドレス (岩波書店 2006) エレナ―・エスティス 作

 いじめる子、いじめられる子の視点から、いじめについて描いた本はたくさんある。しかし、

傍観者の気持ちをこれほど叙情的に描写した本はあるだろうか。保育、教育に携わろうと考えている人

には、是非読んでもらいたい。児童書であるからこそ、心に伝わってくるものがある。

児童書だと、侮ってはいけない。

 

 

渡部昌史先生の読書ノート

光秀の定理 (KADOKAWA 2016) 垣根 涼介 著

光秀の定理 出会いそして同じトキを生きる光秀,愚息,新九郎の三人。

三人の生き方,時代背景などを通して,現代を生きることについて,

今一度,考えてみてください。

 

 

総理にされた男 (NHK出版 2015) 中山 七里 著

 総理にされた男決断するときには,論理と情の狭間に立たされると思います。決断に

必要なものは何なのか,この本を通して考えてみてください。また,政治への

興味関心が薄い人にとって,日本の政治を考える契機になるかもしれません。

是非,読んでみてください。

 

終末のフール (集英社 2006) 伊坂 幸太郎 著

 あなたは,自分の意思と関係なく,突然,死を意識させられたら,どのように死について

考え行動しますか。この小説から,死を意識した人達の心の揺れ動き,考え,行動を見つめて

何か感じてみてください。

 

 

広瀬綾子先生の読書ノート

夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録 (みすず書房 1985) ヴィクトール・E.フランクル 著

夜と霧 本書は、みずからユダヤ人としてアウシュビッツに囚われ、奇蹟的に生還した

著者の「強制収容所における一心理学者の体験」(原題)である。 

 この本は冷静な心理学者の眼でみた、限界状況における人間の姿の記録である。

そこには、人間の精神の気高さと人間の善意への限りない希望があふれている。

 

塩狩峠 (新潮社 1973)三浦 綾子 著

塩狩峠 結納のため、札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車は、塩狩峠の頂上に

さしかかった時、突然客車が離れて暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。

信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた……。

明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らを犠牲にして大勢の乗客の命を救った

一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、生きることの意味を問う小説。

 

天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い (NHK出版 2013) 中村 哲 著

天、共に在り 「困っている人がいたら手を差し伸べる ――それは当たりまえのことです」。

 1984年よりパキスタン、アフガニスタンで支援活動を続け、2019年に

凶弾に倒れた医師・中村哲の自伝。治療のために現地へ赴いた日本人の医者が、

なぜ1600本もの井戸を掘り、25.5キロにもおよぶ用水路を拓くに至ったのか?

「天」(自然)と「縁」(人間)をキーワードに、その数奇な半生をつづる。

 

 

加藤由美先生の読書ノート

保育者のためのアンガーマネジメント入門 (中央法規出版 2017) 野村 恵里 著

 アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合う心理トレーニングで、幼児教育においても

積極的に取り入れたい感情コントロールの方法である。本書では、怒りの正しい知識や

事例を通したテクニック、上手な叱り方、褒め方について取り上げている。例えば

「保育者の話を聞かない子どもに対して」「日常的にイライラしている自分に対して」等、

保育現場ですぐに使えるアンガーマネジメントが紹介されており参考になる。

 

若手保育者が育つ保育カンファレンス (かもがわ出版 2016)

 保育者の仕事をしていく上でのしんどさは、園内の人間関係にあることが指摘されている。

人間関係の問題は、集団、組織の問題でもあるので、それを園として研修で解決しようという

発想のもと、園内研修のあり方や保育カンファレンスの進め方が述べられている。

お互いに認め合ったり、悩みを共有し、しんどさをさらけ出したりできる関係はとても大切で、

保育者の人材育成としても必要な取り組みではないかと感じた。

 

こころの処方箋 (新潮社 1998) 河合 隼雄 著

こころの処方箋 生前の筆者を「おひさまに干したざぶとんのよう」と形容したのは

絵本作家 佐野洋子(「100万回生きたねこ」で有名)であるが、正に

そんなイメージ(?)の筆者の講演を随分前に、しかも岡山で拝聴したことがある。

恥ずかしながら講演内容はほとんど覚えていないが、会場が何度も爆笑の渦に

巻き込まれたことは鮮明に記憶している。分かりやすく、面白く、ためになる

ことが筆者の著作の魅力であると思う。

 

 

三好年江先生の読書ノート

あらゆる学問は保育につながる (東京大学出版会 2016) 秋田 喜代美 監修 , 山邉 昭則、多賀 厳太郎 編

あらゆる学問は保育につながる 「保育には答えがないから…」という言葉を聴くことがあります。色々な意味を

含んだ言葉だと思うのですが、しっかり議論し追求しなければならないことから

逃げているように思えることもあります。本書は、「保育は、現在の学問を総動員

して追求すべき問題」と述べ、各章ごとに異なる専門分野の研究者等が、多様な

視点から保育に関する問題を議論しています。読み終えた時、異なる分野の方々と

つながり保育を追求したいと強く思う自分がいました。

 

子どもは紫の露草 (北水 2002) 広木 克彦 著 , 浅倉田 美子 絵

 本書は詩画集です。短い文章の中に、子どもの発達研究や教育相談等を通して、長年にわたって、

子どもに寄り添い続け、声にならない声に耳を傾けてきた著者の子どもへの深い愛が感じられます。

また、本書に描かれている優しいタッチの絵が、著者の言葉にさらに愛を吹き込んでいるようにさえ

思えます。文章の中には、大人がドキッとさせられる鋭い指摘もありますが、「露草のような子ども」が

愛おしくなり、そのサインを受け止め、深く理解したいと思える自分に出会えるかもしれません。

 

 

立浪朋子先生の読書ノート

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮社 2019) ブレイディ みかこ 著

子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から (みすず書房 2017) ブレイディ みかこ 著

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 イギリスの中学校に通う「ぼく」。日本人(イエロー)の母、

白人(ホワイト)の父を持つ「ぼく」のちょっと憂鬱(ブルー)

な日々。「ぼく」は学校という社会で、民族、宗教、貧困

など様々な問題に仲間と共に向き合い、懸命に考え

生き抜いていきます。イギリスの多様性を知ることができ、最後まで面白く読めます。著者は

イギリスの貧困地区で保育士として働いた経験をお持ちです。こんな保育士の働き方もあるのですね。

詳しく知りたい方は『子どもたちの―』をどうぞ。

 

久保寺保久 (大空社出版 2019) 高野 聡子 著

 知的障害のある子どもの施設として日本の草分け的な存在である八幡学園を創設した、

久保寺保久(くぼでらやすひさ)の伝記。名前は上から読んでも下から読んでも久保寺保久。

ほら、もう覚えましたね。最近、朝8時から再放送されていたテレビドラマ「裸の大将」をご覧に

なったことはあるでしょうか。主人公のモデルである画家、山下清が学んだのがこの八幡学園です。

貴重な史料を用いた障害児教育・福祉の第一級の歴史研究を、平易なわかりやすい文章で学ぶ

ことができる一冊です。

 

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある (講談社 2013) 岡 檀 著

生き心地の良い町 徳島県の旧・海部町は、全国でも極めて自殺率の低い町。なぜなのか。

著者はその謎を解明する研究に取り組みます。研究上の困難や悩みも率直に

描かれており卒業研究にも役立つ一冊です。自殺率の低い海部町ですが、うつで

精神科を受診する人は他の地域よりも多いそうです。どういうことなのでしょうか。

本学の学生さんなら、理由は予測がつくかもしれませんね。ぜひ読んで予測が

当たっているか確かめてください。

 

孤独であるためのレッスン (日本放送出版協会 2001) 諸富 祥彦 著

孤独であるためのレッスン 「友達ができない」「自分は孤独だ」、そんな悩みを持つ方もいるかも

しれません。とても魅力的で素敵な子だけど友達は少ない、そんな子に私は

たくさん会ってきました。だから、この本の著者の問いかけがよく理解できます。

友達の数に意味はあるのか。友達は本当に必要なのか。人に好かれるために

自分をごまかすより、嫌われても自分の良さを大切にする方が豊かな人生を

送れるのではないか……。一人でいられる力を育て、自分らしく生きる方法をこの本は教えてくれます。

 

〈できること〉の見つけ方 全盲女子大生が手に入れた大切なもの(岩波書店 2014)

できることの見つけ方 1歳の時に病気で両目を摘出し全盲となった石田由香理さんの実話。

高校入学で親元を離れ、国際基督教大学に合格。在学中にフィリピンに留学し

現地で障害児支援を行い、卒業後はイギリスの大学院に進学します。道のりには

多くの困難。お母さんからは、目が見えないんやから大学行って何になる、と

進学を反対されます。お金に困り、電話で男性と話すアルバイトをして

精神のバランスを崩す経験もします。「できること」をどんどん見つけていく

石田さんの行動力に圧倒されます。

 

 

本渡葵先生の読書ノート

ミッフィーのてがみ (講談社 2004) ディック・ブルーナ 作 , 角野 栄子  訳

うさこちゃんのてがみ (福音館書店 2010) ディック・ブルーナ 文・絵 , 松岡 享子 訳

 『ミッフィーのてがみ』も『うさこちゃんのてがみ』も、原典はディック=ブルーナの

『De brief van Nijntje』(2003)です。訳者によることばの選択が異なることで、

世界観がこうも変わるのか!という発見をみなさんも体感してみてください。

ことば、不思議ですね。あなたはどちらに惹かれるでしょうか。私は、、、

 

非道に生きる (朝日出版社 2012) 園 子温 著

非道に生きる 園子温は映画監督として知られていますが、詩人として17歳でデビューした経歴も

ある人です。「ヒミズ」「愛のむきだし」「恋の罪」「冷たい熱帯魚」などの

園映画は、暴力性ばかりが取り沙汰されがちですが、実際に起きた事件・事故を

園子温が独自の視点で捉え、問題提起したものです。本書は、園子温がそれらの

作品をどのように生み出したか、どのように物事を捉えているのか、少しだけ

垣間見ることができます。

 

 

竹下可奈子先生の読書ノート

全体主義(全体主義の起原3) (みすず書房 2017) ハンナ・アーレント 著

全体主義の起原3 ナチスよる迫害を逃れてアメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人のアーレントが,

全体主義がどのように生まれたのかについて書いた本です。彼女によれば,

ナチスドイツやスターリンによる政治体制「全体主義」を生み出したのは,

政治的に中立の態度をとり,投票に参加せず,政党に加入しない生活で満足している

政治を人任せにしてもよいという受け身の人たちだそうです。難解ですが,一度は読みたい本です。

 

ヴィオラ母さん (文藝春秋 2019) ヤマザキ マリ 著

ヴィオラ母さん 『テルマエ・ロマエ』などを執筆した漫画家ヤマザキマリさんが,自身の

母親についてつづった本です。札幌交響楽団にヴィオラ奏者として在籍しながら,

女手ひとつで娘2人を育てたヤマザキさんのお母さん。その子育ては,夜10時過ぎ

まで子ども2人だけで家に置いておくなど,今だったらネグレクトを疑われそうな

側面も。しかしヤマザキさんは,母親からの愛情を強く感じ,その姿から生きる

ということについて学んだそうです。親は子どもにどのように愛情や生き方について示していくべきか,

考えさせられる本です。

 

東京困惑日記 (角川書店 1996) 原田 宗典 著

 小説家の原田宗典さんのエッセイ本です。初めて読んだのは中学生のときで,友達と大笑い

したのを覚えています。疲れたとき,暇なときなどに,何も考えずに読んでみてください。

 

 

久恒拓也先生の読書ノート

専門家の知恵 反省的実践家は行為しながら考える (ゆみる出版 2001) ドナルド・ショーン 著

 本書は、専門家(職)の思考・知のあり方について多大な影響をもたらしたことで知られる。

しかしながら、その内容が各種テキストで紹介される際、「反省的実践家」というキーワード

のみが独り歩きしているケースが散見される。「反省的実践家」を理解するには「行為の中の知」

や「行為の中の省察」、「状況との対話」といった中心鍵概念を押さえることが欠かせない

と考える。専門職を目指す皆さんに、一度手に取ってみてほしい。

 

この1冊できちんと書ける! 論文・レポートの基本 (日本実業出版社 2012) 石黒 圭 著

論文・レポートの基本 「成績評価は、レポートじゃなくてテストがいいなあ」と思うことが多い

あなたには、本書を推薦したい。なぜならここには、レポート・論文の概念から、

具体的な論述の仕方に至るまで、丁寧な解説・助言がなされているからだ。

卒業論文執筆にも応用できる内容が多々あり、上級学年にも向いている。

 

 

高橋彩先生の読書ノート

アメリカの教室に入ってみた (ひとなる書房 2017) 赤木 和重 著

アメリカの教室に入ってみた 著者は神戸大学で障害のある子どもの発達心理学的研究をされている

赤木和重先生です。先生が在外研究でシラキュース大学におられた時に見たこと・

経験したことが生き生きと描かれています。先生がアメリカの教育現場を見ながら、

日本のインクルーシブ教育のあり方について思いを巡らせている様子が

とてもリアルに伝わってきます。私も海外に在外研究に行ってみたくなりました。

 

おさなごころを科学する (新曜社 2014) 森口 佑介 著

おさなごころを科学する 子どもの心について、発達心理学で研究されてきたことがとても分かりやすく

書かれています。この本を読むことで、子どもの認知発達研究の歴史・流れが

つかめるのではないかと思います。専門書のような堅苦しい文体ではなく、

語りかけるような文体で書かれているので、気軽に手を取って読めます。

個人的には「空想の友達」「社会的随伴性」というようなトピックの研究成果を

興味深く読ませていただきました。

 

対立を乗り越える心の実践 (東京大学出版会 2017)

対立を乗り越える心の実践 相模原事件の後に出版されたブックレットです。障害をキーワードに研究を

されている様々な領域の研究者たちが集まり、研究者として、そして一人の

人間として、事件と対峙したときの思いが語られています。差別にどう

向かい合っていくか、自分の中にある潜在的な差別をどう乗り越えていくか、

深く考えさせられる本です。

 

 

 

教育支援センター

黒山靖弘先生の読書ノート

働く。 社会で羽ばたくあなたへ (冨山房インターナショナル 2010) 日野原 重明 著

働く 働くことの意義などについて考えたことはないという人が多いかも知れません。

学校を出たら働くものだと考えて仕事に就く人が多い一方で、働き方が

多様化する中で悩んでいる人も増えていると思います。著者は105歳で亡くなる

まで若い人達を育てる活動にも力を注ぎ、生き方について多くの言葉を

残しています。この本はこれから社会に羽ばたこうとする若い人達との対話を

通して、人生や働くことについて考えさせてくれます。

 

今できることをやればいい (PHP研究所 2012) 酒井 雄哉 著

 長い人生の中では道に迷うことや悩むことが何度もあります。この本には、そんな時にどう

考えて生きていけば良いかを考えさせてくれる言葉がたくさんあります。また、これから

自分の力で人生を歩み始めようとしているみなさんが生き方を考える材料にもなります。

比叡山延暦寺の千日回峰行という厳しい修行を経験した著者が、自身の経験や仏教の教えをもと

様々な見方や考え方を提供し、みなさんの人生の幅を広げ後押ししてくれます。

 

読書する人だけがたどり着ける場所 (SBクリエイティブ 2019) 齋藤 孝 著

読書する人だけがたどり着ける場所 現代社会では人々の活字離れが進み、SNSなどで文章に触れる機会

はあっても内容を深く読み取ったり考えたりすることは少なくなっています。

読書の楽しみ方などについて説いてきた著者は、複雑化する社会ではより深い

教養が重要で、読書が一層大切になると指摘します。この本では読書の意義や

読書の仕方とともに、名著も紹介されています。読書について考え、読書に

親しむ機会になるとともに、教養を深めていく契機にもなります。

 

 

 

地域福祉学科

岡京子先生の読書ノート

極夜行 (文藝春秋 2018) 角幡 唯介 著

極夜行 北極圏には太陽の沈まない<白夜>と、太陽の上らない<極夜>が存在します。

一匹の犬とともに極夜を単独で旅するという行為は、人間の内面に向かう

究極の探検でもありました。北極星を頼りに、またある時は月の光を頼りに活動し、

食べ、眠り、排せつする。漆黒の闇の中で、また初めての太陽を目にしたとき、

自分自身が何を考えどう変化するのか。角幡氏のヒトとしての強さと、筆力に

圧倒されました。

 

わたしもじだいのいちぶです (日本評論社 2019)

わたしもじだいのいちぶです 在日コリアン一世として生きてきたハルモニ(韓国語でおばあさんのこと)たち

が、川崎市の識字学級で書いた作文です。貧しさゆえに字を学ぶ機会もなく

働き続けてきたハルモニ一人ひとりが、『わたしもじだいのいちぶです』と

訴えています。日本と韓国の間には政治的にむつかしい問題がありますが、

彼女たちのポートレイトに、優しいということは強いということなのだと、改めて感じました。​

 

平安ガールフレンズ (KADOKAWA 2019) 酒井 順子 著

平安ガールフレンズ なんとなく難しそうで、平安女流文学って遥か遠く高いところにあると

感じていました。しかし、なんてことない身近にいる、いる、こういう人、

という「目から鱗」体験でした。人間のありようって千年の時を経ても

変わらないのだ・・と、しみじみ考えさせられました。清少納言さんとの

ガールズトークは楽しそうですが、あまり仲良くはなれないだろうなぁ、とか、

紫式部さん、ちょっと、ちょっととか。文句なく楽しく読めます。

 

 

山内圭先生の読書ノート

ハツカネズミと人間(Of Mice and Men) (新潮社 1994) ジョン・スタインベック 著

 以前も推薦しましたが、ネズミ年ゆえ、再び紹介します。タイトルに「ハツカネズミ」が

出てきますが、主人公はネズミではありません。知的障害を持つ社会的弱者と、彼と行動を共にする

男を中心とした話です。100年ほど前のカリフォルニア州を舞台にしていますが、テーマが普遍的

であり、現代にも通ずるものがあります。福祉・看護・保育を学ぶ皆さんに読んでいただきたい

一冊です。映画化、舞台化も何度もされています。

 

ソール・ベローともう一人の作家 (彩流社 2019) 日本ソール・ベロー協会 編

ソール・ベローともう一人の作家 ノーベル賞作家ソール・ベローと他の文学者との関りをテーマに編集された

同書に、「ソール・ベローとジョン・スタインベック―二人のノーベル賞作家の

比較研究事始め」と題した文を寄稿しました(第3章)。二人の作家は、

パスカル・コヴィチという共通の編集者が担当し、スタインベックが1962年に

ノーベル賞を受賞した際、ベローに「次は君だ」と予言したことなどの関りを

述べています。他の論考も興味深いものです。

 

この日をつかめ(Seize the Day) (新潮社 1971) ソール・ベロー 著

 若い頃、読んだ作品ですが、スタインベックとベローを比較研究する必要性から読み直してみました。

人生何事もうまくいかないトミー・ウィルヘルムという中年男性の主人公の心の中や父親との関係が、

ニューヨークのホテルを舞台にして描かれています。ベローの他の作品と同様、物語の中で何か

大きな出来事が起こるわけではありませんが、主人公の心の内を丹念に描くというベローの特徴が

現れている作品です。

 

オリヴァー・ツイスト(Oliver Twist) (新潮社 2017) チャールズ・ディケンズ 著

オリヴァー・ツイスト 健康保育学科の立浪先生の研究発表を聞き、また学会で知り合いの先生が

この作品についての研究発表をしたのを聞き、学生時代の英文学講読の授業で

読んだこの本を再読しました。ディケンズの当時(1830年頃)の英国社会の描写は

秀逸で、当時のロンドンの様子を知りたければ、ディケンズのこの作品と

『ピックウィック・ペーパーズ』を読めばよいとも言われています。

時代や社会は違えど、登場する人間たちが現代と同様なのも面白いです。

 

杉並区長日記 地方自治の先駆者・新居格 (虹霓社 2017) 新居 格 著

 新居格は、スタインベック研究者の間では『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath)を初めて

日本語に訳した人物として有名ですが、本学の元学長である新居志郎先生の伯父様でもあります。

昨年の日本ジョン・スタインベック学会で新居志郎先生に新居格氏について講演いただく際の準備

として、この書を読んでみました。文学者であり思想家でもある新居格が、型破りな杉並区長

として1年間務めた際の記録です。

 

身辺動物記 (あすなろ書房 1975) 小林 清之介 著

 昨年6月に亡くなった読書好きの父が、私が子どもの頃薦めてくれたうちのこの一冊を父の

蔵書整理をしていて見つけました。再読するととても懐かしく、この書を読んで我が家の庭に

鳥たちが来てくれるようにエサ台を作りご飯粒などを置き、スズメなどが来るのを観察したこと

などの思い出がよみがえってきました。父のほうでは、自分が薦めた本によって息子が鳥の観察を

するようになったことを観察していたんだろうと思います。

 

労働法入門 新版 (岩波書店 2019) 水町 勇一郎 著

労働法入門 新版 2019年度より本学のキャリア支援センター長に就任し、センター長として

10月に労働法セミナーに参加する際、準備として読んだ書です。私自身、これまで

法律分野の本はあまり読んできませんでしたが、労働法の考え方が歴史的背景や

諸外国の考え方も含め、とてもわかりやすく説明されています。

「新版」のため(2019年改訂出版)、最近の「働き方改革」を踏まえた内容もあり、

今後、社会人になって働く皆さんにも一読をお薦めする書です。

 

観光公害 (祥伝社 2019) 佐滝 剛弘 著

観光公害 成美堂からJoan McConnell氏と共著で出版した英語教科書

Changing Times, Changing Worlds(『やさしく読める社会事情』)の中で

Chapter 2の“Overtourism is a Problem”の章を執筆する際、参考に読んだ書です。

著者佐滝氏の住む京都の「観光公害」をはじめ、私たちが執筆した教科書でも触れた

イタリアのヴェネチアやクロアチアのドゥブロブニクなどの観光公害についても

説明されています。SNSの発達とも大いに関係のあるこの新たな社会問題「観光公害」、皆さんも

是非考えてみてください。

 

 

山本浩史先生の読書ノート

ドキュメント 豪雨災害 (山と渓谷社 2019) 谷山 宏典 著

 2018(平成30)年7月に発災した西日本豪雨災害。その被災地を訪ね被災者にインタヴューを

したものである。特に第二章「人はなぜ逃げ遅れるのか」では、社会や人間の災害に対する意識

ついて考えさせられると思う。

 

福祉は誰のために ソーシャルワークの未来図 (へるす出版 2019) 鶴幸 一郎[ほか] 編

 日本における社会福祉の課題、そして、その根底にある貧困思想について考えることのできる

一冊である。そして、日本の施策における限定的福祉対象者についての問題提起もされており

今後、ソーシャルワークはどの方向に向かうべきなのかについて考えるきっかけとなる

新書である。

 

ソーシャルワーカー 「身近」を革命する人たち (筑摩書房 2019) 井手 英策[ほか] 著

ソーシャルワーカー ソーシャルワークとは何か、ソーシャルワーカーとはどんな専門職であり、

この社会の中でどう機能すべきなのかについて考えることのできる一冊である。

内容についても日本のソーシャルワーカーの歴史についても踏まえており、

どのようにして社会福祉士国家資格が生まれたのかについても理解することが

できる。そのうえでソーシャルワーカーは未来へ向けてどうすればいいのか、

考えるきっかけとなる一冊である。

 

 

和田美智代先生の読書ノート

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (KADOKAWA 2004) 米原 万里 著

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 優秀なロシア語通訳者の著者が、小学生時代を送ったプラハのソビエト学校

時代の3人の同級生との思い出とその後を綴ったノンフィクション。ギリシャ人、

ルーマニア人、ユーゴスラビア人と日本人の著者の共産圏での学校生活、考え方など

世界の文化の違いを知ることができます。まるで小説のようにハラハラドキドキと

描かれ、軽妙な筆致に引き込まれます。第33回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。

同著者の「マイナス50℃の世界」もお薦め。

 

医者 井戸を掘る アフガン旱魃との闘い (石風社 2001) 中村 哲 著

医者井戸を掘る 2019年12月4日、アフガニスタンのジャララバードで凶弾に倒れた医師が、

2000年以降600本の井戸を掘り、大旱魃と闘った現地報告。中村医師は

パキスタン北西部の州都ペシャワールを拠点に1984年から15年間現地で

医療活動を行っていたなかで、赤痢などの伝染病の蔓延に

「医療以前に水の確保」と井戸を掘り始めました。簡潔な文体で読みやすい!

 2002年日本ジャーナリスト会議賞受賞。同著者の「辺境で診る辺境から見る」もお薦め。

 

ガラン版 千一夜物語 (岩波書店 2019~2020) 西尾 哲夫 訳

ガラン版千一夜物語 船乗りシンドバード、アラジンの魔法のランプ、アリババと40人の盗賊など

誰もが知っているお話の大本。古代ペルシャ王が一夜限りの妻を迎えては翌朝に殺す

という掟を作ってしまったことの対策として、宰相の娘シェヘラザードが毎夜

王に語る物語です。続き聞きたさに、次の晩まで彼女を殺せなくなってしまう

なんてどうなの?超長編につき、学生時代に読むのがお勧めです。

岩波文庫は全13冊、昨年秋から刊行されているガラン版は全6冊。

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー (新潮社 2019) ブレイディ みかこ 著

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 英国の保育士資格を持つノンフィクションライターの、恵まれたカトリックの

公立小学校から、「元底辺中学校」に進学した息子やその友人たちの中学校生活の

最初の1年半の日常のお話です。英国の諸事情も知ることができ、格差、人種、

性差別等様々な問題を考えさせられます。

本屋大賞2019 ノンフィクション本大賞受賞。2017年に新潮ドキュメント賞を

受賞した「子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から」もお薦め。

 

 

小山正善先生の読書ノート

昭和史発掘 (文藝春秋 2005) 松本 清張 著

昭和史発掘 太平洋戦争へと突き進んでいった戦前の暗い時代を象徴する18の事件

―中心は二・二六事件―を丹念に追求した清張氏の代表的傑作です。中には、

京都大学墓碑銘事件や天皇機関説事件といった大学に関わる事件も含まれています。

一つひとつ切り離された事件が、歴史的には通底していることがよく理解できます。

このことは、現在起きているさまざまな政治的できごとを考える上で

忘れてはならないと思います。

 

日本の近代とは何であったか (岩波書店 2017) 三谷 太一郎 著

日本の近代とは何であったか 明治元年の五箇条の御誓文は、「廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ」

に始まります。その意味は何か。本書によれば、近代以前と近代を分ける

指標として、「議論による統治」を挙げています。とすれば、

「萬機公論ニ決スベシ」とする御誓文は近代日本の幕開けを意味するでしょう。

本書は「議論による統治」を手がかりに、「日本の近代とは何であったか」について、政党政治、

資本主義、植民地帝国などを個別に論じることにより、答えようとしています。

議論回避、議会無視の昨今、読まれるべき書と思います。

 

現代政治の思想と行動 (未來社 2006) 丸山 眞男 著

現代政治の思想と行動 戦後の政治学を主導し、社会的にも大きな影響を及ぼした

―その影響は今なお残る―丸山眞男氏の代表的著作のひとつで、

「現代日本の精神状況」、「イデオロギーの政治学」、

「『政治的なるもの』とその限界」の3部からなる。とくに「無責任体制」を

キーワードとする近代日本のファシズム・軍国主義分析(第一部)は、

現今の政治状況の下では、新鮮かつ痛快に感じられる。おすすめの一書です。

 

 

三上ゆみ先生の読書ノート

「発達障害」と言いたがる人たち (SBクリエイティブ 2018) 香山 リカ 著

「発達障害」と言いたがる人たち 「片付けできない自分、空気が読めない自分、仕事ができない自分」と感じて、

私大人の発達障害かも?と専門外来に殺到し受診まで3年待ちなんてことも。

正常か発達障害かそうじゃないのかは「これだけ平均からずれているから障害」と

明確に線を引くのは本当は無理があるのです。背景にグレーゾーンと診断される人の

社会の「生きづらさ」と自己肯定感の低さが見えてきます。

 

ひかりの魔女 (双葉社 2014) 山本 甲士 著

ひかりの魔女 浪人生の光一のもとにやってきた“ひかりばあちゃん”は、家族の問題を

おいしい料理とやさしい嘘で次々と解決していきます。知り合いとの関係を

大切にし、当たり前のことを大切にする大切さを思い出させてくれる

ホッコリとする作品です。

 

僕の死に方 エンディングダイアリー 500日 (小学館 2014) 金子 哲雄 著

僕の死に方 流通ジャーナリストであった著者は、病気を隠しながら最後まで仕事を

したいと考えていました。肺カルチノイド(悪性腫瘍)と診断され、骨への転移

による痛みもある中でTVやラジオに出演し、ネットでは「激やせ」と話題に

なりながらも最後の日まで仕事をし、「自分の人生に90%満足している。

もうこれでいいよ。本当にありがとう」と語りました。自分であれば

残された時間をどうありたいかということを問われる1冊です。

 

 

鄭丞媛先生の読書ノート

超高齢社会のリアル 健康長寿の本質を探る (大修館書店 2019) 鈴木 隆雄 著

超高齢社会のリアル 先進国を中心に人生100年時代を迎えつつある.本書では,健康問題,

介護予防,社会保障,在宅医療など,超高齢社会の現実と課題について,

これまでに筆者らが取り組んできた豊富な研究と科学的根拠をもとに解説し,

人生100年時代の生き方,老い方,死に方について紹介している.

 

健康格差社会への処方箋 (医学書院 2017) 近藤 克則 著

 人々の健康には,生活習慣などの個人の選択だけでなく,地域や経済などの社会環境からも強く影響を

受けているとされる.本書では,社会環境の違いによって,人々の間に「健康格差」が生じており,

その格差が生じる要因を示すだけでなく,健康格差社会への対処法の根拠についても紹介している.

 

 

井上信次先生の読書ノート

父親の科学 見直される男親の子育て (白揚社 2019) Paul Raeburn 著

 様々な視点から、子育てを父親の視点から描いた本である。単なる「男性は子育てに参加すべき」

「イクメン」といった大衆迎合的な視点ではなく、可能なかぎり科学的に根拠を見いだそうとしている。

「男性学」の視点からも、読み物として楽しめる本である。

 

新・日本の階級社会 (講談社 2018) 橋本 健二 著

新 日本の階級社会 この数年の状況も踏まえた、日本の階級社会やその意識等について論じた

本である。SSM調査や、そのほかの統計データを用いて論じている。

階級、階層について関心がある人は読んでほしい。ただし、統計的な用語等

について、理解しにくい箇所も随所にある。

 

 

知的障害の若者に大学教育を 米・欧・豪・韓9か国20大学の海外視察から (クリエイツかもがわ 2019) ゆたかカレッジ、長谷川 正人 編著

 障害系教育施設を営むゆたかカレッジ、長谷川 正人による本である。高等学校卒業後、学校での

学びを継続しようとする知的障害者の人への教育的支援について、世界の状況をまとめている。

内容は非常に具体的であり、この領域で遅れている日本の状況を反省的にとらえることができる。

知的障害だけでなく発達障害をもつ人たちへの教育的支援に関心がある人に読んでほしい。

 

 

増井香名子先生の読書ノート

あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ (日経BP社 2011) 村木 厚子 著

あきらめない 厚生労働省で福祉行政に携わってきた「働く女性の希望の星」から一転、

無実の罪に問われ、逮捕・164日間の勾留となる極限状態の中、決して屈しなかった

のはなぜか。その「あきらめない心」の秘密を、本人が明かした著書です。

仕事や働くということ、そのあり方についても考えさせられる本です。

 

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと (KADOKAWA 2017) 西原 理恵子 著

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと 七転び八転びしながら仕事に全力投球し子育てをしてきた西原理恵子さんが、

今だからこそ言っておきたい、厳しくもハートフルな人生指南書です。

「王子様を待たないで。お寿司も指輪も自分で買おう」。これからの時代を

自立的に生きるための大人に向かう今読んでいてほしい本です。

 

環状島=トラウマの地政学 (みすず書房 2018) 宮地 尚子 著

環状島 トラウマの地政学 災害、事故、虐待や暴力など、トラウマをもたらす出来事はたえまなく

起きている。「言葉では表現しようのない」この出来事は、それでも言語化

され、発話者をも聞く者をも揺るがせる。この本は、トラウマについて語る声

が、公的空間においてどのように立ち現れ、どのように扱われるのかに関心を

もつ。私にとっては、専門家、研究者としての自らの位置について、考える

きっかけとなった一冊である。対人援助の仕事はトラウマを扱う仕事である。ぜひこの本に

挑戦してほしい。

 

 

泉宗孝先生の読書ノート

「学力」の経済学 (ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015) 中室 牧子 著

学力の経済学 データを用いて、根拠を示しながら、「ゲームは子どもに悪影響?」

「教育には投資すべき?」「ご褒美で釣るのっていけない?」など、

よく教育に関して常識として扱われることについて説明をしてくれます。

数字で測れないこともある… という声もありますが、科学的に物事を

分析して堀り下げていく視点は重要だと思います。良い教育、良い支援… 

感覚だけではなく、説明できるようになれば、みんながわかりやすいかもしれませんね。

 

新しい学力 (岩波書店 2016) 齋藤 孝 著

 2020年に予定される学習指導要領の改訂。これからの子どもは「新しい学力」を

求められる。日本人は「問題解決能力が低い」と揶揄されることがあるが本当に

そうなのか。新しい教育システムは子どもにどのような影響があるのか…など、

これから日本を背負っていく世代に何を求められているのかを示しています。

今後、人と関わる仕事に就きたい方は、世の中の流れを知る意味でも参考になる1冊です。

 

明日の食卓 (KADOKAWA 2019) 椰月 美智子 著

明日の食卓 同姓同名の男の子を育てる、住む場所も家族構成も家庭状況も違う

3人の母親達の話です。我が子に手を上げたのは誰なのか… 

1ページめくれば、すぐに引き込まれますが、読み進めないと手を上げた

母親が誰なのかわからくて、中だるみもありません。毎日のように報道される

子どもの虐待。虐待は普通の家庭では起きないことだと思っていませんか? 

ラストの衝撃的な展開に、親としてもいろんなことを考えさせられた1冊です。

 

日本サッカーの未来地図 (KADOKAWA 2014) 宮本 恒靖 著

日本サッカーの未来地図 元サッカー日本代表DFの宮本恒靖氏の著作です。「日本のサッカーを、

サッカー以上のものにしたい」という信念のもと、引退後は世界のサッカーを

学ばれていました。一流選手だった宮本氏の「サッカーを外側から見ることで、

様々な価値観に触れたい」という発想に私はとても刺激を受けました。

福祉の価値観も変化しています。様々な価値観に触れ、福祉の「常識」と

されていることを検証していくことが大切なんだと再認識させられます。

 

 

木下由梨枝先生の読書ノート

コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる (学芸出版社 2011) 山崎 亮 著

コミュニティデザイン 「人がつながる仕組みをデザイン」する。著者は建築やランドスケープの

デザインから人のつながりをデザインする仕事へ転身した。新しいモノをつくる

よりもモノの使われ方に関心をもつようになった問題意識とは何か、また、

実践事例からは地域との地道な関わりや人とのつながりの大切さ・あたたかさが

伝わってきます。著者の本は他にもあり、分かりやすく読みやすいので

オススメです。ぜひ、手にとって読んでみてください。

 

働く君に贈る25の言葉 (WAVE出版 2010) 佐々木 常夫 著

 病に倒れた妻の看病、自閉症の長男を含む3人の子育て・・・過酷な運命を引き受けながら、数々の

大事業を成功させ、社長に上りつめたビジネスマンの著者。どう働き、どう生きるべきか・・・苦難の

ビジネスマン人生を生き抜いた著者が幸せに生きるための「エッセンス」をまとめています。

これから社会に出る人だけでなく、悩んで落ち込んだとき、勇気を出して一歩を踏み出したいときに

背中をそっとおしてくれるそんな一冊です。