令和2年度入学式学長式辞 (2020年4月11日)

(時間短縮のため、式では、概要のみをお話しました。)

 新入生の皆さん、本日はおめでとうございます。緊急事態宣言等、新型コロナウィルス感染症の現況に鑑み、入学式を簡素化して実施していますが、皆さんを歓迎する気持ちの大きさは変わりありません。

 特に、本年度は、1980年の新見女子短期大学に始まります本学開学40年の記念の年になります。この歴史の節目にあたる令和2年4月、新見公立大学 新・健康科学部の2期生として、健康保育学科57人、看護学科83人、地域福祉学科54人、ならびに助産学専攻科6人、大学院看護学研究科5人、計205人の新入生を迎えることができましたことは、私共教職員にとりまして大いなる喜びであります。改めまして、新入生の皆さんに心よりのお祝いを申しあげます。

 大学新入生の皆さんには、長く辛かった受験勉強を経て、今日の日を迎えられた事と思いますが、他者との競争は、今回の入試でひとまず終止符を打つことになります。これからの競争相手は他者ではなく、内なる自分であり、如何にして自分自身の総合力を高めていくかということが最重要課題となります。人間の総合力は、知識、技能など数値化できる学力と、必ずしも数値化ができない人間力との総和であります。本学の建学の精神である「誠実、夢、人間愛」のもと、誠実であること、夢を抱くこと、そして人間の尊厳を守り生命をいとおしむ人間愛の精神を培うこと、そのことが、皆さんが目指す保育、看護、介護、福祉の専門職としての人間力向上の基盤になると考えています。

 皆さんがこれから学ぶ『人と地域を創る新見公立大学』は、小規模大学の特色を生かした「血の通う少人数教育」と「質の高い教育カリキュラム」による専門職としての知識、技能の修得と、人間力の向上を、車の両輪として40年の歩みを続けてきました。その歴史と伝統を引き継いで、昨年度よりスタートしました新・健康科学部は、少子・高齢化と人口減少が進む新見市にあることを地の利として、「健やかな子どもの発達、心の豊かさの向上、高齢者の健康寿命の延伸」を指標に、課題先進地の現場で「人に優しい地域共生社会」の構築における3学科の役割と多職種連携を実践的に研究、教育していきます。本学の目指す健康科学とは、「病気や障害をもっていても、社会に適応してその人らしく生活している状態を『健康』と考えて、地域共生社会を支える人財の育成とその仕組みの構築を科学すること」です。また、近年、研究、教育とならぶ第3の大学の使命である社会貢献としての地域貢献活動の意義を高く評価して、全学的に取り組んでいきます。皆さんには、平素より地域に学び地域を支えるという精神でボランティア活動にもいそしみ、人間力としての「感性と共感力」を養って欲しいと思っています。地域共生社会に求められるものは、「傾ける耳」、「共感する心に涙する目」、そして「踏み出す勇気と差し伸べる手」であります。あなた方の手には、専門職としてのスキルとともに、暖かい手のぬくもりが期待されています。

 幸か不幸か、この街には、若者向けのいわゆる娯楽施設はなく、出かけて行くためには相応の時間がかかるという不便さがあります。他方、勉学に専念し、人間力を養うのにふさわしい学修環境、四季折々の変化に富む豊かな自然、そして中山間地域に暮らす人々の生活の現場があります。皆さんの長い人生の中での最も大切な4年間をこの大学で、この街で学ぶという選択は間違っていないと思います。人生での出来事、それらには「偶然はなく、全てが必然である」と考えて、日々前向きに取り組んで下さい。先ずは、今日、ここでの必然的な多くの出会いを大切に、良き師、良き友との絆を築きつつ、地域に開かれたキャンパスで大学生活を大いにエンジョイしてください。本年7月には、皆さんの学修環境を飛躍的に向上する待望の新棟、地域共生推進センター棟が完成し、40周年の記念式典も予定されています。皆さんとともに、本学の新しい歴史の創造に挑戦できることを大変誇らしく思っていますので、一緒に頑張りましょう。

 最後に、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に終息の見えない不安な日々が続いています。本学の感染症対策指針の再確認、日々の大学からの更新情報の確認、報告・連絡・相談とともに、感染リスクを避け、十分な睡眠と食事にも注意を払い、体調管理に努めてください。

令和2年4月11日

新見公立大学学長 公文 裕巳