2020年7月22日 

                                                                                                                                                         学長 公文 裕巳 

 

 学生の皆さん、教職員の皆さん、そして新見公立大学をご支援いただいている全ての皆さんに、Withコロナの時代における本学の方針についてお知らせしたいと思います。

 ご承知のように、新型コロナウイルス感染拡大の第一波に対して、2020年4月16日に全国に拡大された緊急事態制限は、5月25日に解除されました。その後、感染の収束が期待されましたが、6月下旬から東京圏を中心に増加し始めた感染拡大は、人の移動の増加とともに全国に拡大し、岡山県でも7月14日から連続8日間1~4人の感染者が報告されるようになりました。明らかな感染第二波の到来の状況と言えます。

 一方、コロナウイルスは、インフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであり、変異の速度が速くて対応が難しいことが知られています。東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦先生によると、今回の第二波のウイルスは、「ゲノム配列の解析からすると、東京型・埼玉型に変異している」との新たな見解が示されています(下図参照)。

 理解しないといけないことと課題はいくつかありますが、先ず、①ウイルスは変異をすることで簡単には消滅しないで蔓延していく智恵をもっていることであり、東京型・埼玉型の出現はその結果と解釈されます。最も重要なことは、②若年層を中心とする無症状ないし比較的症状の軽い感染者の蔓延が持続的な感染源となり、リスクの高い中高年層への感染拡大につながり、医療崩壊を招く恐れがあることです。また、③新型コロナウイルの感染様式や症状発現と免疫応答のメカニズムが複雑であり、全容解明にはかなりの時間がかかること、ならびに④ワクチン開発が世界中で進められていますが、感染予防効果の確認とその持続時間や副作用(抗体依存性感染増強)などを考慮すると、真に有効なワクチン開発には2-3年を要することが挙げられます。以上のことを考えると、Withコロナの時代は、少なくともこれから2-3年は続くことになります。

 感染防止の観点だけに立つと、これから実施予定の学外者が参加する学内行事を2-3年に亘り中止するという選択になり、新見公立大学での学生生活や学びの質を著しく低下させることになります。2020年7月、感染第2波が明らかとなったこの時点で、Withコロナの時代の新見公立大学の「新しい日常と大学での学び」を全員で構築していく必要性とその意義を再認識する必要があります。そのためにも、今後の学内行事は原則として全て実施していくことを前提に、学生と教職員が一丸となって感染予防に努め、安全な学内行事の進め方を協議しつつノウハウを蓄積していきます。したがって、今年度のオープンキャンパス(8/23、10/3-4)、大学40周年記念行事(10/11)、大学鳴滝祭(10/17-18)などは、予定どおりに開催していきます。

 ウイルスは細菌と違って、自ら増殖することはなく、増殖のためには宿主となる感染細胞、つまり感染者の存在が必須であり、感染は人から人にしか伝播しません。「正しく恐れること」を基本に、「3密」を避けて、基本的な感染対策と新しい生活様式を実践していくことで、「新しい日常と大学での学び」の構築は可能と判断しています。なお、Withコロナの時代にゼロリスクを要求することは不可能なことであり、不測の事態における危機管理体制や人権への配慮に対する仕組みづくりについても早急に再検討していきます。

 学生の皆さんには、改めて注意事項をお知らせしますが、自らの健康と友人・家族・地域の皆様の健康、そして大学での学びを守るために、教職員とともに最大限の努力をしてください。

 地域の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

  全国の新型コロナウイルス新規感染者の推移とウイルスの変異

⇒東京・埼玉型は、上気道への定着性は亢進している(変わっていないかも知れない)ものの、感染症を発症させる病原性は必ずしも増強されていないことが推定され、重症化の最大の指標である死亡率は高くありません。したがって、「コロナと共に生きる社会」の構築は可能であると判断されます。