新型コロナウイルス感染症対策と本学の学びの方針について


2021年5月31日 学長 公文 裕巳

 東京 大阪 兵庫 京都を対象に本年4月25日から5月11日の期間で発出された3回目の緊急事態宣言に、5月12日からは愛知県と福岡県が加えられ期間が5月31日までに延長、5月16日より北海道 岡山 広島、5月23日に沖縄が追加されました。この10都道府県の緊急事態宣言が6月20日まで延長されました。新型コロナウイルス感染症は、変異株N501Y(イギリス株)に加えてインド株の出現もあり、今後も感染拡大に対して十分に注意していく必要があります。

 しかし、本感染症の「人から人へ飛沫を介して感染が拡大するという本質的な伝搬様式」は変化するものではなく、昨年1月からの知見をもとに、「正しく恐れることが最も重要です」*。つまり、感染者との濃厚接触のみが感染機会となるものです。市中感染といっても街中の不特定の場所の空気中にウイルスが浮遊していて空気感染することはなく、街中にいる不特定の感染者(約80%は無症状か軽症の感染者)との濃厚な接触機会が存在する状態のことです。確かに、変異ウイルスの感染力の増強により、野外でのバーベキューなど必ずしも3密の無い状態でのクラスターの発生や家庭内での感染拡大の事例が増加していますが、これらも感染者との濃厚接触が原因であることは明らかです。

 大学として守るべきは皆さんの健康と質の高い学びであり、それを支える心の交流の場です。「学内への学生の立ち入りを禁止します」という県南の一部の大学の対応は、種々の環境要因が異なっている本学の感染対策としてとるべき方策ではないと思っています。同様に、全てをオンラインの授業に切り替えることは、現状では学びの質を維持して実施するには現実的ではないと判断されます。
 大学としては、「学生の皆さんを不特定の多数者ではなく、感染予防を実施している特定の集団」と考えています。そのために、皆さんに日々の健康チェックや行動履歴の報告をお願いしています。同様に、教員はコロナウイルス感染症の病態を理解して感染対策を実施していますので、「現在実施している対面での授業は、特定の集団での安全な学内活動」であると判断しています。
 但し、全員が協力して実施できている体制が望ましいのですが、必ずしも100%実施できていないこともあり、濃厚接触の機会となりうる部活・サークル活動等の自粛をお願いしています。同様に、不特定多数との接触機会となる行動やアルバイトの自粛、特に、「アルコールを提供する場、カラオケを提供する場でのアルバイトを禁止」しています。なお、学生の皆さんが、お互いに協力して100%の特定集団になって欲しいと思っていますが、自粛警察のような行動は控えて下さい。
 また、電車等での通学について、車内で感染者との濃厚接触となる機会や状態は回避できますので、特に感染機会になるとは判断していません。但し、マスクの着用と会話の自粛は必須です。したがって、岡山や倉敷からの通学が原因で感染することは通常ありえないと考えています。

 以上、6月1日より緊急事態宣言が延長されますが、本学の学びの方針に変更の無いことをお知らせします。

 

*「科学とは信じることではなく理解することである」 エドワード・ジェンナー