2024年度 私の読書ノート(教職員推薦図書)
新見公立大学教職員が、学生に向けてお勧めの本を紹介する企画です。
専門分野の良書や、人生について考える書、面白い小説など、様々なジャンルの本が紹介されています。推薦図書を通じて、普段はなかなか接する機会のない他学科の教員や、よく知っている教員の意外な一面を発見することができるかもしれません。
紹介されている本は図書館で借りることができます。
看護学科
健康保育学科
地域福祉学科
公文裕巳学長の読書ノート
人口減少社会のデザイン(東洋経済新報社 2019) 広井 良典/著
著しい人口減少が進むとともに将来世代に負担を先送りしている現在の日本社会の持続可能性について、10の論点から提言する若い世代の必読書。日立京大ラボのAIが導き出した未来シナリオとしての「都市集中型」か「地方分散型」かの選択?「人生前半の社会保障」の必要性、「福祉思想」の再構築などの視点からみた持続可能な福祉社会の構築について考える。
騎士団長殺し 第1部 第2部(新潮文庫 2019)村上春樹/著
村上春樹の14作目の長編小説。全2巻で第1部「顕れるイデア編」と第2部「遷ろうメタファー編」で構成されている。妻に離婚を切り出された主人公の肖像画家は、愛車で東北と北海道を放浪の末、友人の父親である高名な日本画家宅を借りて暮らすことになる。ある日屋根裏に隠された『騎士団長殺し』というタイトル(モーツアルトの歌劇ドンジョバンニに由来すると推察する)の日本画を発見する。以来、次々と不思議な出来事に巻きこまれていくが、1部では日本画に描かれていた騎士団長の姿を形体化して顕れる「イデア」、2部では描かれていた顔の長い人物が「メタファー」として登場し物語をつないでいく。村上作品で多用される比喩であることを明らかにしない比喩表現としてのメタファー(暗喩)で、物語がスリリングで深く創造的に広がる世界を感じることができる作品。
東雲の途(光文社文庫 2014) あさの あつこ/著
『バッテリー』で広く知られている児童文学作家の「あさのあつこ」の時代小説、弥勒シリーズ(全12巻、2006~2023年、未完)の第4巻。武士の身分を捨てた小間物問屋・遠野屋清之介と変わり者でニヒルな同心・木暮信次郎、そして岡っ引きの伊佐治を軸に人間の心の闇を描く推理小説・捕物帖。この第4巻は、作者が描きたかった人物像である清之介が、橋の下で見つかった男の屍体の中から見つかった瑠璃の出処を求めて、自らの過去と向き合うため生国に向かう。シリーズ史上最大のスケールで描かれた「生と死」と新しい商いに賭ける清之介の生き様を描いた作品。
小田慈副学長の読書ノート
1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録(日経BP出版 2023)尾身 茂/著
新型コロナ・パンデミックは日本社会に様々な問いを投げかけました。著者である尾身茂君は、高校生のころからの友人です。専門家のまとめ役として新型コロナ対策の中心にいた尾身君が、新型コロナの1100日間を自身が抱いた葛藤とともに振り返る本書は、だれも正解がわからない中で、わが国がたどったコロナ対策について、そして将来起こるかもしれない、新たなパンデミックに対する心構えを考える上で、すべての国民が一読してほしい図書と思われます。
看護学科
上山和子先生の読書ノート
暇と退屈の倫理学(新潮社 2022)國分 功一朗/著
倫理学は、いかに生きるべきかを問う学問である。人は妥協を重ねながら生きている。本書は、その妥協に自分が感じた曖昧な感じ方、自分に言い聞かせながらの生き方を問うている。この問題は、「暇と退屈」という言葉で総称されている。問題は解決していくわけではなく、新たな問題も発生する。人は決断することにより自由という可能性を導き出す。つまり、考えることの契機となる何かを受け取る余裕の必要性を問うている。これにより、自己だけでなく、他人に関わる事柄を思考できるようになる。
紫式部 源氏物語(NHK出版 2015)三田村 雅子/著
世界最古の長編小説といわれ、千年も昔に書かれたものである。令和6年の大河ドラマに取り上げられている。源氏物語には、たくさんの女性が登場する。この書は、関係図式を用いて登場人物を整理しており、解説書としての意味を備えている。また、この書には、源氏物語のありようを深く反映させる歌を読み解いている。
箱根駅伝に魅せられて(角川新書 2023)生島 淳/著
2024年の箱根駅伝は、記念の100回大会であった。その中で数々の名勝負が展開されてきた。選手だけでなく、監督による指導者としての心構えや方針など、その大学の特長を生かした育成が行われている。また、3大駅伝である出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の距離の違いから、戦術の考え方などが紹介されている。
金山時恵先生の読書ノート
犯罪心理学者は見た危ない子育て(SB新書 2023)出口 保行/著
育児困難や虐待が現代を象徴する社会問題の一つであることはご存じのことかと思います。なぜ、虐待や育児困難な状況が生じるのか、24の実例を多面的に掘り下げ、現代の社会病理を描いています。一つひとつの事例は複合的な諸問題を抱えており、一側面から捉えるのではなく、多方面から捉え問題の構造を正しく知ることから始まります。現状を捉え、私たちに何ができるのかを考えることができると思います。
小学校低学年 発達障害が映す子どもたち症状が表面に見えてくる(ミネルヴァ書房 2020)崎濱 盛三/著
小学校低学年(1~3年生)は、障害の特性が分かりやすく現れる時期であると言われています。ADHD、LD、自閉スペクトラム症に関する解説から始まり、学年別にまとめられた症例集で構成されています。子どもたちが抱える不安や辛さを少しでも理解できると思います。
発達障害を見過ごされる子ども、認めない親(幻冬舎新書 2011)星野 仁彦/著
この本の著者は、現役の精神科医です。著者の診察時や相談を受けた人たちからの実例から、「もしかして、私も発達障害かも」と言いたがる人がいるというその存在に気づきこの本が書かれています。おとなの発達障害も増加していると言われていますが、個性なのか、生きづらさはどこにあるのか等は発達障害を取り巻く社会的な現象を知ること、そして、私たちはどのように向き合い、どのように考え、どのように対処すればよいのか書かれています。
四宮美佐恵先生の読書ノート
そっと無理して、生きてみる(三笠書房 2023)高橋 幸枝/著
著者が、100歳になってわかったことは、人は、だれしも不安や悩みを持っていますが、悩んでいるだけでは物事は解決しないので、とにかく行動してみる。そうすることで、自分を取り巻く状況や見えている景色が少しずつ変わっていくこと。世の中には、やってみなければわからないことが多いので、行動することで思わぬチャンスに巡り合えるはずです。思い悩まず行動し、「そっと無理して生きてみる」ことの大切さを教えてくれます。
いちいち気にしない心が手に入る本(王様文庫 2018)内藤 誼人/著
「心を変える」方法をマスターできる本です。どんなに頑張っても嫌われるときは嫌われます。そんなに頑張らなくても好かれるときがあります。だから、言いたいことを我慢して、「いい人」でいるのもほどほどにし、「あれこれ気にしやすい人」はむしろ思ったことをどんどん口に出すようにしてみると、「言いたいこと」を言わずにため込んでいるより、いろいろなことが好転するはずです。いつも、「前向きな言葉」で自分を勇気づけるようにしましょう。
読書する人だけがたどり着ける場所(SB新書 2019)齋藤 孝/著
現代人の一つのことに集中できる時間は、たった8秒だそうです。これは間違いなくインターネットの影響であると言われています。また、読書で登場人物に感情移入しているときの脳は、体験してる時の脳と近い動きをしていて、体験は人格形成に影響するとのことです。自分一人の体験には限界がありますが、読書で疑似体験ができて、人生観、人間観を深め、想像力を豊かにし、人格を大きくできることなど、読書の素晴らしさが再発見できます。
矢庭さゆり先生の読書ノート
超高齢社会のリアル 健康長寿の本質を探る(大修館書店 2019)鈴木 隆雄/著
超高齢社会のリアル(現実)について、研究データをもとに科学的根拠をもって解説されています。予防の本質とは、疾病や障害の発生を先送りし、不健康寿命を短くすること。若い時には予想しなかった自らの老いの実態とこの先の現実に向き合う覚悟も必要であり、病気と死は避けられないという超高齢社会のリアル=予防できない死をどのように迎えるかを考えさせられます。
ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち(ディスカヴァー携書 2023)酒井 穣/著
仕事と介護を両立しながら、介護をしている人に焦点をあてた内容となっています。現在、ビジネスケアラー予備軍は多くいます。いつ、ケアラーになるとも限りません。一個人としての家族の存在を改めて意識できる本です。一度読んでみてください。
2040年の日本(幻冬舎新書 2023)野口 悠紀雄/著
世界に先駆けて超高齢社会および人口減少が進む日本において、保健・医療・福祉・介護問題だけではなく、経済、教育、デジタル化、テクノロジー、エネルギー等様々な側面について2040年の日本の状況が予測されています。2040年の自分や家族の姿も思い浮かべながら読んでください。
原田信之先生の読書ノート
教養を磨く 宇宙論、歴史観から、話術、人間力まで(光文社新書 2023)田坂 広志/著
著者は、これからの時代には、多くの本を読み様々な知識を学ぶことを指すこれまでの「教養」とは全く異なる、「新たな教養」が求められると主張する。著者が述べる真の「教養」とは、読書と知識を通じて、「人間としての生き方」を学び実践することだという。「人工知能革命による「学歴社会」の崩壊」「「成功者」の不思議な偶然」「優秀な人材が突き当たる壁」等々、読み応えのあるエッセイが多数収められている。
スマホ依存が脳を傷つける デジタルドラッグの罠(宝島社新書 2023)川島 隆太/著
現在、スマホなどのデジタル端末が生活必需品となっているが、誰もがスマホに依存してしまう怖さがある。著者のグループが10年間子どもたちの生活習慣と脳の発達を調べた結果、スマホをたくさん使う子どもたちの学力が低く、脳の発達に遅れが出ていることがわかったといい、脳が小6のまま発達が止まっている中3もいたという衝撃的な調査結果が示されている。スマホ依存から脱する方法も記してあるのでぜひ読んでもらいたい。
人口減少時代の農業と食(ちくま新書 2023)窪田 新之助、山口 亮子/著
人口減少時代のただ中にある日本農業は、農家の減少と高齢化、耕作放棄地の増加、物流業界の2024年問題(ドライバー不足)等々、多くの課題を抱えている。本書では、人口減少時代を嘆くのではなく、草刈りの手間を省く「除草ルンバ」の開発、有機稲作の切り札「アイガモロボット」の導入、鮮度が重要な物流問題に冷蔵保管の工夫で対応するなど、ピンチをチャンスに変えるために立ち向かう様々な現場の試みを紹介している。
土井英子先生の読書ノート
グラウンデッド・セオリー・アプローチ 理論を生みだすまで(新曜社 2021)戈木クレイグヒル滋子/著
戈木クレイグヒル滋子先生は質的研究者の第一人者です。カリフォルニア大学サンフランシスコ校で、がんでお子さんを亡くされたお母さま方の姿が浮かび上がるような研究をされています。質的研究をする上で一助となる書籍です。
癒える力(晶文社 1999)竹内 敏晴/編
この本の一節を紹介すると、「凍らせた綿棒で口の中を刺激すると、ゴクンとできた。ゼリーを入れて、ゴックン」と新聞の記事をのせて、「人」としてのからだについて述べられています。特に看護・介護を専門職とする人は手にとってください。
思考の整理学(筑摩書房 1986)外山 滋比古/著
1986年に執筆され、いまだに発行され続けています。論文を書く、思考を整理する、考えるとはなど、なるほど! そうかそうだ!と改めて思えます。例えば、朝のほうが思考するのによい時間である。つまらないことはいくらメモしてもいい。そうすれば安心して早く忘れられる。大切なことは書かないでおく。書いた文章は寝かす。卒業研究に取り組む前、入学してすぐに是非お読みください。
木下香織先生の読書ノート
なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか 脳科学でわかる、ご本人の思いと接し方(中央法規 2022)恩蔵 絢子、永島 徹/著
タイトルのとおり、帰宅願望に代表される認知症のひとのいろいろな言動がありますが、事例を挙げながら脳科学者の著者による解説とアシストポイントが著されています。脳科学者の恩蔵氏もお母さまが認知症と診断された当時はとても混乱されたそうです。専門家でも家族の認知症に戸惑いがあったことも含めて、認知症の人の言動の理由や関わりを考えるのに、とてもとても参考になる1冊です。
なぜヒトだけが老いるのか(講談社現代新書 2023)小林 武彦/著
世界一の長寿を誇るわが国の平均寿命は男女ともに80歳を優に超えますが、著者によると、生物学的に「ヒト」の寿命は55歳くらいで、ヒトは人生の40%が「老後」であるとのこと。なぜヒトは長寿になったのか、ほかの動物と比較しながら知る事柄が興味深いです。そして、社会の中で生きる「人」として、長い老後をどう生きるか、そして、“シニア”までの人生をどのように過ごすか、、、自分のこととして考えてみたくなります。
魔女のあとおし(幻冬舎 2023)中山 有香里/著
漫画なのですが、優しいタッチのイラストと繰り広げられるエピソードに引き込まれて一気に読んでしまいます。そして、読み終わると、ふーっと心が温かくなって「あとおし」してもらった気持になる一冊です。看護師でありイラストレーターである著者は、看護学生の皆さんには、「ズボラな学生の看護実習本 ずぼかん」などでおなじみなのかもしれませんね。
栗本一美先生の読書ノート
自分を否定しない習慣(アスコム 2023)小澤 竹俊/著
在宅看取りに長年携わっておられる医師が書かれた著書です。残された時間の中で、最期まで自分らしく生きることを支えてこられた医師だからこそ語ることができるものがあると思います。自分を否定しないポイントや周りの人と比べて落ち込むときのポイントなど最期まで、自分らしく一度きりの人生を生ききるための方法が書かれています。自分自身や他者を肯定的に捉え、自分らしく生ききることを常に考えること。そして、自分の支えにも気が付き、他者の支えになっていくことが必要ではないでしょうか。
この本を読んで自分の生き方について考える機会になると思います。
「ひと」として大切なこと(PHP文庫 2005)渡辺 和子/著
たった一度の人生の一日を何気なく過ごしていませんか。本書は、「自分らしさ」を見失わないためのことが書かれています。筆者は、ノートルダム清心女子大学(岡山)で30年以上「人格論」の名講義をされていた先生です。穏やかで、凛としたシスター(筆者)の言葉に励まされます。人間の尊厳や愛について深く考え、私たちが忘れてはならない生きる意味や人として大切にしなければならないことなどを思い出させてくれると思います。
世界で一番たいせつなあなたへ(PHP研究所 2015)片柳 弘史/文 RIE/絵
この本は、マザー・テレサの言葉と、心穏やかになる素敵な絵、作者のエッセイとで構成されています。筆者は、マザー・テレサのもとでボランティア活動を行い、マザー・テレサから神父になるよう勧められ、実際に神父になっています。そして、マザー・テレサの本当の姿や印象に残る言葉、その時のエピソードが絵と一緒に書かれています。絵だけを見ているだけでも心が落ち着き、楽しむことができる本です。
礒本暁子先生の読書ノート
戦争は女の顔をしていない(岩波書店 2016)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/著 三浦 みどり/訳
第二次世界大戦終戦後、捕虜としてシベリアの極寒と飢餓、いつ終わるとも知れない重労働のなかで、祖国に帰るという強い意志を貫くために、希望と尊厳を守り抜いた山本幡男の物語です。病に倒れた山本の遺書は検閲で没収されますが、ともにラーゲリの日々を乗り越えた同志によって、記憶として遺書を家族のもとに届けられました。人に生かされ、人を生かすことを、長い時間をかけて廻るのが人生なのかもしれません。
今日、誰のために生きる?アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語(廣済堂出版 2023)ひすい こたろう、SHOGEN/著
時間にも心にも余裕がなく、周囲の方々に丁寧に接することができない自分になっているなと感じていた時にこの本に出会いました。この本は、ペンキ画家となったSHOGENさんと作家のひすいこたろうさんの共著です。SHOGENさんがアフリカブンジュ村で日本のことを学ぶという不思議な体験をもとにつづられています。ものの見方やとらえ方、視点が変われば生き方にも変化が起きるのかもしれません。
新装版 蝉しぐれ 上・下巻(文春文庫 2017)藤沢 周平/著
剣術にまい進するひとりの武士の人としての成長を描いた作品です。登場人物の感情が丁寧に描かれていて、人の感情の機微は今に通じるものがあり、読みごたえがあります。ままならない社会の中で、自分のできることに焦点をあてて進み続ける姿が心に残りました。
塩見和子先生の読書ノート
超速でわかる!宇宙ビジネス(すばる舎 2021)片山 俊大/著
最低限知っておくとよい宇宙ビジネスについて知ることができます。民間企業も多く参入し市場規模は急速に拡大しているようですから、今後の方向性について知り視野を広げることに役立ちます。
最後はなぜかうまくいくイタリア人(日本経済新聞出版 2018)宮嶋 勲/著
不測の事態が起きるとどうしても慌ててしまいますが、イタリア人の考え方や行動はちょっと違うように思います。若い頃にイタリアとスペインの舞踏団の楽屋で、時間に追われながら衣装などのお世話をさせていただいたことがありましたが、トラブルへの柔軟な対応と建設的な考え方に非常に学ぶべきことが多くありました。当時は彼らの行動に理解できないことが多々ありましたが謎が解けました。日頃の忙しい時の対応力にもつながると思いますし、心が豊かになります。
もっと話がおもしろくなる 教養としての気象と天気(WAVE出版 2022)金子 大輔/著
知っておくと役に立つ知識です。気象予報の「時々」と「一時」の違い、「雨か雪」と「雪か雨」の違い、「所により」ってどこでしょう?すぐに使える基礎知識から気象データとビジネスに関することまで満載です。気象と天気が分かると時間を有効に使える手立てにつながると思います。
井上真一郎先生の読書ノート
置かれた場所で咲きなさい(幻冬舎文庫 2012)渡辺 和子/著
置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。時間の使い方は、そのままいのちの使い方です。自らが咲く努力を忘れてはなりません。雨の日、風の日、どうしても咲けないときは根を下へ下へと伸ばしましょう。次に咲く花がより大きく、美しいものとなるように。心迷うすべての人へ向けた、国民的ベストセラー。
もしも一年後、この世にいないとしたら。(文響社 2019)清水 研/著
国立がん研究センターで、がん患者さん3500人以上の方の話を聞いてきた精神科医が伝えたい、死ぬときに後悔しない生き方。今、生きづらさを感じているすべての人へ。人生の締切を意識すると、明日が変わる。「もしも1年後、この世にいないとしたら――」そう想像したとき、今やろうとしていることを変わらずに続けますか。それとももっと別のやりたいことをやりますか。
「大人の発達障害」トリセツのつくりかた(中外医学社 2020)井上 真一郎/著
患者さんの対応でうまくいかず困った経験を持つ医療者のための1冊。発達障害の有無ではなく、「ほとんどの人は何らかの発達特性を持っている」という多様性を前提に、その特性ゆえに医療の中で困っている患者さんがいた際、医療者としてどのような支援が出来るのか、様々なシチュエーション・多職種での実践的知識を解説。
矢嶋裕樹先生の読書ノート
AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争(光文社新書 2020)庭田 杏珠、渡邊 英徳/著
戦前から戦後の多彩かつ貴重なモノクロ写真がAI技術と人の手によってカラー化される。カラー化により、モノクロ写真では遠く感じた過去が今と地続きとなる。当時の世相や文化、生活の様子がありありと蘇る一方で、人々の幸せな暮らしを奪った戦争が遠い過去の出来事ではなく、身近にある現実の出来事として感じられる。原爆投下から1年後、デパート屋上から焼け野原となった広島市街を見つめるカップルの写真が強く印象に残る。
人間はどこまで耐えられるのか(河出書房新社 2008)F・アッシュクロフト/著 矢羽野 薫/訳
過酷な環境下での人間の生理学的な反応を観察し、人間が生き延びる限界を探っていく。飛行機の窓が割れたら、深海まで潜ったら、炎天下の砂漠を水なしで生活したら、宇宙空間に長期滞在したら、私たちの身体にどのような変化が生じるのか。こうした問いに、本書は、ときにユーモアを交えて、分かりやすく答えてくれる。人間の身体の驚くべき性質と、危険を顧みず、人間の限界に挑む探検家・科学者の飽くなき探究心にただただ驚かされる。
これでいいのか市民意識調査 大阪府44市町村の実態が語る課題と展望(ミネルヴァ書房 2002)大谷 信介/編
各自治体は、行政計画の策定にあたり、市民の意見や要望を幅広く把握するために「市民意識調査」を行っている。本書は、大阪府下44自治体の市民意識調査の実態を明らかにした本である。漠然と意識を問う質問・選択肢が多い、ワーディングが不適切、比較等の分析を想定しない「やっただけの調査」が多いなど、市民意識調査の深刻な実態が次々と浮き彫りにされる。改善策も提示されており、大変参考になる。
山本智恵子先生の読書ノート
「利他」とは何か(集英社 2021)伊藤 亜紗/編著 中島 岳志[ほか]/著
「利他」と聞いて、皆さんは説明できるでしょうか?私も知ったつもりではいましたが、それはこの本を読んで「つもり」であったことがよくわかりました。新型コロナウイルス感染拡大で危機に直面していた時に「利他」という言葉が注目を集めたというところから本ははじまり、5人の著者が「利他」について考察しているものです。私も難しい本は得意ではないのですが、久々に勉強した気持ちになりました。
看護師たちの現象学 協働実践の現場から(青土社 2014)西村 ユミ/著
看護界ではとても有名な先生で、タイトル通り現象学的分析がなされた本。フィールドワークやインタビューからの語りがあり、暗黙知や臨床判断の内容を言語化してある。実践を言葉にすることの大切さが伝わってきます。
みえるとかみえないとか(アリス館 2018)ヨシタケ シンスケ/さく 伊藤 亜紗/そうだん
絵本なのですが、とにかく深い…。道徳教育にも使われる絵本だそうで、我が子から勧められて手にしました。何度も読んで深く考えてください。「ふつう」とはどういうことか、「ちがう」ことはどういうことかを考えさせられます。自分がみている世界と目が見えないひとが見る世界とは大きくちがうという。この本から個性を尊重し、「ちがい」に関心をもち、お互いに関係性を築いていくことの大切さがわかる本。
山野井尚美先生の読書ノート
おらおらでひとりいぐも(河出文庫 2020)若竹 千佐子/著
東北地方生まれの主人公は、昭和、平成、令和時代をたくましく生き抜かれました。ご主人を亡くされ、二人の子どもも疎遠になる中でも、一人暮らしの中での楽しさを見出され、「ひとりだけど、一人じゃない」とパワフルに過ごされます。田中裕子さんが主演され映画化もされた東北人の真の強さと人間観に心揺さぶられる作品です。看護職を目指す学生の皆さんに、人生100年時代のエールとして受けとってください。
看取り先生の遺言(文春文庫 2016)奥野 修司/著
二千人以上を看取った、がん専門医の往生伝です。60代後半にがんで余命を宣告され、人間の生き方、最後の迎え方について考えさせられる一冊です。宮城県で緩和ケア医院を立ち上げ、末期がんの訪問看護に注力される姿は魂が震えます。
人間は、自然の大きな命の下につながっており、一人ひとりの歩んだ人生の生命の本質について気づかされます。また、臨床宗教師という医師の育成にもご尽力され、看護や福祉に従事する職業を選択する学生のみなさんに読んでいただきたいと思います。
保健師の継承語り 晴れの国おかやまから(ふくろう出版 2012) 全国保健師長会岡山県支部/編
昨年も紹介させていただいた保健師になりたい方へのおすすめの一冊です。保健師のアイデンティティの確立と健康課題の解決に向けた専門能力を高めるため、住民とともに行う保健師活動の実践場面を10の物語としてお届けしています。私の実践体験も掲載されていますが、事例を語った保健師は、今まで積み上げてきた活動を振り返り、この物語には熱い思いや理念、原則も含まれています。保健師魂を感じていただき、看護職を目指す皆さんの活力にしてください。
真壁五月先生の読書ノート
物語としてのケア ナラティブ・アプローチの世界へ(医学書院 2002)野口 裕二/著
看護学はひとを対象とした学問であり、急性期医療・看護の中にも患者さんの語りに目を向け、寄り添う看護が求められます。新人看護師になると、心に残る患者さんとの看護の場面を振り返るような課題がでることがあります。その時、心に残る場面としてただ書くのではなく、看護としてそこにどのような意味があったのか、看護ケアとして何が成立していたのかを考え、記述するヒントを与えてくれます。
ナースのための管理指標 MaIN 2(医学書院 2010)井部 俊子/監修 MaIN研究会/編著
看護サービスの提供と質の保証のためには、①計画、②動機付け、③教育、④コミュニケーション、⑤組織、⑥安全の6つのカテゴリに基づいて各管理者が自己評価し、改善を試みることが期待されています。そこにサービスマネジメントの要素が加えられたのがこの第2版です。臨床現場のみならず、様々な管理の場面に応用できるため、管理者としての実践に役立ちます。
看護のためのポジティブ・マネジメント(医学書院 2023)手島 恵/編
管理者の考え方や行動は、組織に大きな影響をもたらします。本書では、日ごろ自分たちがどのようにものを見ているのかを改めて見つめ直すことからはじまります。その後、組織開発にあたっての現状の分析、問題の焦点化、解決のためのアプローチ、行動する中で大事にしたいことなどが実例を交えながら書かれています。わかりやすい文章ですので、自分自身のあり方を考えるために、看護学生にもぜひ読んでほしい1冊です。
安田陽子先生の読書ノート
看護が引き出す回復力 レジリエンスで視点もアプローチも変わる(医学書院 2021)池田 清子[ほか]/著
本著では地域のレジリエンスを「個人のレジリエンスに影響する要因であり、地域集団が逆境に立ち向かいしなやかに回復する過程」と定義されている。災害からとらえる地域のレジリエンスでは「被災者にとってハード面の住宅が整うだけでは個人や家族の回復(レジリエンス)には不十分であり、地域とのつながりやサポートなどのソフト面がハード面とともに重要である。」地域のレジリエンスを支援するために何ができるのか。また、災害看護に限らずレジリエンスの考え方を知ることで、困難や回復の見方が広がります。
社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法(学芸出版社 2020)西 智弘/編著 西上 ありさ[ほか]/共編 藤岡 聡子[ほか]/著
社会的孤立は健康に対して大きな影響を与えることがわかっています。なかでも「人とのつながりがあるかないか」が寿命に大きな影響をおよぼすということが示されており、医療の枠組みでは対処が難しい問題に対し、薬ではなく社会とのつながりを処方する「社会的処方」。制度として導入した国の事例や日本各地の取り組みが紹介されています。
LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略(東洋経済新報社 2016)リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット/著 池村 千秋/訳
国連の推計によれば、2050年までに、日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込み。人生100年なら一生涯は87万6000時間になり、どのような人生のステージや活動をどのような順番で経験するのでしょうか。『教育』→『仕事』→『引退』の3ステージとはいかない自分自身の100年ライフ、負の側面でのみとらえず、どのように計画していきますか。
川下菜穂子先生の読書ノート
となりのナースエイド(角川文庫 2023)知念 実希人/著
訳ありナースエイドと天才外科医のサスペンスで、今年ドラマ化されました。最高の技術を提供することが医師の役割だと断言する天才外科医と、患者に寄り添い気持ちを汲み取ることが最優先だと思う主人公は何かと対立します。この本は主人公の謎がキーになっていますが、主人公が様々な患者や仲間との交流から、命の尊さや人間性も描かれています。ドキドキもありつつ、主人公が過去の出来事から一歩踏み出し成長を楽しめる本です。
海に降る(幻冬舎文庫 2015)朱野 帰子/著
「深海には美しい雪が降るんだ…」と幼い頃に別れた父から言われた言葉から、潜水調査船のパイロットを目指す主人公。JAMSTECの「しんかい6500」による研究活動を舞台に、日本人初となる女性パイロットが、神秘的な深海の世界に挑む、海洋ロマン溢れる小説です。深海や海洋研究について詳細に書かれており、潜水艇や深海にとても興味をもちワクワクしながら、読み切ることができました。
空の中(角川文庫 2008)有川 浩/著
有川浩の自衛隊三部作の2作目。自衛隊の話?と思って読み始めると上空2万メートルで人類が始めて遭遇した未知の生物による襲撃。SFだった!とびっくりした小説です。「宮じい」と呼ばれている高知の老人の言葉がとても深く、重みがあり、この小説のキーになっていると思います。恋愛要素もあり読みやすい本です。
浅原佳紀先生の読書ノート
精神に病をもつ人の看取り その人らしさを支える手がかり(精神看護出版 2021)田代 誠[ほか]/編著
ここ近年、将来受けたい医療・ケアについて本人を主体にそのご家族や医療チーム等が繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組みであるACP(Advance Care Planning)が注目されています。しかし精神科医療においては様々な理由によって患者さんの死について考える機会が少なくなってしまっている現状があります。そのような中、看護師としてその人らしい最期をどう看取っていくのか、考えるきっかけとなる本です。
HSPの心理学 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」(金子書房 2022)飯村 周平/著
HSP(Highly Sensitive Person)」とは、環境感受性(悪い環境と良い環境の両方からの影響の受けやすさ)が高い人たちのことを指します。近年HSPにまつわる書籍が多く出版され、「繊細さん」と呼ばれるなど、様々な情報が飛び交っています。著者はそのような中で「HSPが世の中では誤解されている」と警鐘を鳴らし、エビデンスに基づいて客観的にHSPの説明をしています。HSPとはどのようなものなのか、HSPの人をどう理解していけばよいのかが学べる本です。
人は話し方が9割 : 1分で人を動かし、100%好かれる話し方のコツ(すばる舎 2019)永松 茂久/著
本を読んだだけで話し方がうまくなるとは思っていませんが、何かしらの参考になればと思い手に取りました。一番印象に残ったのは、話し方は「聞き方が9割」だという部分です。正直私は話すのはあまり得意な方ではありませんが、話を聞くのは比較的得意だと思っているので、それで少し救われた感じがしました。
丸山純子先生の読書ノート
わかりやすい省察的実践 実践・学び・研究をつなぐために(医学書院 2023)三輪 建二/著
看護職や福祉職、教育職など人びとと関わりあう仕事をする対人関係専門職の学びには、専門学校や大学などの養成段階だけでは終わらず、専門職に就いてからも個人の学びや各種研修など「学び続ける」ことが求められています。これは、最新の知識・技術の修得に加えて、相手との対人関係能力やコミュニケーション能力の向上をめぐる学びが必要だからです。専門職として、実践をたえず振り返り(省察し)、次の実践の改善に活かす学びができる「省察的実践者」として必要な内容であり、成人学習における指導の視点など読み進める上で自分自身も省察することができる1冊でした。
看護技術 ナラティブが教えてくれたこと(医学書院 2014)吉田 みつ子/著
医療の中での「ナラティブ」「物語」は、患者が語った体験や言葉によって表現された世界のことをいい、それらを通し、患者の病や治療の意味に着目することによって、より個別性の高い医療を提供するためのアプローチとして取り入れられています。この一冊には、「整容」「食事介助」「罨法」などの看護技術とそれにまつわるナラティブから、単なる技術の修得だけではなく、その延長線上にある患者へ向けた看護について考えるきっかけやアフォーダンス理論に基づいた実践知がちりばめられています。学生時代にぜひ手に取って読んでほしい1冊です。
おくることば(新潮文庫 2023)重松 清/著
コロナ禍に執筆された小説を含む6編集です。「重松清版、君たちはどう生きるか。大学のゼミで、小学校の体育館裏で、中学校の教室で-。大切な思いがこめられた小説&メッセージ」の帯を書店で見つけたと同時に、私は本書を手に取っていました。心痛める始まりとなった今年、41人目の重松ゼミ生になりきって本書を読むと、今、ゼミノートには何が綴られているのだろうかと思いをはせています。誰かの問いが、別の誰かの胸に届いて、響く。これこそが、ゼミの、同じ教室で同じ時間を過ごす仲間がいることの醍醐味。このようなゼミにしていけたらいいなと、本書との出会いに感謝しています。
山本裕子先生の読書ノート
運転者 未来を変える過去からの使者(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019) 喜多川 泰/著
何もかも上手くいかない「運が悪い」と嘆いている主人公の元に、その主人公が行くべき場所へ無料で連れていってくれるタクシーが現れ、そのタクシーの運転手との関わりによって主人公が未来を変えていけるという物語。不機嫌が幸せのアンテナを鈍感にしていること、損得でものを考えるのではなく興味をもつことを教えられた主人公が自身の父親のこと、そして祖父のことに想いを馳せるところがとても感動的でした。日々の過ごし方を変えてみようと思える1冊でした。
「めんどくさい」が消える脳の使い方(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2022)菅原 洋平/著
生活の中で「めんどくさい」と思うことってありませんか。私はたくさんあります。「めんどくさい」と思った途端、一気にやる気がなくなったり、いろいろとやっているのに気づけば全然状況が進んでいなかったり...。一度に多くのタスクをすることが脳に与えるダメージ、ご褒美があることによって脳も自分もHappyになれること、脳も自分の大切な体の一部、大切にそして共に生活していこうと思った1冊でした。
オンリーワンの花を咲かせる子育て(文藝春秋 2020)松永 正訓/著
私自身、今が子育て2年生。子どもが日々成長していく中で、健康であればそれが一番という思いと、保育園に通う子どもを知らず知らずのうちに周りと比べてしまっていることからこの本を手に取りました。この本を読んでその子が「できる」ことをしっかり褒めて一緒に喜ぶこと、子どもが真似したいと思う大人に自分がなることの大切さを感じました。これから子どもと一緒に成長していきたいと思えた1冊でした。
安藤 亮先生の読書ノート
その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く(青土社 2016)森川 すいめい/著
精神科医である筆者が自殺の少ないとされている地域に赴き、地域の人との交流によって、なぜ自殺が少ないのかを考察しています。「病、市に出せ」、「障害を持っている人を区別しない」、「自分は自分であり、他人は他人である」、本書を通じて、現代社会に生きる私たちが生きやすくなるヒントを見出すことができるかもしれません。
ふだんづかいの倫理学(晶文社 2019)平尾 昌宏/著
そもそも倫理学とは?なぜ倫理が、道徳が必要なのか?から始まり、正義、自由など、一言では理解しきれないキーワードについて、身近な例も挙げながら分かりやすく説明されています。医療倫理やケアの倫理、アファーマティブアクション、功利主義、法の倫理など、幅広いトピックをカバーしており、ボリュームがありますが、倫理に興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか。
認知症ポジティブ!脳科学でひもとく笑顔の暮らしとケアのコツ(共同医書出版社 2019)山口 晴保/著
認知症という不自由を抱えて幸せに生きる、ポジティブ心理学の考え方を背景とした「認知症ポジティブ」について、認知症のとらえ方、医療・ケアが具体的に紹介されています。認知症の医療・リハビリテーション・ケアを専門とする筆者が提唱している脳活性化リハや、パーソンセンタードケアなどにも触れられており、認知症の方とのかかわり方への理解がより深まると思います。
宮武一江先生の読書ノート
バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則(かんき出版 2021)柿内 尚文/著
自分自身、伝えたいことがなかなか伝わらない、どうせ伝わらないとあきらめてしまうこともあり、この本を手に取りました。内容も分かりやすく、実践してみたいと思える内容です。具体例もあり、同じ内容でも伝え方ひとつで相手の理解やその後の行動も変わってくることを、改めて実感できる1冊です。
喜ばれる人になりなさい 母が残してくれた、たった1つの大切なこと(すばる舎 2021)永松 茂久/著
「人は話し方が9割」の著者が母親からの教え、家族との人生を綴った長編ノンフィクション。読んでいるとあたたかい気持ちになり、誰かのために何かしたくなる、そんな1冊です。
「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法(文響社 2021)イ・ミンギュ/著 吉川 南/訳
国で100万人以上の人々に影響を与えてきた心理学者が、「実行力」と身につける秘訣を伝えている1冊。実行力を発揮するプロセスを「決心」「実行」「継続」の3つのフェーズに分け、心理学に基づくノウハウや考え方を解説されています。ゴールではなくプロセスを見える化する、スケジュールは逆から立てるなど、即実践しやすい内容です。
井上弘子先生の読書ノート
汝、星のごとく(講談社 2022)凪良 ゆう/著
2023年の本屋大賞受賞の一冊。風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、島に転校してきた櫂(かい)の2人が高校生から大人へと成長していく物語です。自分の思いを相手へ伝える時、言葉ではなく「相手の気持ちを察する」ことがやさしさなのか、自由に自分を生きるために大切なことは何かを考えされられました。私にとって凪良ゆうさんの本は苦しい展開の中にも言葉に力があり、毎回読み終えると余韻が残ります。
くもをさがす(河出書房新社 2023)西 加奈子/著
西さんが乳がんの告知を受けてから寛解するまでの闘病記です。著者のインタビューの中で、健康な時には自分の身体を「道具」のように思っていたけど、がんになってコントロールができない身体と向き合った時に「自分の身体は自分のもの」だと感じた、オリジナルTシャツの「I’m just me and I love it」の言葉が胸に刺さりました。カナダに住んでいる時期に告知を受けたことで医療制度の違いやがんに対する捉え方の違いも同時に知ることができます。
専門職の転職構造(文眞堂 2005)藤本 昌代/著
著者は同志社大学で「働くことを通して個人と組織と社会の関係を研究」されています。本学での学修やボランティア活動を通して人間力を高め、その先には卒業して社会人としての活躍する人生があると思います。どのような場所で仕事をしたいか、就職活動を通して自己と就職先のマッチングを考えますが、就職後も自己成長できることが大切だと思います。やりがいや達成感、キャリアを伸ばすことについて、大企業での調査結果をまとめた1冊です。
小林匡美先生の読書ノート
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え(ダイヤモンド社 2013)岸見 一郎、古賀 史健/著
自己啓発本ですが,対話形式で書かれていて読みやすい本です。他者の評価にとらわれず、自分らしく生きること、今を生きることの大切さを考えることができ、悩んだ時のヒントが色々と書かれていると思います。
大ピンチずかん(小学館 2022)鈴木 のりたけ/作
子ども向けの本ですが、大人が見ても、あるあるこんなピンチ、と思うものばかりでした。年齢関係なく楽しめて、共感できると思います。前もって対処の方法を知ることができるので、怖くないかも?しれません。
みとりねこ(講談社 2021)有川 ひろ/著
猫についての短編集。7匹の物語でした。7匹それぞれ個性があって、それぞれの猫の気持ちもわかり、とても温かく泣けるお話ばかりでした。切ない気持ちもありますが、やさしい気持ちにもなれる小説です。
髙尾 緑先生の読書ノート
「すぐやる」よりはかどる!仕事を「短くやる」習慣(クロスメディア・パブリッシング 2023)山本 大平/著
仕事を「短くやる」ためには、まず「5つの原則」を頭に入れておく必要がある。
①「優先順位」を明確にする②「余計なこと」をしない③「先延ばし」をしない④「人に任せられる」ものを抱え込まない⑤「タイミング」を間違えない、であり、「短くやる」ことはテクニカル(手法)な問題のため、気分や感情に左右されず、コツを理解すれば仕事がはかどることにつながる。
アサーティブ・コミュニケーション(日経文庫 2022) 戸田久実/著
アサーティブな自己表現とは、お互いの主張や立場を大切にした自己表現をすることである。自分が感じたこと、思っていることを、素直に、正直に、相手や自分を責めることなく伝える表現である。互いに尊重し、認め合い、主張する伝え方のクセやネガティブな思い込みを修正することで、心が楽になり、人間関係が改善する。
同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?(ディスカバー・トゥエンティワン 2020)石田 勝紀/著
勉強ができる子は、勉強時間以外にも学んでいる。では、どうすればそのようになるのか、10の「問いかける」言葉の力で、頭脳のスペックを引き上げることができる。
大島由美先生の読書ノート
ストレス脳(新潮新書 2022)アンデシュ・ハンセン/著 久山 葉子/訳
この本は、わかりやすく脳のしくみについての知識を与えてくれます。現代人の生活は豊かな環境となりましたが、脳のしくみ自体は大昔の狩猟時代となんら変化していないようです。生き延びるための反応として不安が生じるという脳のしくみが、感情論ではなく、医学的視点で書かれており興味を引きつけます。心の健康の鍵となるポイントの1つ、運動が脳へ良い影響を与える根拠は、やはり運動を始めようと思える本だと思います。
勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門(ダイヤモンド社 2023)エヴァ・ファン・デン・ブルック[ほか]/著 児島 修/訳
この本は脳の錯覚、認知バイアスを生かした行動変容の方法が書かれています。その心理的傾向を利用して、人は簡単に行動変容ができるのだと思える本です。行動をするためには、意思を変えるのではなく楽に行動に取りかかれるような環境づくりをする、人を動かすには損を強調する等、看護において患者さんの行動変容にも生かせる内容だと思います。
あした死ぬかもよ?人生最後の日に笑って死ねる27の質問(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012)ひすい こたろう/著
題名に吸い込まれ読んだことがあるこの本を再読すると、時が刻々と過ぎているのを実感しました。年齢に関係なく、一度立ち止まって人生を考えるきっかけとなる本です。親への感謝の気持ち、子供たちに伝えられることは何か…考えていくと涙も出ますが死(志)を意識することで、未来の自分がいることに気づける本です。
難波香先生の読書ノート
長生きは小さな習慣のつみ重ね 92歳、現役看護師の治る力(幻冬舎 2023)川嶋 みどり/著
著者は看護教員なら誰もが知る川嶋みどり先生。日常や臨床時代のエピソードを交えながら、人々がもつ「治る力」やそれを引き出す「看護の力」について語られています。一般の方向けに書かれていて言葉も易しく、とても読みやすいと思います。
ぼけますから、よろしくお願いします。(新潮社 2022)信友 直子/著
認知症の母と90代半ばで介護をすることになった父。老老介護生活を送る両親の姿を、映画監督の娘(著者)が撮影した同じタイトルの映画も有名です。書籍版は、映像だけでは見えなかった娘としての思いが多く綴られており、映画と一緒に読むことをおすすめします。
自律神経の名医が教える すごい「悩み方」の技術(草思社 2023)小林 弘幸/著
悩みや気がかりなことが頭の中を堂々巡りしてしまうときに、自分の頭や気持ちを整理するためのコツが書かれています。自律神経のタイプは悩み方の傾向にも表れるらしく、自分の傾向が気になった方はぜひ手にとってみてください。
西村美紗希先生の読書ノート
汝、星のごとく(講談社 2022)凪良 ゆう/著
2023年、本屋大賞受賞作。主人公二人を中心に、様々な人生が描かれている一冊であり、不倫、毒親、LGBT、SNS問題やヤングケアラーまで、世の中の様々な社会問題にも触れ考えさせられる作品です。どう考えて生きていくのか、自分は自分であっていい、と思える1冊です。
ヨチヨチ父 とまどう日々(赤ちゃんとママ社 2017)ヨシタケ シンスケ/著
出産に立ち会った夫の思い、父親となって戸惑いながらも、一生懸命に楽しんでいる姿が垣間見れる1冊。父親にも母親にも薦められる1冊だと思います。
おかあさん、お空のセカイのはなしをしてあげる! 胎内記憶ガールの日常(飛鳥新社 2020)竹内 文香/著
命を宿すまでにいろんなことがあるのだな、と思いました。胎児はお母さんを決めるまでに、様々な母親候補のお腹へ遊びに行くなど、想像もつかないようなことが書かれており、とても楽しく読める1冊です。著者が「命は天からの授かりもの、生まれたら社会からの預かり物」と書かれていて、まさに!と思いました。
井上竹美先生の読書ノート
手紙屋 私の受験勉強を変えた十通の手紙 蛍雪編(ディスカバー・トゥエンティワン 2008)喜多川 泰/著
卒業後の進路に悩んでいる高校2年の和花が主人公。悩みを兄に相談したところ、「手紙屋」を紹介される。会ったことのない相手と10通の手紙をやり取りする中で、『何のために勉強するのか』を考えていくというストーリーである。しっかり腑に落ちる、是非読んでいただきたい本。
聞く技術 聞いてもらう技術(ちくま新書 2022)東畑 開人/著
著者は臨床心理士。「聞く」は語られていることを言葉通りに受け止めることをいう。対話が大事といわれながら、現代は話を聞けない社会=「聞く」の不全状態となっている。他人に話を聞いてもらうということは、ただの会話ではなく、相手を社会の孤立から救う手立てであることも含んでいると筆者は言う。これまで「聴く」ことが重要だと、考えがちであったが、改めて「聞く」ことの大切さを考えることのできる1冊である。
夜に星を放つ(文藝春秋 2022)窪 美澄/著
第167回直木賞受賞作品。5つの短編が収録されている。「星の随に」は小学4年生の想くんが主人公。「随に」とは、成り行きに任せて行動するさまのことをいう。主人公が大人との微妙な距離感をできるだけ波風を立てないよう気づかいしながら過ごす様子が丁寧に表現されている1冊である。
西森千恵先生の読書ノート
運転者 未来を変える過去からの使者(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019) 喜多川 泰/著
私がこの著書を読んだきっかけは、ある学生が夏の読書感想文でお勧めしていたからです。感想文から「おもしろそうだな」と思う本を何冊か読んだ中で、こちらの著書をご紹介させていただきたいと思います。この本は、主人公の会社員と、運を転ずる変わったタクシー運転手の物語です。運を『良い・悪い』ではなく、『貯める・使う』と表現し、プラス思考の本当の意味や家族愛について、改めて考えさせられる1冊です。
父が息子に語る壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書(ダイヤモンド社 2023)スコット・ハーショヴィッツ/著 御立 英史/訳
昔から考え込むことが多い私にとって、筆者の幼い息子さんが言った、哲学とは考える技術という言葉がとても印象に残りました。ある法学教授とその息子さん(最高に面白く楽しい哲学者)のお話ですが、親や子という立場は関係なく、哲学を興味深いものにする力がある本です。哲学って難しそう…や、考えることが好きな方に、是非、読んでみていただきたいです。
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか(クロスメディア・パブリッシング 2023)ピョートル・フェリクス・グジバチ/著
世界で類がないほどのハイコンテクスト社会である日本ですが、ダイバーシティ・インクルージョンの考え方が強くなる現代において、多種多様な価値観を持つ人たちと良好な人間関係を構築し、お互いに信頼感を深めていくために、自身の価値観や信念、希望・期待について、雑談を通して自己開示していくことが求められています。雑談を大事にすること=相手を大事にすることであると考える筆者の雑談の極意が学べます。
春藤友香先生の読書ノート
その悩み、哲学者がすでに答えを出しています(文響社 2018)小林 昌平/著
日常の何気ない悩みについて簡潔に答えが述べられています。イラストも多く、なるほど、と思いながらスラスラ読み進められます。
やさしくわかる! 麻酔科研修(Gakken 2023)讃岐 美智義/著
麻酔ってなんだろう・・・というような素朴な疑問等をイラスト付き、マンガ付きで説明されており、分かりやすく読める内容になっています。
白紙からの選択(講談社 2015)遠藤 保仁/著
少し前の本になりますが、自分の好きな選手であり、人柄や考え方が良く反映されている内容です。
健康保育学科
斎藤健司先生の読書ノート
人間性の進化 700万年の軌跡をたどる(日経サイエンス社 2005)馬場 悠男/著
Scientific Americanに掲載された総説を集めたものです。人類遺伝学を基盤に、文化・文明・表象・皮膚の色など、現生人類とそれにまつわる総説を取り扱っています。
恐竜ホネホネ学(日本放送出版協会 2006)大塚 則久/著
古生物学者による恐竜の骨格に関する一般向けの解説である。哺乳動物の骨は、どの骨とどの骨がどんな向きに関節し、その可動範囲はどの程度であるかを容易に推測できるという。一方、恐竜を含む爬虫類は、骨端で細胞分裂がおこるために、関節がルーズであり、関節面を見ただけではどの骨とどの骨がどんな向きに関節しているかを推測するのはむずかしいのだそうだ。関節したままの化石が出土しなければ、断定ができないらしい。そのため、復元者によって復元姿勢にかなりのばらつきが生じるという。
岡本邦広先生の読書ノート
心に太陽を持て(新潮文庫 1981)山本 有三/著
本書は、小中学生向けに書かれた感動的な逸話集です。1つ1つの逸話が短く書かれていてとても読みやすく、読み直すと今でも感動をもらい、よしがんばろうという気持ちにしてもらえます。特に、「キティの一生」「製本屋さんの小僧さん」が好きです。
ものの見方が変わる座右の寓話(ディスカバー携書 2022)戸田 智弘/著
本書は、77の寓話をとおして様々な角度から改めて、またこれまでにはなかった視点から、働くこと、学ぶこと、思慮深さ、考えること等の意味を考えることができます。寓話のひとつに、「男がある日、急いで外出しようとしたところ、鴨居に頭をぶつけまんじゅうのようなこぶをつくりました。しかし、男は痛いとも言わず、『有難い、有難い』と感謝するばかりだったそうです。なぜでしょうか?
努力論(岩波文庫 1991)幸田 露伴/著
表紙にもある「努力して居る、もしくは努力せんとして居る、ということを忘れて居て、そして我が為せることがおのずからなる努力であって欲しい。そうあったらそれは努力の新諦であり、醍醐味である」のフレーズが好きです。また、「福」には有福、惜福、分福、植福と様々な福があって、中でも植福が卓越しているとの記述があります。その説明を読んでなるほどと感心したことを思い出します。さあ、なぜでしょうか?
芝﨑美和先生の読書ノート
スマホを捨てたい子どもたち(ポプラ新書 2020)山極 寿一/著
インターネットに支配されることで人が失ったものは大きい。例えば共感力、身体感覚。人に特権的に与えられた「言葉」によって、人が本来豊かに備えていた能力が奪われていると本書は警鐘を鳴らす。ゴリラの世界から、人間の力を見直してみよう。今こそゴリラに学べ!
不安型愛着スタイル 他人の顔色に支配される人々(光文社新書 2022)岡田 尊司/著
ここ数年、愛着障害という言葉の認知度が急激に高まったように感じられる。精神科医の岡田氏は、愛着障害に関する著書を複数執筆されている。本書では、過去の偉人や誰もが知る有名人の事例とともに、愛着障害の型や克服法について詳細に説明されており、愛着障害という言葉に馴染みのない人にとっても読みやすい1冊である。子ども支援職を志す人は是非ご一読を。
渡部昌史先生の読書ノート
凍える牙(新潮文庫 2000)乃南 アサ/著
物語の展開がとても面白く、どんどん引き込まれていきました。まるで、洗面台に水を溜めて、一気に栓を抜くような感じで読みました。また、登場するヒトの心情が文字から伝わってきて心を揺さぶります。是非、手にとって、揺さぶられてみてください。
事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学(白揚社 2019)ターリー・シャーロット/著 上原 直子/訳
自分は、事実をしっかりとみつめて、適切な合理的な判断を下していると思っています。しかし、実際の判断には、他者が大きな影響を与えています。このことについて、著者が研究を通して、丁寧に紐解いていった本です。他者は、どうしたら動くのか、もしくは他者から自分はどのように影響を受けているのか、あなたのこれまでの生活してきた日々と、照らし合わせながら読んでみると面白いかもしれません。是非、手に取って読んでみてください。
ブラックボックス(講談社 2022)砂川 文次/著
感情が、自分の中でどのような時に生まれ、どのように暴れ、どのように落ち着くのか。言葉で感情の流れを表現することは難しいですが、作者はとても見事に表現していると感じました。また、物語を通して、その感情とどの様に向き合っていくのか、述べられています。皆さんが人生を考える際に活かしてほしい本です。
梶本佳照先生の読書ノート
メディア社会論(有斐閣ストゥディア 2018)辻 泉[ほか] 編著
私たちは、身の回りをいろいろなメディアで囲まれています。新聞やテレビがメディアの中心であった時代から、今では1人1人がスマートフォンを持ち、24時間多くの情報に接している状況です。このような中で、メディアが私たちの生活にどのように影響しているのかじっくりと考えたことはないのではないでしょうか。この本は、メディアが私たちの生活や考え方にどうのに影響を与えているのかについて気付かしてくれます。
オタク用語辞典 大限界(三省堂 2023)小出 祥子/編 名古屋短期大学小出ゼミ(2022・2023年度生)/著
オタクが使っている言語を聞いて、何を話しているのかわからないと思ったことはありませんか。この本は、オタクが使っている用語を名古屋短期大学小出ゼミ生12名が、2年間にわたって集めて解説した力作です。みなさんは、この本に収録されている用語をどれほどわかりますか。友達の“オタク”が話している用語がわからない時に、調べてみる時にもってこいの本です。
みんなで筋肉体操(ポプラ社 2019)NHK「みんなで筋肉体操」制作班/著 谷本 道哉/筋肉指導
みんなの筋肉体操は、NHKで放送されて話題になった番組です。「筋肉は裏切らない」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。この本は、その番組を筋トレのガイドブックとして作成したものです。メニューやフォームに隠された秘密から出演者の知られざる素顔までいろいろ楽しめるように作られています。筋肉体操は、筋肉の研究で博士号を取得され、自らの筋肉で検証されている筋肉博士の谷本道哉さんの指導のもとに考えられているので信頼性があります。みなさんも筋肉体操でかっこよく、若々しくなりませんか。
八尋茂樹先生の読書ノート
混沌時代の新・テレビ論(ポプラ社 2024)田淵 俊彦/著
大学生の頃マスコミ志望の私はCXというテレビ局でバイトをしていましたが、コンプラの無い時代で、現場は愉楽と絶望の隣り合わせの異様な空間でした。この本で事務所や省庁の圧力に対する忖度という歪んだ問題を読み、私の当時の辟易感の根っこを確認できました。マスコミに進まなかった私は、番組を作る裏側の黒い部分は夢がないので、楽しさだけを子どもたちに伝えていたら、教え子が踊る大捜査線の助監督になりやや複雑です。
ジャパニーズ・シティ・ポップ [増補改訂版](シンコーミュージック・エンタテイメント 2020)木村 ユタカ/監修
バブル期に大学生の私は、朝少し熱いシャワーを浴びて目を覚まし、朝日を背にして車でユーミンの言う中央ハイウェイを西に向かってドライブしてから大学に通っていました。その頃、車で流していた曲がシティーポップでした。ここ数年再ブームですが、知らない人はYouTubeで村田和人のDance with Meや一本の音楽を聴いてください。私には懐かしい、皆さんからすると新しい、そんな音楽がこの本には並んでいます。
〈クリティカル・ワード〉文学理論 読み方を学び文学と出会いなおす(フィルムアート社 2020)三原 芳秋[ほか]/編
文学好きには、純粋に作品の中に入って感情豊かに楽しむ人と、作品をより多面的に科学的に掘り下げる人がいます。主観的な思索の場合は文学批評で、客観的な場合は文学理論です。例えば精神分析に興味がある人は、ラカンやジジェクらの文学理論を参考に思索します。この本は文学理論の教科書のひとつです。文学理論を学んで作品に広がりを感じると、ひろゆきさん的「それってあなたの感想ですよね」に反論できるかもしれません。
加藤由美先生の読書ノート
子どもへのまなざし(福音館書店 1998)佐々木 正美/著
保育者時代に、尊敬する園長先生から勧められた本。「子どもを育てるということは、最高に価値のある、誇りのある仕事」との言葉のとおり、乳幼児期の育児の大切さや保育の仕事の価値について考えさせられる。本書と「続 子どもへのまなざし」「完 子どもへのまなざし」とで3部作となっている。
もうイライラしない!保育者のためのアンガーマネジメント : 実践トレーニング付き(チャイルド本社 2022)野村 恵里/著
アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングであり、日々人と関わる保育者にとっても有用なものである。本書では、アンガーマネジメントの基本と、その考え方が身につく簡単なトレーニングが掲載されている。また、子どもを対象とした保育の場でできる感情コントロールにつながるあそび案も紹介されている。
保育士という生き方(イースト・プレス 2018)井上 さく子/著
筆者は、長年保育士、園長として勤務してきた経験があり、それを現役の保育士や保育士をめざす若い方に伝えたいという思いから、本書を執筆されたとのこと。保育の世界で長年働いてこられた方の経験に触れられるのは貴重。保育の現場での実体験が様々なエピソードをもとに語られている。
本渡葵先生の読書ノート
小さな生きものたちの不思議なくらし(福音館書店 2009)甲斐 信枝/著
甲斐信枝さんは、長い時間をかけ、植物や昆虫を緻密かつやさしい水彩画で描く絵本作家です。この本は、甲斐さんによるエッセイです。日頃、甲斐さんがどのように周囲の植物や昆虫をみているのか、そのまなざしを感じることができます。ぜひ、甲斐さんの絵本とあわせて手に取ってみてください。
たんぽぽ(金の星社 1984)甲斐 信枝/作・絵
この絵本を読むたびに、たんぽぽの花びら、茎、綿毛などの細かい描画にはっとし、たんぽぽの一生について、思いを巡らせます。今度の春、学内のたんぽぽゾーンで日向ぼっこをしながら読んでみたいです。
たねがとぶ(福音館書店 1993)甲斐 信枝/さく 森田 竜義/監修
植物のたねは不思議がたくさんです。たねあそび、子どもは好きですよね。この絵本には、いろいろな植物(くさ)のたねが描かれています。
入江慶太先生の読書ノート
弥縫録 中国名言集(中公文庫 1986) 陳舜臣/著
突然ですが「破天荒」の意味は分かりますか?「豪快」「乱暴者」だと思ったあなた、それは間違っています。このように、時々目や耳にする言葉であっても、本来の意味とは違った意味で覚えていることがよくあります。この本は104の名言・名句の本当の意味を、歴史を絡めながら分かりやすく教えてくれる文集です。著者は直木賞作家、しかしとにかく読みやすい!では次に……「折檻(せっかん)」の本来の意味は分かりますか?
私が野球から学んだ人生で最も大切な101のこと(海竜社 2011) 野村克也/著
書店で手にとっては元の場所に戻され、買ってはすぐ売られていった自己啓発本の中で、いまだに私の書棚に残っている名著です。101の格言はプロ野球選手や監督として過ごしたエピソードを基に書かれていますが、それ以外の世界にも通じる力を持った珠玉の言葉が並べられています。特に、人間関係や社会の理不尽な出来事に納得いかないときに読むのがおススメです。著者は2020年に逝去されましたが、あなたの本に出会えてよかった!
愛してるよカズ 小児ガンと闘った母親と息子の愛の記録(長崎文献社 2008) 光武綾/手記
小児がんに冒され、7歳でこの世を去ったカズ君の臨終の瞬間まで描かれた手記&DVDです。クラウンDrであるパッチ・アダムスは「医療は死を遠ざけるために使うのではなく、生の質を高めるために使うものだ」と言っています。自分が今をどれだけ熱く、誠実に、真っ当に過ごしているかをカズ君の生き方が教えてくれる、そんな本です。彼が息を引き取る瞬間にお母さんがとった驚きの行動は、何度見ても胸が締め付けられます。
立浪朋子先生の読書ノート
完訳 日本奥地紀行(平凡社 2012~2013)イザベラ・バード/著 金坂 清則/訳
ふしぎの国のバード(KADOKAWA 2015~)佐々 大河/著
明治初期のイギリス人女性による日本旅行記。イギリス人女性の目から見た当時の日本の様子、日本人の姿が描かれています。そこには私たちの知らない日本が。豊富な注釈も興味深いです。もし難しいと感じる場合は、イザベラ・バードの旅を漫画化した『ふしぎの国のバード』から入ると良いでしょう。きっと原作も読みたくなります。
新編 日本古典文学全集源氏物語(小学館1994~1998)紫式部/著 阿部 秋生[ほか]/校注・訳
2024年の大河ドラマの主人公は紫式部。きっと源氏物語に関するたくさんの本が出版されることでしょう。楽しみですね。源氏物語は多くの方が現代語訳をされていますので、お好みの訳で読んでみてください。そのなかでも小学館の全集は原文、現代語訳、注釈が読みやすく配置され、特に注釈が面白い。この全集は本学図書館に揃っており気軽に読めます。是非この贅沢な環境を堪能してください。
あさきゆめみし完全版 源氏物語(講談社 2017)大和 和紀/著
源氏物語をいきなり読むのは大変に感じるかもしれません。まずはあさきゆめみし、というのは源氏物語を楽しむための鉄板コース。華麗な絵と物語に魅了された後、ぜひ現代語訳を手に取ってみてください。
竹下可奈子先生の読書ノート
西洋音楽史再入門(春秋社 2016)村田 千尋/著
西洋音楽史を「楽譜」「楽器」「人」「社会」の4つの視点から読み解いている本です。西洋音楽における様々な要素がいかに変容していったのか、当時の社会状況や人々の意識と結び付けながら分かりやすく説明されており、面白い内容となっています。中世から現代まで、音楽がいろいろな影響を受けながら途切れることなく変化してきたことが感じられます。
なんたってモーツァルト(東京書籍 1989)砂川 しげひさ/著
漫画家の砂川しげひささんが、モーツァルトや彼の作品にまつわるエピソードなどについて、冗談を交えながら綴っているエッセイ本です。かなりくだけた文章で書かれているので、とても読みやすいと思います。作中では様々なモーツァルトの作品が紹介されているので、出てくる曲を聴きながら読んでみるのも楽しいです。
久恒拓也先生の読書ノート
学びを結果に変える アウトプット大全(サンクチュアリ出版 2018)樺沢 紫苑/著
卒業論文やレポートを書く学生は、よく「考えてからでないと書けない」とつぶやいています。しかし、本書が紙幅を多く割いている「書く」アウトプットには脳の活性に重要な働きがあるとのことで、学生諸氏には書きながら考えることにもチャレンジしてほしいと思った1冊です。
Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法(サンマーク出版 2019)ロルフ・ドベリ/著 安原 実津/訳
この手のタイトルの図書は期待外れに終わる、と思っている方は、半分は当たっていると思います。しかし、自分に必要な部分を探して読める構成になっているため、期待通りの内容にも容易に巡り合うことができます。個人的に「必要なテクノロジーだけ持とう」「不要な心配ごとを避けよう」「本当に価値のあるものを見極めよう」などの項目は参考になりました。
高橋彩先生の読書ノート
障害理解のリフレクション 行為と言葉が描く〈他者〉とともにある世界(ちとせプレス 2023)佐藤 貴宣[ほか]/編
多様なバックグラウンドをもつ執筆者陣がそれぞれの切り口から障害理解について振り返るきっかけを与えてくれます。何度も読み返したい一冊です。
これからの障害心理学 〈わたし〉と〈社会〉を問う(y-knot 2023)中島 由宇[ほか]/著
身近なところから「障害」について考え、考えを揺さぶられる非常に優れた入門書です。学びの確認や深化のためのウェブサポートページも用意されていて障害心理学について学びたい人にはおすすめの一冊です。
ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた 障害者×支援=福祉??(明石書店 2023)山口 政佳/著 田中 康雄/ゲスト
ADHDの著者自身が支援者としてグループホームを運営していく中で感じる、きれいごとで済まされない、リアルな感情や思いが綴られています。支援者としての自分を見つめなおすために、折に触れて読み直したい1冊です。
松島英恵先生の読書ノート
子どもの心が見えてきた 学びの物語で保育は変わる(ひとなる書房 2011)福島大学附属幼稚園[ほか]/著
ニュージーランドのテ・ファリキを原理とする「学びの物語」との出会いによって、これまでの指導計画重視の保育から、日常の些細な出来事の中から子どもの育ちをみとる保育へと変わっていったという、幼稚園の保育実践研究について書かれています。子どもの見方が変わると保育が変わる。子どもの姿が肯定的に見えてくると保育が楽しくなる。子どもと共に創る保育を目指すには保育者自身の保育観をみつめなおすことが大切ですね。
いやいやえん(福音館書店 1962)中川 李枝子/作 大村 百合子/絵
著者の中川李枝子さんが保育園勤務2年目の時に書かれた作品です。子どもの現実や想像の世界をおりまぜて、7つのお話にまとめられています。現代の価値観で読むと「不適切保育」になってしまうかもしれない描写もありますが、子どもの世界に寄り添い、一緒に楽しむ感覚は普遍的なものです。その時々で変わるのですが、今は「くじらとり」が一番好きです。こんな楽しい世界を、子どもと一緒に創りだせる保育者が理想です。
孤宿の人 上・下巻(新潮社 2009)宮部 みゆき/著
四国の丸海藩という架空の藩を舞台とした時代小説です。どすんと重たくて、涙がとまらなくなり、エネルギーのある時にしか読めない本ですが、現実のあれこれを忘れて物語の世界にどっぷり浸かれます。
福武幸世先生の読書ノート
日英対訳 英語で話す世界情勢(IBCパブリッシング 2023)山久瀬 洋二/著
地球上で抱える様々な課題に触れ、日英対訳で解説された優れた書籍です。
取り上げられたトピックは新しく、ウクライナ問題から世界経済、文化など、約30の記事が収められています。これらの記事は単なるニュース的な見解を紹介するだけでなく、歴史的で文化的な背景を踏まえた考察がなされており、課題の本質に迫る示唆に富んだ内容となっています。さらに和文だけでなく英文も掲載されており、世界の重要な課題に関連する英単語や表現を学ぶ良い機会となります。各記事は短く、10分ほどで読み終えることができます。手軽に取り組めるので、少しの時間を使って視野を広げてみるのはいかがでしょうか。
禅ごよみ365日(誠文堂新光社 2019)桝野 俊明/著
技術の進歩が目まぐるしく、日常には過剰な情報があふれる中で、禅の心が見失われつつあります。禅の心は、瞑想や精神的な静寂を通じて内面の平穏と洞察を追求することを重視し、これが日本人の精神面に深い影響を与えています。また、禅の教えは、緊張感を和らげ、深い理解と感謝の心を育むものであり、これが日本文化における人間関係や社会の在り方にも影響を及ぼしています。日めくりで禅語との縁を楽しんでみることで、内面の静けさと洞察を深める一歩となるでしょう。
地域福祉学科
松本百合美先生の読書ノート
風景をつくるごはん 都市と農村の真に幸せな関係とは(農山漁村文化協会 2023)真田 順子/著
本の題と美しい写真に惹かれて購入しました。しかし、序章で農村風景の写真が紹介され、著者は美しくないと感じたと述べています。なぜか?その一角にビニールハウスが写り込んでいるからです。この一文は、私にとっては非常に腹立たしいものでした。そこに暮らす人々の営みを、部外者がしかも『風景』として評価するというのにはかなり抵抗があるからです。しかし、私たちの暮らしぶりが変われば風景も変わるというところに行きつきます。ものを見る時の視点が広がる1冊です。
書楼弔堂 待宵 (集英社 2023) 京極 夏彦/著
書楼弔堂シリーズ第3弾です。今回は徳富蘇峰や斎藤一、絵を描く前の竹久夢二などです。現実にいた人々の人生のストーリーの中に、フィクションが織り交ぜられてそうだったかもしれないと思わせるとことが、本シリーズの面白いところです。思想家などはなじみが薄いので、登場する人物を予習して読むと更に楽しいです。今回の語り手は、新政府軍との闘い、そして敗れた徳川幕府側の元武士です。それまでの世の中がひっくり返る時代を生きた人の思いが所々に語られます。
ふるさとの笑顔が、咲き始める場所(幻冬舎 2021) 田中 志子/著
群馬県沼田市にある内田病院での取組みです。地域包括ケアシステム構築に向けて、病院を中核にしたまちづくりの実践です。まちづくりや地域包括ケアと言うと、病院や介護施設などの専門機関は、端っこに描かれ、「最後はそこへ」という位置づけになりがちですが、医療機関・介護機関等が担うべき役割は大きいのです。地方の小さな町にあって、どこが担うかというより、何をどのように行うかが大切だという思いを新たにする1冊です。
山内圭先生の読書ノート
サパタ(Zapata)(スタインベック全集18)(大阪教育図書 1999) ジョン・スタインベック(John Steinbeck)/著
スタインベック研究者として毎年彼の作品を紹介しています。この書は、メキシコの革命家エミリアーノ・サパタ(Emiliano Zapata)について書かれています。現在、僕は研究仲間たちと文学作品の中に歴史的人物がどのように描かれているかについて共同研究を進めていて、この書を丹念に読みなおしています。サパタがどのようにして民衆のリーダーになっていくのか考えながら読んで行くとおもしろいです。
ユダヤ系アメリカ文学のすべて 十九世紀から二十一世紀(小鳥遊書房 2023) 日本ソール・ベロー協会/編
僕の執筆書の宣伝になってしまいますが、ユダヤ系アメリカ作家の研究をする日本ソール・ベロー協会でまとめた書です。僕は、アルフレッド・ケイジン(Alfred Kazin)についての章を執筆しています。奇遇ですが、ケイジンは僕が生まれるちょうど50年前に生まれ(誕生日も同じ)、そして、自分の誕生日に亡くなっています。何か運命的なものを感じます。その他のユダヤ系作家についての考察も読みごたえがあります。
ガラスの街(City of Glass)(新潮社 2009) ポール・オースター(Paul Auster) 著 柴田 元幸/訳
ユダヤ系のアメリカ作家ポール・オースターの作品です。元々読みやすい上、翻訳も素晴らしいため、読み進めやすいと思います。作品の出だしが秀逸です。この物語に、ニューヨークの街歩きの場面が出てきますが、是非一度、この書を手に持ち、話に書かれている通りにマンハッタンの街を歩いてみたいと思います。オースターはほぼ全ての作品が日本語に翻訳されていて、映画化もされている作品も多く、お薦めです。
ゼロの焦点(新潮文庫 1988) 松本 清張/著
この話の舞台の一部は、正月に能登半島地震が発生した石川県です。何度か映画化やドラマ化がされているので、映像で見た人もいるかもしれませんね。僕がこの本を読んだきっかけは、この小説の2009年の映画化作品に親戚がエキストラとして出演し、その映画を見た後に、原作を読んでみたことです。あらすじを書くのは控えますが、能登地方の復興を願いながらこの作品を読んでみるのもよいでしょう。
赤ヘル1975(講談社 2013) 重松 清/著
野球好きとして前から気になっていた書でしたが、昨年岡山市の吉備路文学館で「重松清ヒストリー展」が開催されたので、展覧会鑑賞前に読みました。多くの学生の皆さんは直接知らない昭和時代が描かれています。主人公の少年の離婚家庭の様子、転校生の気持ちなども描かれ、主人公の生活が広島東洋カーブの優勝に向けての闘いを織り交ぜながら当時の世相や文化もうまく取り込んで素晴らしい物語に仕上げられています。
覇王の家 (新潮社 1997) 司馬 遼太郎/著
昨年のNHK大河ドラマは『どうする家康』で徳川家康の話でした。また歴史小説家の司馬遼太郎は、昨年が生誕100周年の年でした。そしてNHKの『100分de名著』で、この書が取り上げられ、その影響で家康についての司馬遼太郎のこの書を読んでみることにしました。この書では家康が成長し天下を取るまでが描かれ、結末部分は家康の臨終場面です。さらに司馬遼太郎の『関ケ原』と『城塞』も読みたいと思います。
沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書 2020) 樋口 耕太郎/著
学生の皆さんの長期休暇の感想文は教員が交代でチェックをしていますが、これはある学生が読んでいた書で、その学生の感想文を読ませてもらう前に読んでみました。僕はまだ沖縄に行ったことがないので、沖縄の状況は間接的にしか把握できていませんが、沖縄の現状を独自の視点で分析した、とても深い本です。沖縄問題は非常に根が深いということも理解できました。人間関係についての言及もあり有益です。
君が夏を走らせる(新潮社 2017) 瀬尾 まいこ/著
これも、ある学生の感想文をチェックするために読みました。高校生の(しかもろくに学校に行っていない)主人公が先輩夫婦の娘のベビーシッターのアルバイトを頼まれるという設定に読み始めは不自然さを感じましたが、読み進めるうちだんだんと物語に引き込まれて行きました。感動的な書でした。子育て、親子関係などいろいろと考えさせる小説です。いないいないばあのシーンでは、自分の子育てのことを思い出しながら読みました。
ライオンのおやつ (ポプラ社 2019) 小川 糸/著
同じくこの書も、学生の感想文をチェックするために読んだものです。とても感動的でした。言葉でこのように感動できる話を作ることができる小川 糸さんという作家は、本当に素晴らしいと思います。ホスピス、親子関係、死、おやつなどについて考えさせられます。あらすじは明かしませんが、自分なら何のおやつを選ぶかなと考えました。看護・福祉・保育を学ぶ学生の皆さんに是非読んでもらいたいと思う作品です。
ともぐい (新潮社 2023) 河﨑 秋子/著
僕は近年、直木賞や芥川賞の候補作が発表されるとそれらを読み受賞作を予想していますが、本書は第170回直木賞候補作品です。本原稿執筆時、まだ受賞作は発表されていませんが、私は動物の描写が秀逸で、スケールが大きい話であるこの作品が今回の直木賞を受賞するの予想しています。以前の受賞作である千早茜の『しろがねの葉』を彷彿とさせる作品だとも言えます。河﨑秋子さんの『絞め殺しの樹』もおすすめです。
山本浩史先生の読書ノート
それでも私は介護の仕事を続けていく(KADOKAWA 2023)六車 由美/著
(出版社紹介より)デイサービスを自宅の一階に移し、軌道に乗り始めた矢先のコロナ禍。想像以上の困難に直面した約3年、「介護」とはいかなる営みかを現場で問い続けながら見えてきた希望と、新たな「介護民俗学」の形とは。
・筆者は介護民俗学を提唱し、介護の現場に身を置きながらも民俗学者の立場から聞き取りをまとめ文字化する六車氏である。介護とは何かを考えるひとつのヒントになるのではないだろうか。
なぜ格差は広がり、どんどん貧しくなるのか?『資本論』について佐藤優先生に聞いてみた(Gakken 2023)佐藤 優/著
(出版社紹介より)【予備知識ゼロでも大丈夫。現代の「つらい」を『資本論』から理解する】「どうして毎日満員電車に乗って会社に出かけて、夜遅くまでクタクタになるまで働かなければいけないのか?」「どうして生活していくギリギリの賃金しかもらえないのか?」「嫌な上司になんで我慢して従わなければいけないのか?」
・マルクス『資本論』を佐藤氏がわかりやすく解説している著書でもあり、共産主義的イデオロギーを強調するものではなく、現代の資本主義による矛盾について考えさせられる1冊になると思う。
高杉公人先生の読書ノート
コミュニティデザインの時代 自分たちで「まち」を作る(中央公論新社 2012)山崎 亮/著
山崎亮氏が、人のつながりを「デザインしないデザイナー」として人と共に描いてきた軌跡を綴った「コミュニティデザイン」の実践書である。本書は、彼自身が手掛けてきた「コミュニティデザイン」プロジェクトの紹介だけでなく、プロジェクトに関わり始めた動機や背景が描かれており、人間としての山崎亮を理解できる内容となっている。
広告コピーと100の物語(大学教育出版 2021) Ominae/著
素早く、しかも心に響くメッセージを送ることの出来るチラシやポスター作りをしてみたい学生に参考になる本である。特に現代の若者が悩みがちなテーマについて厳選された100の広告コピーと、その背景となるストーリーをまとめたエッセイが紹介されており、自分自身の「心が動く言葉」を見つけることの出来る本である。
ザ・プレゼンテーション 人を動かすストーリーテリングの技法(ダイヤモンド社 2012)ナンシー・デュアルテ/著 中西 真央美/訳
この本はスティーブ・ジョブズ、レーガン元大統領、キング牧師等の心に響く歴史的なプレゼンテーションの事例を取り上げて「共通する仕掛け」を見出している。そして、優れたプレゼンテーションを行う為の「型」を体系化して、誰でも使えるように工夫がされている。今やすべての業界で活躍するために必要な「プレゼンテーション」の肝を発見できる内容となっている。
三上ゆみ先生の読書ノート
じい散歩(双葉文庫 2023)藤野 千夜/著
主人公の新平88歳と妻英子87歳のゆるゆるとした今を描いた1冊です。息子3人は全員独身、長男は引きこもり、次男は男性の恋人の自称長女、3男はアイドルイベントの主催をしており親へ金の無心継続中。それぞれの生き方を誰もが思い思いで過ごしている。家族だからこそ肯定しながら生きる、まるで隣のおうちを覗いたような気持になる作品です。
こどもホスピスの奇跡(新潮文庫 2023)石井 光太/著
大阪市に民間発の小児ホスピス「TURUMIこどもホスピス」が2016年に誕生しました。ここは看取りのための施設ではなく、難病の子どもに居場所を提供し、家族みんなが楽しめる場所であり、治療を離れ笑って過ごす思い出作りの場所です。またスタッフは友達を目指しています。この施設の設立に向けて奮闘した感動の記録です。
ぼけますから、よろしくお願いします。(新潮文庫 2022)信友 直子/著
2018年に同タイトルの両親の老々介護を追ったドキュメンタリー映画が、じわじわ全国の映画館で広まり、有名な作品となり自身何度見ても心に残る作品となりました。その映画は優しい夫婦の物語ですが、本書は、映画にはあまり描かれなかった監督でもある娘「直子」の心情が描かれ、当時の詳細を伺うことができます。活字を通して伝わる家族の深い思いが描かれておりDVD視聴と合わせて読まれるのもお勧めです。
鄭丞媛先生の読書ノート
2020年代初頭の医療・社会保障 コロナ禍・全世代型社会保障・高額新薬(勁草書房 2022)二木 立/著
『2020年代初頭の医療・社会保障』は、厚生労働白書や各種報告書等の複眼的な分析を通して、コロナ危機後の医療提供体制、政府の改革方針、全世代型社会保障、財務省のスタンスの変化、社会保障の理念と医療経済を解説している。コロナ危機後の医療・社会保障のより深い理解につながる書である。
地域包括ケアシステムの深化と医療が支えるまちづくり ソーシャルインクルージョンとSDGs(東京大学出版会 2022)田中 滋/監修 田城 孝雄、内田 要/編
少子高齢化時代の日本における医療・介護・福祉の統合とまちづくりに光を当てる本書は、豊富な事例を通じて地域包括ケアシステム、SDGs、健康都市政策を検討している。本書は医療機関の社会的役割と地域貢献への多角的な視点から、実践的なソリューションと未来への展望を示唆している。
井上信次先生の読書ノート
出自とは、親子とは 知りたい子どもと匿名でありたい親(生活書院 2023)新田 あゆみ/著
AIDによって出生した子どもは、現在、「出自を知る権利」の中で議論されている。AIDとは第三者の精子提供による人工授精を意味する。本書は、そのようなAIDや「こうのとりのゆりかご」に預けられた人たちの「出自を知る権利」、「親たちが守りたい匿名性」等についてまとめたものである。家族(・親子)とは何か、「血の繋がり」とは何かに関心がある人に是非とも読んで欲しい。
地域共生ホーム 知的障害のある人のこれからの住まいと暮らし(中央法規 2019)全国知的障害者施設家族会連合会/編著
障害がある人の施設以外での生活を促す地域移行は、ノーマライゼーション、脱施設化等の流れの中で重要な取り組みである。本書は、既存の障害がある人を支援する施設の現状を見つめ直し、「地域共生ホーム」という視点を提示している。最新の状況を含んでいるとは必ずしも言えないが、障害がある人が地域で生活することはどういうことなのか、を考える契機にしてほしい。
東大生、教育格差を学ぶ(光文社新書 2023) 松岡 亮二[ほか]/編著
教育格差や勉強意欲等について、座談会形式でまとめられた書物である。教育格差は貧困問題とも関係する社会問題であり、本人の社会経済的地位に影響されることが多い。タイトルには「東大生」とあるが、東大生について書かれた書物ではない。教師と生徒の関係や、子どもと保護者との関係についても話題が提供されている。学校や教育に関心がある人だけでなく、社会問題全般に関心がある人にぜひ読んで欲しい。
加藤雅彦先生の読書ノート
老人支配国家日本の危機(文春新書 2021) エマニュエル・トッド/著
著者のトッドは、歴史人口学者、家族人類学者であり、親日派である。この本において豊富な知識からコロナ禍中の日本に助言する。核兵器を持てなど乱暴なことを言うが、幕末以来の危機である人口減少・少子高齢化(彼に言わせると日本の老人のせいだそうだ。)により外国人の受入れを拡大せよとも言う。取材、対談をそのまま著述にしてあるので安易に読める一方、今の日本に対する新しくおもしろい意見を知ることができる。
家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで(文藝春秋 2023) 石川 結貴/著
認知症の両親を施設に入れた私は、両親がどう思おうとも施設で最期を迎えてもらうつもりでいる。なぜならば、自分の身に置き換えてそういう最期になると仮定しても、全く抵抗がないからだ。この本の著者は、その逆を選んだ。すなわち、経済的にも肉体的にも時間的にも,そして精神的にも自分を犠牲にしてひとり暮らしの父親をその家で看取ったのだ。施設で死にたいか、自分の家で死にたいか。読後に皆さんはどう思うだろうか。
松田実樹先生の読書ノート
幸せのメカニズム(講談社現代新書 2013) 前野 隆司/著
幸せって何だろう?どうすれば人は幸せになれるのか?福祉と密接に関わる幸せや幸福について、実はどんな要因が関係するのかという多くの研究がされています。これまでに研究されてきた幸福に影響する要因は48項目あるそうです。幸福に生きるとはどのようなことなのかをこの本を通じて考えてみませんか。
社会に出るあなたに伝えたい なぜ、いま思考力が必要なのか(講談社+α新書 2020)池上 彰/著
情報にあふれている現代において、自分が知りたいことを正しく理解するためには、何が事実なのかをしっかりと見極める力が必要です。そのためにも、事実を調べ、積み重ねる過程で考え、判断していくことが求められます。社会で困難にあっても、それを乗り越えるためには、自分の考えや視点を色んな角度から持ち、思い込みに囚われず、一歩引いて考えてみることが大切なのだと気づかせてくれる一冊です。
「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性(ちくまプリマ―新書 2022)信原 幸弘/著
現場に出ると、大学で学んだ様々な知識を状況に合わせて応用していく必要があります。でも、そのためには基本を理解しておかないと応用なんてできません。そんなやりとりを一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。本書は、自身が得た知をどう活用していけばよいかを、物事を覚える、理解する(わかる)という言葉を手掛かりに考え、知識を深めるために意識すべきことは何かを考えるきっかけになると思います。
合田衣里先生の読書ノート
棚からつぶ貝(文藝春秋 2023)イモト アヤコ/著
珍獣ハンターとして有名なイモトさんのエッセイ集です。彼女らしいクスっと笑えて、何となく元気がでてくるような話がたくさん書かれています。1話が3ページ程度と短いので、隙間時間に楽しく読めます。
発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法(SBクリエイティブ 2022)岡田 尊司/著
精神科医で作家の著者が実際に対応してきたケースや有名人の例を挙げながら、具体的に発達障害「グレーゾーン」について解説されています。グレーゾーンの人は、障害レベルの人と比べて生きづらさが弱まるわけではない、強みと弱い点を理解することが大切と説明されています。
ヤングでは終わらないヤングケアラー きょうだいヤングケアラーのライフステージと葛藤(クリエイツかもがわ 2021)仲田 海人、木村 諭志/編著
それぞれが、きょうだいヤングケアラー当事者であり、作業療法士、看護師という専門職の一面をもつ2人が様々な人の体験談や調査結果からきょうだいヤングケアラーについて書かれています。ヤングケアラーの多様性だけでなく、ライフステージ別の問題点が具体的に述べられています。著者の強い思いが伝わる1冊です。
朴 蕙彬先生の読書ノート
現実はいつも対話から生まれる(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2018)ケネス・J・ガーゲン、メアリー・ガーゲン/著 伊藤 守/監訳
社会構成主義について学んでみませんか。私たちは何かについて現実であると定めるときに、文化特有の言語、見方、話し方など社会的に構成されたものが影響されるようです。自分が生きてきた文化や社会に作られてきたものは、どのように語り、合意してリアルになったでしょうか。「目から鱗」のような発見や「なるほど!」と思いながら読むことができる本です。
超雑談力 人づきあいがラクになる誰とでも信頼関係が築ける(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019)五百田 達成/著
本学のみなさんは必ず人とかかわるような仕事に就く分野での学びをされていると思います。「コミュ力」という言葉もありますように、どうすれば人と信頼関係を築く・会話が弾むなどができるでしょうか。この本は、どこからでも好きなページから読める「話し方のコツ満載」と紹介される1冊です。実習や大学での学び、就活などいろんな場面で活用できる具体例が掲載されているので、ぜひ手に取ってみてください。
地域を変えるデザイン コミュニティが元気になる30のアイデア(英治出版 2011)issue+design project/著 筧 裕介/監修
人口減少、少子高齢化、過疎化などいろんな地域の課題と言われるものについてどのように変えていくことができるかについて学びたい学生が本学には多いと思います。全国の先進事例と言われる地域を訪れて調査することができれば最もよいと思いますが、現実的にそれは厳しいことですね。本書は、このような問題意識のある方にとって全国にある先進事例集として活用できると思います。新しいアイデアは意外と近くにあった!という気づきができる本です。
高橋順一先生の読書ノート
「政策評価」の理論と技法(多賀出版 2004)龍 慶昭、佐々木 亮/著
専門用語を排除して学べる政策評価の本です。国や自治体等で行われている政策や事業の効果が出ているのか、問題があるとすればどこにあり、どのように改善していくべきなのかについて、検討する手法を理解できます。予算や人材確保などから実施回数、参加率、満足度、QOLなどアウトカムに至るまでの因果関係図(ロジックモデル)を作り、それを質的・量的に分析する方法が分かりやすく書かれています。
児童相談所一時保護所の子どもと支援[第2版](明石書店 2023)和田 一郎、鈴木 勲/著
児童相談所の一時保護所における子どもへの支援について、児童福祉法改正を反映して書かれている最新の1冊です。一時保護所の成り立ちから、ガイドライン、子どもが過ごす環境づくり、第三者評価、職員研修について詳しく説明されています。さらに、子どもの権利の視点や、様々な自治体における取り組みについても紹介されていて、非常に学びの多い本です。
日本の児童相談所 子ども家庭支援の現在・過去・未来(明石書店 2022)川松 亮[ほか]/編著
子ども虐待への対応に加え、多角的な支援を行う児童相談所について学べる本です。児童相談所職員や研究者、医師、弁護士ら子どもに関わる様々な専門家の視点から、現代の児童相談所の取り組みや課題について書かれています。児童相談所の相談内容や、子ども虐待への対応の流れ、子どもの権利を守る取り組み、子どもと家族を地域や社会的養護と協働して支援する方法について、具体的に学べる重要な1冊です。
泉宗孝先生の読書ノート
母親になって後悔してる(新潮社 2022)オルナ・ドーナト/著 鹿田 昌美/訳
2023年11月現在、イスラム組織ハマスとイスラエルの争いは続いています。そのような緊張状態にあったイスラエルで暮らす「母親」たちへのインタビューによって、この本は執筆されています。日本とは違う環境や価値観の中における「母親」とは一体どのようなものなのでしょうか。題名にもなっている「母親になって後悔してる」という意味とは?…と思われた方は、ぜひ読んでその答えを見つけていただければと思います。
ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書 2019)宮口 幸治/著
様々な問題を抱える少年たちは、どこで「非行」という悪循環に足を踏み入れ、本人たちも気づかない間に、世の中の「普通」から逸脱してしまったのだろうか。悪いことをしても、「反省をしないのではなく、できない。反省できるほど見通せない」少年とは…?社会的養護や児童家庭福祉に興味がある方には、一度手に取っていただきたい作品のひとつです。
きみが校長をやればいい 1年で国立大合格者を0人→20人にした定員割れ私立女子商業高校の挑戦(日本能率協会マネジメントセンター 2023)柴山 翔太/著
題名からすれば、教員のお話なのかな…と思いますが、それだけではありません。皆さんのほとんどは大学を卒業し、様々な組織に属しながら働くかと思いますが、こちらの作品は働く際の考え方をわかりやすく提案してくれています。挑戦を楽しむ先生と子どもたちのお話はとても素敵です。なんとなく失敗が怖くて守りに入ってるなぁ…と感じたことがある方はぜひどうぞ。
柳廹三寛先生の読書ノート
努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論(ロゼッタストーン 2013)芦田 宏直/著
本を読み進めていくと、何だ!という思いで必死に反論をしたくなるような本であり、自分で考えようというモチベーションを掻き立てる仕掛けがたくさんある1冊です。是非、読んでみてください。
なぜ、あの先生は誰からも許されるのか? 同僚・上司、子ども・保護者と上手につき合う(東洋館出版社 2013)吉田 和夫/著
息が詰まりがちになる職場でうまく人間関係を作っていくための先輩からのお話です。これから社会に出ていく皆さんの参考になるのではないでしょうか?
岸本由梨枝先生の読書ノート
君たちはどう生きるか (マガジンハウス 2017)吉野 源三郎/原作 羽賀 翔一/漫画
昨年、ジブリ映画が公開されこの本を改めて読んでみました。人生100年時代となり、皆さんはこれからの人生をどう生きたいですか?本書に書かれている内容は、ごく当たり前のことかもしれませんが、人生を生き抜く中での倫理観や物の考え方、視点について改めて考えさせられる1冊だと思います。ぜひ、手にとって読んでみてください。
なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学(クロスメディア・パブリッシング 2022)和田 秀樹/著
思わず明るい笑顔の女性の表紙に目が奪われました。長い人生・・・誰しもうまくいかせたいという想いは少なからずあると思います。本書は、そんな人生をうまくいかせるコツとして笑顔の効用や物事の考え方(心のクセ)、習慣等が紹介されています。人を変えることはできませんが、自分は変えられます。本書を読んでできることから始めてみませんか。
長宗武司先生の読書ノート
経済学を知らずに医療ができるか!?(金芳堂 2020)康永 秀生/著
いつも医療や福祉を学んでいる学生のみなさん、社会保障や医療制度を学んでいて、「なんでそんな制度になっているの?」と疑問に思ったことはありませんか?実は医療や福祉の制度の裏には、経済学の合理的な考え方が隠されているものが少なくありません。本書を読めば、「そういう理由でこの制度になっているんだ」と納得するかもしれません。
ビギナーズ 哲学(ちくま学芸文庫 2012)デイヴ・ロビンソン/著 鬼澤 忍/訳
「哲学は学問の母」という言葉があります。保育・看護・福祉、あらゆる分野において、哲学は全ての学問のベースとなるものです。とはいえ哲学は難しそう・・・。そのような人にとって、本書はイラストが豊富であらゆる哲学者の考え方を簡潔に理解することができます。大学生のうちに哲学の基礎の基礎を学んでみてください。
「風の時代」に自分を最適化する方法 220年ぶりに変わる世界の星を読む(講談社 2020)Yuji/著
「土の時代」、「風の時代」という言葉を聞いたことがありますか?約200年ごとに変遷する時代の中で、「土の時代」は組織や全体で協調することが重視されてきました。2020年末から世界は「風の時代」に突中し、時代は大きく変わり始めています。「風の時代は“個人”の時代」。一つの例として、家族全員で同じテレビ番組を観る世界から、個人個人のスマホで自ら情報を得て発信する世界へ変わっています。そのような時代の大きな変化の中でどのように生きていくか、そのヒントが本書に記されています。